ざまぁ@1
ちょっと、お仕置きが必要かしら?
ケルナーが、後から追加で薬草を持って来てくれると言うが、
私はバレてない今だからこそちょっと色々試したい
「ケルナー、あなた今時間はあるの?時間があるならちょっと見張りをお願いしたいの」
私がそう伝えたら
「そうですね、ここで作業してもよければ大丈夫ですよ?何かなさるのですか?」
よし、瑠璃の事は任せよう。
「あちこちから、使えそうな資材を見てみたいのよ。何があるか分からないから、実際に見てみたくて。じゃないと頼みようが無いから。ちゃんと透明化が機能してるか知りたいし、情報も欲しいわ」
私は自分で動きたいのだ。
「必要な物で、物が明らかに複数ある場合は、持って来て構いません。少なかったり貴重に思えたら、ご相談ください。こちらで準備致します」
本当に何でも叶える気なのか、ケルナーの言葉には嘘はなさそうだ。
「そうだ、ケルナー、服が欲しいのだけれど、不用となった服とか無いかしら?」
ずっと同じ服を着るのも嫌なので、不用な服があるならリメイクしたい。
「緊急時に貸し出ししたりする衣裳部屋が、パーティーなどに使う広間の隣にありますので、直ぐ使う為に掛けてある、ドレスやスーツ以外の、お直し前の物なら、全ては困りますが箱が幾つかあるので、一箱位なら構いません」
箱?まあ、魔法で変換しちゃえばいいか。
「ありがとうございます。遠慮なく頂くわ。瑠璃、これ借りるわよ?少し追加したい物もあるから」
私がポーチを持とうとしたら
「トーコ、これを使って下さい。後、こちらは城の見取り図です」
ケルナーがもう一つ、空間魔法の鞄を渡してきた。
「この鞄を差し上げます。そちらより内容量が入りますので」
この鞄は、簡易キッチンを入れて持って来た時の、予備用の鞄らしい。
「ケルナーの予備がなくて、困りませんか?」
私なんかよりずっと忙しい人だ。色々な事に対応する為に、持っていた物だろう。
「私は後二つ同じ物を持っています。必要なら後から追加しますのでお気になさらず」
さすが仕事ができる男だわ。
「ありがとうございます。では今度こそ行って参ります。瑠璃をよろしくお願いします」
行こうとしたら
「お母さん、ガラス製品があったらお願い」
とっくに食事を終えた瑠璃は、手元の薬草を見ながら、私に追加して来た。
「ガラス何でもいいの?空き瓶でも?」
私が尋ねると
「何でもいい。変質させるから」
とのこと、やりたい事があるのだろう。
「分かった。行ってくるわね」
私はそう言って透明化した。
「ちゃんと消えてる?手元の紙は見える?音は響く?」
地図を、ヒラヒラ振って見せ、そしてその場でジャンプして見せた
「見えませんね?音も声以外は?ただ、空気の揺れは感じますね。ゆっくりならわかりませんが、素早いと風を感じて、警戒をしている者には、若干の違和感を感じるかも知れません」
空気の動き?了解
「ありがとう。今度こそ行ってきます」
何度も行ってきますと言ってしまった。
中々部屋から出れなかったわ
部屋を出て、手元の地図を見る。
まずは、遠くの衣装部屋に行こう。
私は周りを気にしつつ、宮殿内を散策していく。
厨房を通り過ぎる時に、廃棄室があった。
生ゴミ以外のゴミ集積場だ。
お酒の空き瓶と空き缶、それと欠けてしまった陶器に、壊れた家具、
使用感が出たリネンが沢山置いてあった。
私はそれぞれに幾つかある籠の中身を、ごそっと頂いた。
どう見てもゴミだったので、いいだろう。
さらに奥に行く時、ザワザワ声がしたので、盗聴魔法を発動したら
「おい、シュラーフ!一体いつになったら聖女の元へ行くんだよ?お前が隠したんだろう?アレは俺が呼んだんだぞ?横取りとか狡いじゃ無いか!」
バカ王子だ。相変わらず偉そうだ。
「バカな事言ってる暇があるなら、少しは手伝ってくれませんかね?先程から言っていますが、こちらは暇じゃ無いんです」
王子はシュラーフの周りを、ぐるぐる回りながらギャーギャー騒いでいる。
シュラーフの表情は、無の境地だった
見ていてもイライラするので、王子の足元の床をタイミングよく隆起させて
素早く戻した、ついでに、ベルトとズボンのボタンをちぎってやった
ビターン!
とても良い音がして、王子は見事に顔面から転んだ。
「なっ、シュラーフ!何をするんだ?!」
地面に顔面からダイブした王子は、シュラーフに文句を言うが
「勝手に転んだのを、人のせいにしないで頂きたい。あんなにぐるぐるしていたら、転んでも当然ですよ」
シュラーフは、とりあえず王子の顔を魔法で回復した。
しまった余計な事したかな?
怪我すると、シュラーフが治さなければならない。
怪我しなくて、迷惑がかからない事か…
私は王子の周りの重力を、通常の倍にした。
「シュラーフ、体が重いぞ?何でだ?」
先を歩くシュラーフに、よろよろしながら
王子はついて行こうと立ち上がったら、
ズボンはストンと下に落ちて行った
「転んで千切れましたね?それに風邪でも引いたのでは?さっさと部屋に戻って寝てください。風邪はバカに出来ないです。風邪で命を落とす事もありますよ」
と言うと
「何?まずいでは無いか!おい!部屋に戻るぞ!クソッ歩きにくいな!」
王子がズボンを抑えながら、退散しようとしたから
重力に寒さを足してやった
「寒い!身体が重い!おい!医者を呼べ!」
と騒ぎながらあるくが、手が震えてズボンは下がるし、体も重たいしで、
よろよろしながら、自室のある宮へ戻って行った。
私はざまぁみろと思いながら、王子を見送るシュラーフの側へ行き
「お疲れ様でした」
と、シュラーフに小さな声で挨拶をした。
 




