記念投稿 娘の帰省
お久しぶりです。
おかん転移、おかげ様で沢山の人に見て頂き、
⭐︎累計PV300,000突破、ブクマ297人⭐︎
300人まであと少し!
感謝を込めて、記念投稿として書きました。
丁度お盆ですね。
忙しい中、おかんに会いに来てくれたなら、
おかんは泣いて喜びます。
『本日は、臨時休業させて頂きます』
私は「メシヤ」入口にあるサインボードに、
臨時休業のお知らせを掲示し、店内に戻った
食堂はお休みだけど、今日は朝から忙しい
私はキッチンの棚の前で
張り切って、腕まくりをしていたら
カランカラン♬
「ただいま戻りました」「戻ったぞ」
ベーレンとプッツェンが、
一緒に店内へと入ってきた。
2人には、足りなくなりそうな
追加の食材を頼んでいたのだ。
「2人ともありがとう。とりあえず、お茶でも飲んで休んでね」
カウンターに、冷たいお茶を2つ置き
代わりに購入品の入った
空間魔法のポーチを預かる。
「トーコ、他に何かする事はあるか?」
ベーレンは今日、仕事をお休みしたらしく、朝から手伝いを買って出てくれていた。
「そうね、机を寄せて貰おうかしら?」
中央に大きなテーブルにした方が、
皆の顔が見えるわよね?
今日は、娘と、特殊部隊の皆が
『フェルゼンに立ち寄る日』
特殊部隊が、移動途中に近くを通るから
折角ならと、立ち寄る事になった。
隊長であるソージュと結婚して以来、
瑠璃と会うのは初めてだから
——張り切るのは当然よね
私は、作業台へ食材を次々取り出していた。
棚からも、必要な物を取り出していたが…
——しまった、レモンが足りない
「ベーレン!お願い、レモン買って来て!」
レモネードを作ったら、
レモンの在庫が無くなってしまう。
「トーコ、箱買いか?」
ベーレンに尋ねられ、ちょっと考えて
「箱でよろしく」
と、お願いした。
家の店は、レモンをよく使うから大丈夫だ。
「トーコさん、お花はどこに飾りますか?」
プッツェンが、買って来たお花を
既に、花瓶に飾ってくれた。
——さすが、プッツェン仕事が早いわ
「テーブルとカウンターかしら?プッツェンに任せるわ」
——彼女に任せれば問題ないだろう
頼まれたプッツェンは、ウロウロしながら、
映える場所を探している
「今日は、一体何人来るのかしら?」
私は、一度だけ届いた手紙を取り出して、
特殊部隊の正確な人数を確認した。
男性4人と、チャコちゃんと瑠璃、プッツェンと、ベーレンと…
カランカラン♬
数えている最中にドアベルが鳴り
ベーレンが、出て行ったんだと思ったら
「トーコ、手伝いますよ」
入れ違いで、ケルナーが入って来た。
「ケルナー、仕事はどうしたの?」
ケルナーは、常に仕事が忙しい人なのに
なぜ昼間から、ここに居るのか?
