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【完結】おかん転移 残念でした私が聖女です〜娘を癒すために異世界で食堂をはじめたら、娘に一途なイケメンが釣れました〜  作者: 黒砂 無糖
第1章 母と娘のリスタート

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おかんは見ていた

バカに効く薬があったら売れるかしら?

 シュラーフは、一瞬ピクッとしたが、何事もなかったかの様に背を伸ばし

 廊下にある窓から、外を見ながらぽそっと


「トーコの仕業でしたか、やめてください。吹き出しそうになったじゃ無いですか」


 あら、失礼しました


「気分はスッキリしたかしら?」


 笑えばよかったのに


「ありがとうございます。実際かなりイライラしていました。助かりました。あの様な魔法の使い方は、した事が無かったもので」


 まあ、魔法なんてイタズラにもってこいなのに


「体が重いのは重力を、寒いのは気温をいじって、床の隆起で倒れた時にボタンをちぎったわ?良かったら使ってみてね?」


 私はシュラーフに教えてあげたけど


「重力が分からないので、今度教えて下さい。それ以外はやれそうですから、今度イラついたらやりましょう。どこに行くにしろ、気を付けて下さいね?では私は急ぐので失礼します」


 シュラーフは颯爽と立ち去った。


 こうしてみると確かに王族の風格はあるな

 もしかして髪を切った事で隠せなくなったのかしら?


 最初に見た時は、ボサボサな頭でよろよろしていたから、

 全く王族感は無かったわよね?


 ハーブティー飲んでから、やたらとツヤツヤになったわね


 そんな事考えながら、衣装部屋に向かう途中、


 医務官なのか、白衣の集団が廊下に広がり、こちらに向かって歩いてくる。


 あら、ここは病院の廊下だったかしら?


「王子の様子は?」

「体が重く寒いらしいです。それ以外は元気です。問題無いと言っても聞き入れて貰えず、医局長を呼べと騒ぎ…急に呼び出して申し訳ありません」


 1人の医官が、医局長に謝罪をしながら、私を追い抜いていく。

 このまま着いていけば、バカ王子の部屋にたどり着くだろう。


 追撃のチャンスかしら?


「・・王子は聖女の召喚をしたと聞いたが?」

「あの性格です。どうも余計な事を企んだ様で、不興を買ったらしく、聖女様とその生母様は、シュラーフ様が保護したと、従僕が言っていました」


 配下の者が、自ら外部に話しているのね?

 皆かなり、王子に不満が溜まっていそうだわ


「…ハァ、あの我儘に効く薬は無いものだろうか、いちいち振り回される、こちらの身にもなってくれ」


 医局長が足取り重く部屋にたどり着くと


「医局長はまだか!第一王子の僕が死ぬかも知れないんだぞ!待たせるなど、職務怠慢では無いのか!?」


 バカ王子は大声で騒いでいて、外にいても丸聞こえだ。

 医務官達は顔を顰め、中には拳を握る者までいた。


「失礼しましたね?私の受け持つ患者は1人ではありません。王子には専属がついているはずですが?」


 医局長は慣れているのか、事前に医官が調べたカルテを診ている。


「煩い!僕に逆らうな!さっさと何とかしろ!使えない年寄りを使ってやるんだ、この僕を診察出来るなんて!有り難く思え」


 えー、何この罰ゲーム。


 私は医官達が不憫に感じたので、一旦王子の魔法を解除した。


「ん?あれ?何とも無いぞ?元気になったのか?おい、元気になったからもういい。僕は自力で病に打ち勝ったのだ!役立たず達は僕の前から消えろ!さっさと帰れ!」


 急に帰れと言われ、流石に腹が立ったのだろう。


「畏まりました。我々は二度と御前に顔を出さない事をお約束致します。いかなる時も、ご自身で何とかなさって下さい」

 低く怒りを抑え込んだ声色で、静かに伝え一礼をして場を離れていく。


「二度と来るな!口煩くて辛気臭い年寄りを、見なくて済むなど嬉しい限りだ!」


 バカ王子は捨て台詞まで、医官達にぶつけていた。


「謝罪が無い限り二度と、伺わない事を国王に進言する。今から行くぞ」

 私は医官達に着いて行く前に、


 王子に別の魔法『足の小指を何度もぶつける』を掛けた。


 足早に追いかける途中、王子の部屋から叫び声が聞こえてきたから

 多分効いているはず。


 これなら酷くぶつけて小指が折れても、癒しで治せるだろう


 医局長と医務官は、バカ王子の居た宮殿のさらに奥へと進み、

 最奥の部屋に続く廊下より、少し手前の部屋のドアをノックした。


「はい?医局長、どうされましたか?」


 中からシュラーフが出てきた。医官達は中に招かれて入る。

 私も後に続くとここは執務室の様だ。


 立派な執務机があり、手前は立派な応接室となっている。

 シュラーフ以外に、もう1人精悍な顔立ちながら


 疲れ果てた顔をした男がいた


「ザンフト様、至急進言したく。執務中である事は理解しております。しかしながら、こちらも退任をしても構わない、いえ、前から言っておりますが、早く退任させて欲しい。いい加減、バカ王子には我慢の限界です」


 医局長は、先程のバカ王子の醜態を事細かく説明し、

 国王の執務を邪魔した、上息子をバカ王子と愚弄したのだから、


 さっさと首にしてくれと進言した。


「アルツト、息子が済まなかった。其方が居なければ医局が回らなくなる。頼むから、辞めるなんて言わないでくれ。今シュラーフから聖女の報告も上がっている。お前には聖女と連携をお願いしたいのだ」


 ふーん、医局長と仕事するのか。


 癒し関連よね?


「ザンフト様、その聖女にすら、見捨てられた様ですが、未だ私の名前すら覚えようとしない王子を、あのまま野放しになさるお積りですか?」


 アルツト医局長は、ザンフト王に詰め寄った


「アルツト、そう言ってやるな。あの子は寂しくて、皆を振り回してしまうだけなんだ。本当はいい子なんだよ、可哀想な子なんだよ」


 周りの皆さんの空気が、ピリピリし出した。


 いや、この王、バカ親か?周りが見えないの?


 そう思った時、シュラーフが前に出て皆に話しかけてきた。


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