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オムニバスユニークラス!!  作者: 友之絵朝陽
第二章 出席番号??番と??番と??番
14/15

第14話 ZooZoom

お久しぶりです。

次回の更新予定日は3月10日です。

「あー、昨日は散々な目にあったな……」


登校中につぶやく。

でも、今日は、今日こそは。

東京オシャレガールズトークするんや!

おしとやかな古典少女になって、いっぱい友達作ったるぞー!

学校の門が見えてきた。不安と緊張が混ざり合って心臓で跳ねる。あぁ…ドキドキするな。

昨日も味わったやないか、このドキドキ。


「あー!おはよー!こてんちゃん」


綺麗な声であたしに挨拶してきた、全身真っ白の人。宇宙服を常に着ているやつなんか一人しかいない。


「おー!おはよう宇宙」


昨日と違うのは宇宙と友達であること。ちょっぴり……いや、かなり変だけどとってもいいやつ。

クラスメイト全員に会う前に友達がいるってのはとても頼もしい。

周りの生徒は普通に喋っている。宇宙服を着ているやつがいることに誰も違和感を感じていない。慣れているんやろか。



「あ、そうや。まだあたし担任に会っていないんやけど、どういう先生なん?確か、腹巻先生から……トリックアートみたいな先生って聞かされてるんやけど」


「うーん……ハリボテサボテン」


宇宙は星座の地球儀のようなものをポケットの中にしまって答える。なんでそれがポケットに入るんや。


「サボテン……どういうことや?」


「確かにトリックアートかもね。会ってみたら分かると思うよ」


「トリックアート……まぁええわ。せやね。会ったらわかる。いやーそれにしても自己紹介緊張するわ」


「多分大丈夫だよ。うちのクラスは」


宇宙がヘルメットの中で、心配ないと頷く。

宇宙服着ているやつに言われても説得力ないんよな……


こんなふうに教室に着くまで餃子の具は何が好きかとか、くだらない話をする。

『西組!!』と筆でデカデカと書かれたドアが見えてきた。

これってよく考えたら、ただの落書きやん。なんか治安の悪いクラスやったら嫌やな。

そんなことを考えて、隣の宇宙服を着ているやつを見る。


「あれ、ドアが開いてない。今日も一番いちばん君、来てないのかー」


美しい声を出す宇宙。やっぱり脳が混乱する。

こんなやつが授業中、椅子に座って一緒に授業を受けているのを想像すると、治安が悪いんじゃないかという不安は、はるか彼方に吹っ飛んだ。

治安が悪いとかそういうレベルじゃない。


「おはよーございます」


『西組』ドアを開けて教室に入る。


「あれっ誰もいない」


「あ、そっか。昨日言ってたやんか。忘れてた。学年閉鎖なんやろ」


「でも、来れる人は来ていいって……じゃあ全員来れないのか」


天上からハンモックが吊り下がっている。さらにその下には筋トレの本と大きな目覚まし時計。


「ハンモックとかこのままやけどいいんか?」


「あー!忘れてた。今しまっちゃおう」


ハンモックたちは、宇宙の四次元ポケットに吸い込まれてゆく。いや、本当に四次元ポケットなんかこれ。


ガララッ!!


急にドアが開いて大柄な人が入ってきた。


「みんな、おはようだ!!!」


とてつもない大きな声で教室が揺れる。

白いタンクトップだけを着ている筋肉ムキムキな人。白い歯をキランと光らせてニカッと笑う。

髪の毛がツンツン尖っている。

見るからに体育教師って感じの暑苦しさだ。


「あれ、2人しかいないのか!!」


「おはようございます。あの……はじめまして。犬飼小天といいます。今日から、いや、昨日からこのクラスに入らせてもらっています。この1年よろしくお願いしますわ」


そう言ってあたしは、映画で見たプリンセスがするような両手でスカートを少し上げてのお辞儀をする。

東京の女性はこれをやるんやろ。きっと。


「そうか!!よろしくな!!!!俺はこのクラスの担任、暑草軟太あつそうなんただ!!!」


確かに暑そうな先生やな。この人のどこがトリックアートでどこがハリボテサボテンなんや?

