4章
それからは案外普通の生活を送った。
てっきり労働というものは体に悪いと思っていたが、自分で稼いだお金を見てるだけで幸せになれる気がしてくるし、なによりいい意味で社会の歯車となれているという実感がわいて楽しい。
そんなこんなで最近僕はいい感じだった。ゲームの課金もできたし、充実できている毎日を送っている。もう仕事を始めてからそろそろ1か月が過ぎるだろうか。
今日も今日とて仕事がある。
「若おじさん。こんちは~。配達屋で~す!チャットに依頼入ってましたけど誰に持ってけばいいすか?」
最近はチャットを通して連絡を取っている。というのも仕事相手が増えてきたから山田さんが音を上げたのだ。
「おお!干場くん!これタケさんのところもっていっといてくれる?」
ちなみに仕事では干場と名乗っている。山田からの斡旋がほとんどのため、干場と呼ばれるしかないというだけだが。
「は~い!この水色のビニール袋をタケさんね!」
「おう!若いのによく働くねえ!これ、お金と…アメいる?」
「一般認識大阪のおばちゃん⁉」
お金をもらって次はタケさんのところに行く。
タケさんはノリのいいおじさんでいつものんびりしている。
「タケさ~ん!若さんから荷物~」
「おう、了解。ありがとな」
なんかタケさんがいつもより忙しそうだ。
「どうかしたの?」
「ん?ああ、ちょっと新人がミスしちゃってね。その荷物結構急ぎで必要だったから助かるよ」
そういうとタケさんは眼鏡をクイッと上げて荷物を部屋の隅に置いた。
いつものんびりしてるタケさんがこんなに焦ってるのは珍しいな…。
少し不思議に思いつつも僕はタケさんのところを後にした。
その後部屋でのんびりゲームをしているとチャットが来た。また仕事が来たのかな?と思いスマホを覗くとタケさんからだった。
『タケ<ちけ^_^ほ』
ついにタケさんがチャットに怪文書を送り始めた…。
怪文書を無視してゲームを起動させた。