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オムニバスユニークラス!!  作者: 友之絵朝陽
第一章 出席番号1番2番
3/15

第3話 三日坊主マン

読んでくれてありがとうございます!

あと、すみません…次の週テストがあるのでお休みします。

第三話


「えっと……へいさって、学年閉鎖?」


「そうだよ。二年生ほとんど、なんとかなんちゃらってやつに感染したらしいね」


「いや、なんとかじゃ病名わからんけど。じゃあなんで学校来とんの?」


「天体観測」


「は⁉天体観測って……夜に星を見る天体観測?」


「星を見ない天体観測は学校ではやらないよ」


「いや、星を見ない天体観測があるんかい。え、じゃあ昨日の夜からここに居たん?学校の許可、下りるんか?」


「まぁ4%くらいで……」


「下りるんや!微妙な確率やな」


「昨日、『星を見てもいいですか?』って聞いたら教頭先生が『勝手にしてください』って」


「それは許可下りたことになっとるんか……?」


「それよりさ!かっこいいね!その喋り方!」


「ん?関西弁か?」


「そう!その……なんでやねんな喋り方。超クール!」


ゆきちゃんがあたしをピシッと指さす。


「え?いやいや、まぁその……えへへ、そないクールちゃうよ」


あたしは褒められて嬉しくて頭をぽりぽりかく。


「そんなことないよ!今のもさ!ほら!ウルトラクールじゃん!」


「えへへ、そんなに言われちゃクールなんかな……?」


ヘルメットの奥でまたもやキラキラと目を光らせているのがわかる。好奇心の目を向けられるのも悪くないやん。

ゆきちゃんて、ちょっと子供っぽいとこあるな。……ちょっとやないか。

ゆきちゃんの宇宙服の右肘あたりに刻まれたスポンサーのロゴを見ると『株式会社 にらのにらめっこカンパニー つー名前なんじゃおらぁ!覚えて帰りやがれ!』と書いてある。そしてまたカレーライスの絵も描いてある。

それを見て心の中で「なんで口が悪いねん。にらのにらめっこってそれ何する会社なん?絶対ダジャレ言いたかっただけやろ。あとカレーライス大好きやな」とツッコミながら少し安心する。

関西弁で話してもうた!と思ったけどこの子ならなんか平気そうやな。こんな感じやし。

根拠はないけど関西弁の方がいい気がする。

今までの言動を見る限り、悪い子じゃなさそうやもんな。

そう!他の子には東京語で話せばええねん。そんな深刻な悩みじゃなかったやん。

そして、早く職員室行かな!思っとったけど、今、ゆきちゃんと仲良しになっておくのもいいかもな……。女子の友達がいるのは心強いからな。

ちょっと変な子やけど、いい子やし、面白い子やし、仲ようなりたいなぁ。


「それ、教えてよ!なんでやねん語」


「まぁええけど、なんでやねん語じゃ…」


「あ!だめ!やっぱいいや。ごめん。今は果物と天体観測なんだった!」


「ん?くだもの?どゆこと?」


「あー……と、これはぼくの一番いいところでもあり、悪いところでもあるんだけど……」


そう言って左足のポケットから一冊のいかにも古そうな分厚い本を取り出して渡される。


「どんだけ色々なもん持ち歩いてんねん」


表紙には『ミスターパーフェクトの宇宙ゆきの取扱説明書』と書いてある。

すごいな、何でもあるやんか。ほんまに四次元ポケットか。そして、ミスターパーフェクトって誰やねん。胡散臭い。


「これは、ハヤシライス博士とナルメガネ先生が、このスーパー宇宙スーツ5号と一緒に作ってくれたんだ」


「いや、ミスターパーフェクトじゃないんかい‼なんやその美味しそうな博士は!あと、ナルメガネって誰やねん。しかも宇宙服、そいつが作ったんか!」


「宇宙服じゃない!スーパー宇宙スーツ!スーツ作ってくださいって、ハヤシライス博士にお願いしたんだ。少しぼくも手伝ったけどね。ミスターパーフェクトってのがナルメガネ先生だよ。自称ミスターパーフェクト。あ、たしか8ページ目」


「8ページ目な。めっちゃ胡散臭いなそいつ……そして、さぞかしハヤシライス好きなんやろね。ハヤシライス博士。って! は‼ あの絵もしや、カレーライスやなくてハヤシライスやったんか!」


そうツッコミながら、あたしは『ミスターパーフェクトの宇宙ゆきの取扱説明書』の8ページ目を開ける。ちらっと『絶対に「はじめに」から読むべし!』という警告文が見えたが、無視無視!


「なになに……」


『 宇宙ゆきを一言であらわすと……

 宇宙ゆきを一言であらわすとするならば!まぁ分かっていると思うがな!そう!それは皆から言われている通り〈ウルトラ三日坊主 宇宙飛行士アストロノート〉だ!だ!だ!

ふむ……アストロノートの部分は皆からは言われていない。か……。アストロノートは宇宙飛行士という意味だ。かっこいいか?うむ。そうだろうそうだろう。では今から君のクラス異名ニックネームは〈ウルトラ三日坊主 宇宙飛行士アストロノート〉だ!だ!だ!


