表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/106

防衛の王命書

どうしてやろうかしら・・・?

 王子が起きたと聞いて、一気に気持ちが引き締まった。


 別に直接何かされた訳では無いけど、勝手に召喚して、勝手に連れ出して、

 更に準備された部屋は、あからさまにおかしくて、それだけで


 娘が危険に晒されている事は、充分理解した。


「ケルナー、王子がここに気付くとしたら、どのくらいかかるかしら?」

 予測があれば、対処しやすくなるわよね?


「そうですね、ランドリーメイドの噂の速さからすると、早くて明日、明後日にはバレますね?」


 ちょっと、速すぎない?


「既に痕跡はあるのです。王子以外は、仕事していればわかります。ただ、王子が気付いてメイドに尋ねた場合、メイドは言わない選択肢はありません。調べた結果、昨日用意された部屋も、王子付きの従僕が用意した物です。直属の使用人は逆らえないのです」


 まあ、確かにそうよね?


「今日一日は、シュラーフ様の監視をするでしょう。明日は私じゃ無いかな?私の監視をすると、必然的に使用人との関わりが増えます。噂も耳にするでしょう」

 私ですら気付いたんだもの、当然ね?


「ケルナーは王子に尋ねられたとして、大丈夫なの?」

 1番詳しい人よね?


「聞いて来ますよ?私が言わないだけで。シュラーフ様の直属は、余程悪質な手を使われない限り、口を割る事はないでしょう」

 それって大丈夫なの?


「王子に逆らって、罰を受けたりはしない?」

 打首じゃー!みたいに


「ご安心ください。教育係になる際に、シュラーフ様の方が、立場が上にして貰っているので大丈夫ですよ」

 そうなのか、え?て事は


「シュラーフが実質国のNO2って事?」

 あら、そんなに偉かったのね?


 ただの苦労人だと思っていたわ


「そうですね。本人は嫌がっていますが、王子のせいで王位継承権第一位です。忙しくて可哀想になりますよ」


 バカだとは思っていたけど…

 だから、王太子じゃなくて第一王子としか言わなかったのか。


 なるほどねぇ


「じゃあ、私が何か言われたとして、やり返したらどうなりますか?」

 表向きはシュラーフの侍女で、中身は聖女な訳よね?


「そうですね、何か言う程度なら問題ないかと。眠らせたり意識を刈り取るだけならまだしも、攻撃して害すると、アレでも一応王族の血なので問題になりますね」


 あら、意外と緩いのね?


「たとえば、眠らせて場所が悪くて、階段から転げ落ちて首が折れても、跡形も無く治せるとしたらどう?」

 これが通るなら、治せばいいって話よね?


「…人に見られて無ければ?あり?なのかな?ちょっと確認します」

 ケルナーはメモを取り出し、サラサラと何か書くと

 指を"パチン"と鳴らしてメモを飛ばした


 幾つか確認していたケルナーの手元へ光の玉が現れた。ケルナーが手を開くと光の玉はパッと


 一枚の紙になった。


「…え?そうか、早く知りたかった」

 ケルナーの目付きが変わった。何が書いてあるのかしら?


「トーコ、死なない程度なら何してもいいらしいです。私にも王様とシュラーフ様から、王印付きでお許しが出ました」


 ケルナーが私に紙を見せてきた。


 書いてある内容は直ぐに判別出来ないけど、紙面の下に連盟のサインの様な物があり、立派なハンコの様な物まで押してあった。


「この印はそんなに意味があるの?」

 確かに大きさといい、見るからに豪華ではあるけれど


「正式な書面である事の印です。書面に対して、署名とこの印がある場合は、内容はいかなる時でも覆りません。ただし一旦期間はあります。それを過ぎたら今一度検討し、続行もしくは中止します。この書面はとりあえず3年間有効みたいです」


 3年あれば慣れるって事ね?


「助かるわ。万が一があった場合、ムカついて潰しそうだから」

 私は手を出して、グッと拳を握った


「…何を、とは聞かないでおきます。でもお陰様で、私にもお許しが頂けて助かります。今まで立場的に、少し甘い対応しか出来なかったので、もしもの時は蘇生お願いします」


 え?蘇生?


「いや、それはやり過ぎよね?それに蘇生って…出来る物なの?」


 蘇らせるのよね?


「確か文献では、一定時間内なら有効だと書かれていました。もしかしたらトーコがエリクサーを作ったら、蘇生薬になるかもしれませんね?作ってみませんか?」

 蘇生薬か…


 確かに天寿なら仕方が無いけど、不慮の事故の被害者や、

 身勝手な事件の被害者とかが、無駄に命を散らす事は無いわねよね


「強欲で人の命を軽く見る奴ほど、自分の命に執着して生き存える為に、エリクサーの存在を知ったら、買い漁るでしょうね?」

 本当に必要な人には、回らなくなりそうね?


「確かに、王子は、正にそのタイプですね」

 ケルナーはかなり辛辣だ。


 日々迷惑をかけられているのだろう。王子を簡単に生かしてしまうと結局

 俺は特別だからとか付け上がりそうね?


「王子のエリクサーには、回数制限をつけましょうか?使う程、明らかに分かるマイナスが増える様にします?目に見えて分かる感じなら、行動を改めませんかね?後から私が直せる様にしますよ?」


 せいぜい恐怖に怯えるといいわ


「それ、いいですね?お願いします」

 私とケルナーは、嬉々として王子を懲らしめる為の負荷を考えていた


「お母さん、聖女というか魔女みたい」

 瑠璃に言われ確かにと思う。


 相手が嫌がるダメージを与えるエリクサーを作ろうとする聖女なんて


 普通ダメよね?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>相手が嫌がるダメージを与えるエリクサーを作ろうとする聖女なんて普通ダメよね? 「悪党」とか「魔物」を【浄化】するのと変わらないんだし、コイツ相手ならいいんじゃね?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