あ、髪型だけは、サボテンやな。


「ちょっと!暑草先生。配信で朝の会やってくださいって言われてましたよね。さっさとパソコン立ち上げて配信はじめてください!」


腹巻先生がドアからヒョコッと顔を出して言う。


「そうでした!!!ありがとうございます!!」


「配信で朝の会か、コロナウイルスのとき以来やな」


ピロン


Zoomとか使うんかな。

パソコンの画面を見ると、『チャットアプリ Zoo』と書いてある。

Zooやと動物園やないか。


「みんなおはよう!!!27人全員いるな!!!」


パソコンを見ると、黒い四角でびっしりと画面が埋まっている。それぞれの生徒が自宅でパソコンを使って見ているのか。

全員、画面を映していないし、ミュートにしている。


ジジッ……


急に画面に『ハヤシライスが一番』と黒と黄色の文字で警告が出される。なんだなんだ。バグったんか?


「いいや!ビーフシチューだ!」

ミュートが解かれ、誰かが叫ぶ。


ジジッ……


また画面が変わり、今度は『ビーフシチューが世界一』と映し出される。

と思ったらまた『ハヤシライスが宇宙一』に切り替わる。するとまた、『ビーフシチューが全てにおいてNo.1』という画面になり……パッパッパッと次々に画面が変わっていく。


「おい、二人とも!!ハッキング合戦をやめろ!!」


暑草先生が大きな声を出す。すると、通常の画面に戻った。ただ、何か不具合が起きたのか、全員の画面が映し出され、みんなが何をしているのか分かるようになってしまった。


「今日は転校生の紹介をする!!えーと……犬飼っている子だっけ?どうぞ」


暑草先生が画面からいなくなる。

あたしは急に呼び出されて混乱する。とりあえず、暑草先生のいた位置、パソコンの正面に立つ。


「え、えっ~と……あの、犬は別に飼っていません。えー、ワタクシは犬飼小天と言います。あのー、古典文学が好きな一介の人間ですわよです。どうぞよろしくお願いします」


よし、東京っぽい感じで喋れてるんやないかこれ。


「誰か、コテさんに聞きたいことはあるか?」


小天だわ!!誰やねんコテさんって!


……なんて言えるわけない。ここで関西弁とツッコミ癖がバレたら、みんなから怖がれて学校生活が終わる!

自己紹介が一番大事なんや。しっかりしろ小天。大丈夫。東京オシャレガールズトークをするんや!!


暑草先生がみんなに聞くと、

「はいはいはーい!」

「まずは俺だぁ!」

「はい!」

「私には聞く権利がある!」

と、ほぼ全員が一斉にしゃべり始める。


よく見てみると、画面の中におかしなものばかりが映っている。


畑でトマトをかぶりつきながら手を挙げている麦わら帽子をかぶった女の子……

全ての話を聞かずに雪だるまに正拳突きをしているもの。

隣の等身大ハニワに抱きついているもの。

逆立ちして筋トレしているもの。

ランニングマシンで走りながら聞いているもの。

パンツとサングラスしか身につけていないもの……


「君!冒険探検海洋上空クラブに入るつもりない?!」


「あっ!!ずるいぞお前。じゃあ、小天さんだっけ?水の上を走りたくないか!?」


「私がかの有名なミスターパーフェクトゴッドオブゴッドなんだが、何か私に聞きたいことがあるかい?」


「先生すいません!怪人が現れたんで、変身してきます」


「ねぇ、 君専用の着ぐるみ作ってあげるよ」


「汝、竜の娘の鍵を握るこの本の中身……桜の主が捜索し紛い物に過ぎない夜の帝王と………化すのか?」


「儲かる話を知ってんだ。一緒に……」


「信じちゃダメだよ!こいつは詐欺師なの!!あぁ~!!逮捕したい」


「あれ、道に迷った……ここどこだ」


「俺の家だ!なんで俺の家に来てんだよ!!自分の家にもどれ」


「ガルルルル」


「よっしゃー6だ!トントントンと、なになに……質問するか迷って5000円無くす。そんなぁー!」


「お腹痛いんでトイレ行ってきます」


騒がしい!!!

これが問題児たちの西組か……

本当にZooやったんかい!!なんやこのクラス。おかしなやつらしかいないやんけ……。

……トイレは普通やな。


「えっと……なにから答えていいか……」


困っていると、腹巻先生がドアを開けてやってきた。

ひどく疲れていて緊迫した顔をしている。


「助けてください!!」






読んでくれてありがとうございます!

講談社児童文学新人賞。3月31日〆切、配送なので余裕を持って3月20日に完成させたいのですが、まだ50ページしか進んでおりません。学年末テストめ……!

何徹すれば終わるだろうか……推敲もあるのに。

とりあえず頑張ります。

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