第11話 フライちゃん 見つけチキンは マヨネーズ
遅れてしまい申し訳ないです!30日月曜日は朝ではなく夜に投稿します。
こうこうこういうわけなんや、とキョトンとした宇宙に説明する。
「と、いうわけで、顔洗ってくるわ」
と、ダッシュで走り出したが、あたしは、すぐに止まって宇宙の元へ戻る。
「あの……水道がどこにあるか教えてください……」
「あーさっぱり!」
顔を洗って鶏小屋に戻ってきたけれど、やっぱり、この鶏小屋大きいなぁ。
「とりあえず、こんなかにフライちゃんがいるってことでいいんよな?」
ゴゲーー‼コゲー‼と、けたたましい鳴き声と、バタバタバサッと羽の音。ザリガリと、くちばしや爪で金網を攻撃する音で、とてつもなくうるさい鶏小屋を見る。大きな小屋なので入り口さえも分からない。騒々しく駆け回る鶏ばかりで、ちゃんと数えられないが、ざっと三百匹以上はいる。
はぁ……裏宇宙にイラッときて乗せられたけども。これは……なかなか骨が折れそうな作業やで…。
「ッテッテレー!フライちゃん捜し機『見つけチキン』‼」
そういって宇宙服の右ひざのポケットから何か白いものを取り出す宇宙。
「『テッテレー』なんてゆうたら、ついに、四次元ポケット確定してしもたやんか」
「小っちゃい『ッ』で明確に違うから!青ロボットじゃないから!」
「いや、そない変わらんやんけ。……これは…マヨネーズ?」
宇宙が取り出したのはただのマヨネーズ。マヨネーズチューブにマヨネーズが入った、あのただのマヨネーズだった。
「そう、これが『見つけチキン』!」
「名称もなんかちょっとダサいけども。マヨネーズでどうやってさがすん?しかも、マヨネーズ減ってるやんけ。なんでちょっと使うてんねん」
「フライちゃんが近づくと、ふたがパカッと開くの。あ、ほらちょうど」
すると
フライちゃん検知。ピー――――――
と音がして、おなじみのマヨネーズの赤い蓋がパカッと開いた。
「あ、フライちゃんだ」
宇宙の見ている方向に目をやると、青いとさかの鶏がいた。鶏が積んである藁に乗っかっているので、ちょうどおんなじ目線の金網越しに鶏のあほ面がある。
何とも言えない微妙な空気が流れる。
その間もずうっと、ピー―――という音が聞こえる。
あたしは息をすぅっと吸い込む。
「いや、『見つけチキン』必要ないやんか‼青とさかで区別着くやんけ!そして、それマヨネーズである必要ないやろ!なんで蓋が開く仕様やねん。なんや、フライちゃんはマヨネーズ好きなんか⁉そのマヨネーズ使うときフライちゃんいたらピーピーうっさいぞ!絶対ハヤシライス博士やろ!変な発明ばっかして。なんや、ハヤシライスにマヨかけるんかーーー‼」
「ああ、そういや、かけてたね」
「かけとんのかい!」
「あれ、フライちゃんいない」
「え、ごめん!大声出して逃げてしもたか」
「小屋の中に入らないと捕まえられないから大丈夫。この中にフライちゃんがいる証明になったしね。入り口はこっちだよ」
あたしは宇宙についていく。丸い鶏小屋をグルっと回り、小屋の入り口についた。
「うわぁ……派手やなぁ」
『ようこそ!楽しい鶏小屋へ!』という大きな文字がネオンでカラフルにらんらんと光っている。
「ここはそんなに凝らなくてもいいとこやろ。全然合わへんし」
あれ、鍵がかかっている。そりゃそうか。鶏小屋って鍵かけてあるよな。
「鍵どうすんねや?」
「開ける」
「いや、開けるっつったって…」
宇宙はポケットから長い針金のような物を出してキランと光らせた。
「鍵開けか!昔ハマったってことやんな。ほんま…すごいな宇宙。え、でもそれ怒られへんか」
「まぁ平気だよ」
そう言いながら宇宙は針金を鍵穴に指す。
宇宙服のごつごつした手でよくそんな細かい作業できるわな……。
カチャカチャ……
「ん?そういや、鍵かかってんのに、どうしてフライちゃんが小屋の中にいるんや?そうやん。よく考えたらおかしいことやで。てか、どうして裏宇宙は鶏小屋にいるってわかったんや?」
「開いた!」
読んでくれてありがとうございます!