「サボって、逃げて来ました」
ケルナーは、楽しそうにサボり発言をした。
「何してるの!シュラーフは大丈夫なの?」
ケルナーは、普段はかなり真面目だけど、
稀にイタズラをするので、こちらが驚いた。
「以前と違い、邪魔者が居ないので、捗ってますよ。使える人が沢山増えましたし」
ケルナーはご機嫌な様子で、やる気満々で
腕まくりをしている。
「シュラーフ様も、早く妃に会いたくて、近頃は、毎日定時に帰る為に頑張ってますよ」
シュラーフは、サプライズな見合いの末
先日、めでたくアルゼと結ばれた。
報告を受けた時の、2人の笑顔に
私は、思わず涙を流したっけ
「幸せそうで、何よりね」
時が過ぎるのは早いわ、瑠璃が結婚してから
もう、半年も過ぎたのよね
「シュラーフ様が、1人で仕事を抱えなくなったおかげで、私は楽になりましたよ」
ケルナーの仕事は、
以前に比べて、だいぶ減った様だ。
「以前が、おかしかったのよ?」
ケルナーは、1人で5人分は働いていた様に思う。いつ倒れてもおかしくなかった。
「ケルナー、ドリンクお願いしてもいい?」
ケルナーにはドリンクのストックを頼む。
彼は、手慣れた手つきで次々と作っている。
2人で並んだまま、黙々と準備をする
作業を終えたケルナーは、
気付いた時には、当たり前の様に、
調理補助をしながら、私の横にいた。
カランカラン♬
「トーコ、レモン買って来たぞ」
ベーレンが箱を担いで戻って来た。
「ああ、ありがとうございます」
ケルナーはそう言って、
ベーレンからレモンを受け取ると
「トーコ、半分をスライスでいいですか?」
と、確認して来た。
ケルナーは相変わらず、
私のやりたい事はお見通しだ。
「お願いするわ」
私は、レモンをケルナーに任せ、
自分の作業に戻ろうとした。
「トーコ、ちょっと待って、そのまま」
ケルナーに呼び止められ、動きを止めたら
「袖口が、下がってますよ」
と言って、腕まくりが下がってきた袖口を
丁寧に折り上げてくれた。
「ありがとう」
——本当に良く気付く人だわ
そして、何をするにも手際が良い。
「どういたしまして」
ケルナーは、いつも通りに
ごく普通に対応していただけなのに
視線を感じて、
ふと、顔を上げたら
ベーレンとプッツェンが2人で並び立ち、
にやにやしながら、こちらを見ていた。
明らかに、冷やかしの表情をしている。
——お願い、そんな顔で見ないで
その顔を見たら、なんだか気まずくて、
2人を見なかった事にして、準備をした。
カランカラン♬
「お母さん!ただいま!」
溌剌とした声で、
瑠璃は勢いよく店の中に入って来た。
「瑠璃!元気にしていたの?あなた、ちっとも連絡して来ないから、心配したのよ?」
——何せ半年ぶりだ。
「え、私のせい?お母さんからも連絡が来なかったじゃない!」
瑠璃は、ぶーっとむくれた。
「だって、ほら、新婚さんだし…あんまり連絡したら、お邪魔かなって」
だって、お仕事の動きも分からないから、
もしかして、お邪魔かなって思ったのよ…
「だからって、全く連絡して来ないのは、あまりに極端よ?」
だって、一度でも連絡したら、
毎日連絡しちゃいそうだったし…
「トーコは、瑠璃から、連絡して欲しかったんですよ。毎日凹んでましたよ」
——な!ケルナー、なんでバラすの!
私は気まずくて、瑠璃から顔を逸らした
「もう、変な所で頑固なんだから。ケルナー面倒だったでしょ?ありがとう」
——面倒とは失礼よ?
でもケルナーに、うざ絡みした自覚はある。
「ケルナーは、毎日顔出してるの?」
瑠璃、私よりケルナーと話をしている。
——ずるいわよケルナー
「はい、可能なら夜は共に食事をしてますよ。1人にしておくと食べなくなるので」
ケルナーが、こちらを見て苦笑いをした。
——まずい、怒られる!
「お母さん!またなの?ちゃんと食べなきゃダメじゃない!」
——ほらぁ、やっぱり怒られたじゃない!
「もう、ケルナー、余計な事言わないで!」
私はキッとケルナーを見た。
ケルナーは、私が怒られたのに
優しく目を細め、楽しそうに笑っている。
「ケルナーのせいじゃないでしょ?もう!昔から私がいないと、適当になるんだから!」
瑠璃が、プンプン怒っている。
瑠璃に怒られたけど、
瑠璃がいるだけで
それだけでわたしは嬉しかった。
私は、
嬉しくて、
楽しくて、
にやにやしながら
「さあさあ。皆、ご飯にしましょう!」
と、皆を食卓に迎える事にした。
「おかえり瑠璃」
「お母さんただいま」
元気に帰って来てくれてありがとう。
読んで頂きありがとうございました。
私も久しぶりにおかんの世界に帰り、
実家帰省をした様な気分になりました。
キャラ紹介と違って、キャラ達がわちゃわちゃ動き出すので、楽しかったです。
いつかまた、書いた時には
おかん達に会いに来てくださいね!




