2章
今日も今日とてゲームをしている。
最近は格ゲーではなくロールプレイングゲームだったり、タワーディフェンスをやったりしている。
ちょっと前にやってたゲームをもっかいやり直している。
ソロプレイのものが多く、音楽を聴きながらゲームをしている。
「そろそろ他のゲームでもやろうかな~」
いったんテレビの電源を切ってパソコンを起動させる。
ファンが動き出す音とPCの起動音、窓から聞こえる海の音、垂れ流している音楽が混ざり合ってとても不快感を呼ぶ不協和音を奏でている。
急に暗くなった。といってもスマホのスリープ機能が働いた程度だ。
天井のライトを見るがもともと点いていない。午前中からライトをつけると電気代がバカにできない金額になるのだ。
外を見ると太陽に雲がかかっているだけのようだった。
外を歩く人々、彼らは何のためにその一歩を踏みしめているのだろうか。
「考えたってなんにもわからねえな」
しばらく思考を巡らせた結果、そんなことをして何になるでもないという結論に至ったのでさっさとゲーミングチェアに倒れ込んだ。
ダブルクリックをしてゲームを起動させる。
オープニングカットが入る。マウスを酷使してログインボーナスやイベントログボを回収していく。
僕という人間が紡ぐ物語はこのままこの狭い部屋の中で終わりを告げるのだろうか。
現実から逃げるようにゲーム画面に目を向けた。
よく見たらお知らせの欄に未読が付いている。
どうやら激ツヨ課金キャラの再販が決まったらしい。
今の環境はこいつがいないとクリアが難しいくらいのインフレ具合を醸し出している。
とはいえ、金欠だからな…。
課金は別にしてもいいが、やるなら自分のお金でというのがうちのルールだ。
最初の頃はたくさん課金をしていたが、お金が尽きてしまった。
でもこのゲームを続けていくならこいつを入手しておかないと生き残れなくなってしまう。
「お金…稼ぐかぁ……」
バイトでもしてみようか。でも年齢的にコンビニバイトぐらいしかないだろうか?
コンビニバイトはいやだ。完全な偏見だが、大変そうだし、人とたくさん話さないといけなさそうだし、クレーマーが多そうなイメージだ。
「それ以外にバイトとかあるかなぁ」
特別なコネがあるわけではない。だれかに頼んで紹介してもらう…というのもツテがあるわけでは…いや。
しばらくめんどくさいという感情を説得してチャットアプリに山ピスにコンタクトを取った。