おかん透明化
あら?イタズラし放題じゃない
私が作ったハーブティーと、紅茶ハーブブレンドを、シュラーフに鑑定箱で見て貰ったら
驚きの結果が出た。
「まず、ハーブティーはトーコは疲労回復と言ったけど、これ、ほぼポーションだよ」
確かにハーブは薬効あるけど、乾燥させて混ぜただけで魔法薬と同等とか
ちょっとバグってるわね?
「で、紅茶ハーブブレンドは、ポーションほどの効果は無いけど、心の鎮静化が凄い。ポットで時間を置いて、濃くなったのを飲むか、沢山飲むと眠りに誘われる」
私は横のソファで、
眠ってしまったケルナーをちらっと見た。
ケルナーは一杯目で落ち着き、先程、皆で残りの紅茶を頂いた時、二杯目を飲んだ後
静かに眠りに堕ちた。
「ちょっと効果が高すぎる気がするけど、これはこれでありかな?」
シュラーフもかなり眠そうだ。
私と瑠璃は平気なんだよな?向こうでも飲んでいたから耐性が有るのかしら?
「これを配る訳には行かないわよね?」
ポーションと睡眠作用は、やりすぎか?
「うーん、ちょっと考えてみます」
シュラーフはちょっと考えた後、ケルナーを目覚めさせる為に魔法を飛ばした。
「…はっ?私とした事が!申し訳ありません。急な眠気に見舞われてしまいました」
ケルナーは、パッと立ち上がり頭を下げた。
「ケルナー気にするな。それより食事の準備を頼む」
シュラーフは、残りの書類を捌きながら
ケルナーに指示をする。
「ケルナー、手伝います」
私はケルナーの元へ行き、共に配膳をした。
「トーコは料理を並べ次第、こちらの席でお召し上がりください」
私は、瑠璃と一緒に食事してもいい様だ。
コース料理だけど一括で全て並べた。
卓上はかなり賑やかになっている。
ふと、前菜のゼリー寄せを見て思いついた。
「透明人間ってなれるのかしら?」
私の呟きを拾ったケルナーは、思わず声を掛けて来た。
「トーコ、透明人間って何ですか?」
知らないのかな?
こちらの世界では空想すれば、形になってしまうから。
「透明人間は透明な人よ?見えないの」
私はごく当たり前の事を伝えた。
「その様な事は出来るのでしょうか?」
ケルナーは、ノリノリで食いついてくる。
「やってみなければわからないわね?」
私はイメージして見たが、何となく出来る気がした。
手始めに目の前のカップを透明化した
「消えましたね?透明化ならカップの存在はあるのですか?」
ケルナーは、透明化したカップの場所に手を伸ばす。
カチャッっと音がして、カップの存在が明らかになる。
「ちゃんと実体としてありますよね?」
私はワクワクして来た。
透明化が出来たら
メイド服は卒業出来ないかしら?
「不思議ですね?コレも魔法属性は、わからないのですよね?」
ケルナーが悔しそうにしている。
申し訳ないが属性は分からない
カップの魔法を解いて自らにかけてみると、足元から消えていき
最後は頭までしっかり消えた様だ。
「トーコ?どこに行きました?」
ケルナーが驚きの声を上げる。
成功したようね?
私はケルナーの真横に行き
「ここにいますよ」
といいながら、肘の辺りを引っ張ってみせた
「凄いですね?全く見えません」
私とケルナーが透明化でやり取りしている間
シュラーフは事務仕事に追われて気付かず、
瑠璃も薬草の解読に忙しくて
気付いていない…
私は2人の驚く顔が見られるかも!と
楽しくなりこっそり近寄り
「瑠璃」
と耳元で呼ぶと
「何?もう少しで…」
振り返って私がいる方を見るけど.、いない事に気付き
「え?あれ?お母さんは?」
瑠璃はキョロキョロしながら、私を探すも見当たらない。
ついでに私はシュラーフの元へ行き
「私はどこにいるでしょうか?」
と、声を掛けた。
シュラーフも顔を上げ、私の声がする方へ顔を向けたが
私の姿は無い
「ん?どう言う事だ?」
シュラーフもキョロキョロしていた。
私はシュラーフの卓上のカップを持ち上げて見せた。
シュラーフの目が点になっている。
瑠璃も同じ表情だ。
そろそろネタバラシするか
私は魔法を解除する前に
とりあえずシュラーフをくすぐった。
「あははは!ちょっと避けれない攻撃じゃ無いか!アハ!あははは」
満足したから今度は瑠璃だ
「ヤダ、ふふふあははお母さんやめてくすぐったいあはは」
最後はケルナーだ。
この人笑うのかしら?
「くっ、トーコ、ククッイタズラはダメです」
うん、やっぱり爆笑するタイプじゃ無いわね
私は魔法を解除して姿を現した。
「コレなら私、メイド服着なくてもいいかしら?」
ワクワクしながら尋ねたら
「申し訳ないがずっと透明化している訳ではないだろう?服はそのままですね」
と、言われた。
メイド服、三日も着れば 慣れるかな?
思わず一句読んでしまったわ




