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6章
「ありがとうございました。若おじさん。今日は泊めていただいて」
「いいんだよ。困ったときはお互い様だ」
それにしても僕はなぜ追いかけられたのだろう。
ただ仕事をしていただけで追いかけられる道理はないはずだ。
「若さんなんか知ってる?」
「そうだなぁどこまで言っていいものか…」
その反応でだいたい分かった。きっと言いづらいことをしていたのだろう。それこそ、違法なことを。
「まぁ、別にいいか」
若さんがいいのかよと笑った。
「じゃあそろそろ行くわ」
「もういっちまうのか?まだいてもいいんだぞ」
そのやさしさに泣きそうになったが迷惑をかけてしまうだろう。
「いえ、……大丈夫です。もう、行くべき場所があると思うので。」
若さんはそうか。とだけつぶやいてじゃあな。と言った。
では。と言って別れた。