この宇宙ゆきへのインタビューで宇宙ゆきのクラス異名ニックネームは〈ウルトラ三日坊主 宇宙飛行士アストロノート〉に決定した。この、ジィィーニアスな私が由来を説明しよう。


ウルトラ三日坊主について

 宇宙ゆきは三日坊主な人間だ。非常に子供っぽいのだがそれも原因の一つだろう。宇宙ゆきは、かっこいい!すごい!と思ったものにすぐにとても強いあこがれを持つようだ。そして行動力がすさまじい。集中力もすさまじい。見事にそのあこがれを持った何かにどっぷりと浸かってしまう。しかし、ウルトラなのはここからだ。そのすごい集中力と好奇心、生まれ持った才能が合わさり、すぐにそれをマスターしてしまうのだ!子供っぽく飽きっぽいのも重なり、結果、「う~んもういいや」と言ってやめてしまう。これがウルトラ三日坊主と言われる所以だ。

フォーエギザンポー(例)……

5月2日 宇宙ゆきは「テレビで見た輪ゴムでっぽうかっこよかったんだー!」と言って、いつもの真っ白なナップザックいっぱいに輪ゴムを入れてきた。段ボールのまとを教室中に引っかけて授業中もずっと輪ゴムでっぽうの練習をしている。私のクラスではそんな非日常、日常茶飯事だ。他の生徒がもっとうるさいことをしているので怒られていない。私は怒られた。

5月3日 宇宙ゆきの持ってくる輪ゴムに青色や黒色などが追加された。色は用途によって分けているらしい。青は長距離射撃用、黒は圧倒的パワータイプなどだ。教室の端から端までの距離でも百発百中だ。撃った後、いちいち輪ゴムを拾いに行っているのがめんどくさそうだ。

5月4日 五十m先のまとにも当てられるようになっていた。カーブもできるらしい。どうしたらそんなことができるのか?私ぐらいになるとわかってくるのだよ。宇宙ゆきと言う、難しい生物を……。そして、撃った後、輪ゴムを拾おうとしたらクラスの〈美の神様ビュウティークリーニングゴッド〉こと綺麗沢きれいざわ氏の神速の掃除で一瞬で輪ゴムが片付けられていた。それに感動したらしい。宇宙ゆきは掃除に興味を持ったらしい。

5月5日 宇宙ゆきが輪ゴムを持ってくるのをやめた。代わりに「ウキウキ箒カスタード改」と名付けた箒を持ってきていた。見事な三日坊主と好奇心だ。


…195ページ 巻末おまけ 宇宙ゆき没頭日記 から抜粋

                    』


「なるほどなぁ……こんな丁寧に解説してくれるんか。この本。ああ……じゃあ今、没頭してるものが?」


「果物、天体観測だね……いや、悪い癖なのはわかってるんだけど……」


「いや……ちょっと、ごめんな……少しツッコませて……」


すぅと息を吸う。


「いや、めっちゃすごい能力やんけ!んで、この作者?文書いているやつ!ナルメガネだか、ミスターパーフェクトだかがすっごい偉そうやし、ずっと胡散臭いねん‼まず、クラス異名ニックネームって初めて聞いたわ!東京にこんなんないやろ!そして、ほんとにジィィニアスなんか⁉フォーエギザンポーってカタカナで書いている時点でかなりジィィニアスではないぞ!そして、こいつ、ストーカーか!なんで日記を勝手に書いとんねん!そして、綺麗沢さんすごいな!このクラス変な奴ばっかやん!最後に……さすがに「ウキウキ箒カスタード改」はネーミングセンスなさすぎやろ‼」


「おお……」


「はぁはぁ……疲れた……。なるほどな」


「うん。今、没頭してるのが多くて、関西弁が没頭できなさそうだから、どれか、飽きたら、教えてほしい!」


「わかった」


ふう……勢いよくツッコミしたらトイレ行きたくなってしもた。

まぁ朝は転校初日なだけあって、緊張してたからな。その分のトイレに行きたさもあるんやろ。う~ん、ゆきちゃんとも仲ようなりたいし、トイレ誘うか。


「あの、あたし、トイレ行きたくなっちゃったから案内してくれん?」


「いいよー」


クラスを出て周りを見渡す。確かに誰もいない。他学年の声はするので、疑っていたわけではないが、ほんとに今日学年閉鎖なんや……と思った。


「ここだよ!」


ゆきちゃんはトイレに入るそぶりを見せない。


「サンキュ!待ってないで一緒に行こ!そこいちゃ、話せないやろ」


あたしはゆきちゃんの腕をつかんで女子トイレに連れてく。


「まって! どこに!」


「え、トイレやけど」


「なにトイレ?」


「女子トイレ。え、ゆきちゃんどしたん?なんでそんなにあわててるん?」


 するとゆきちゃんはヘルメットの中で泣きそうな声でこう言った。


「仏の顔も三度までって言ったよね! はぁ……うん……もう、いいよ!」


顔は見えないけれど、さっきまであんなに明るかったヘルメットの中が急に暗黒の染まったような気がした。声を荒くして怒鳴るなんて。ゆきちゃんが一変してしまった。なにか……重大ななにかをミスってしもたんか?なんや?あたしはなにをした?


「え、なにが?どうしたん?ゆきちゃん?」


「それだよ!ちゃんじゃない!ぼくは男だよ!」


「え…」


あたしはかなり重大なミスをしてしまったみたい……。

暗黒のヘルメットの下ですすり泣く声が聞こえた。




最後まで読んでくれてありがとうございます!短編の方も読んでくれたら嬉しいです!

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