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オムニバスユニークラス!!  作者: 友之絵朝陽
第一章 出席番号1番2番
10/15

第10話 多重人格いたずら計画

次の更新は土曜の夜になります。今年が終わるまでは週二で更新します。

冬休みなのでたくさん書けるの楽しいです。

もうそろそろ新人賞なので年が明けたらそっちを優先して頑張っていきたいと思います。


「いや、でっか!ここ農業学校ちゃうやろ!なんでこんなでっかい鶏小屋があんねん」

 そう大きな声で言うと、裏宇宙が「やれやれわかってねーな」みたいな顔をして顔を振った。

「いいか、ここは裏山G中だぞ。何もかもがすげぇんだ。他校が『うらやまじぃ~』ってなるような学校だからな。ぷはははっは」

「ただのおやじギャグやん。何やそれ」

 こいつ……おやじギャグ好きなんか。

「ぷーーっふふ、ぷはははは」

まだ笑っとるし……。

「ま、そんなことはどうでもええ。で!さっきのクイズの続きは!もう考えてあんで。それとも鶏捕まえるんが先か?」

「いや、もうそのクイズはいい。どーせお前『Mr.(みすたー)宇宙』とかいうんだろ」

「そんな単純ちゃうわ!ま、英語なんは正解なんやろ。『you are man』って言おうとしてたんや」

「はっ、やっぱアホだな」

くそぉ、鼻で笑われた。むかつくわ。天使の衣かぶった悪魔みたいな、にやにや顔しやがって……。

「まぁもういい。とりあえずフライちゃんを捕まえる。ただし!」

「ただし?」

「宇宙返してやるよ」

「はぁ⁉」

 さっきまで頑なに、返さんって言っていたのに。どうしたんやこいつ。

宇宙こいつと一緒にフライちゃん捕まえろ。その代わり、俺が邪魔するからな」

「なっ、え、…どういうこと?」

 すると裏宇宙はカシャンと宇宙服のシールドを閉めた。闇のように黒い代わりにクリクリの目が見えなくなる。ヘルメットの中は暗い。

急に

「はっ!」

 と、宇宙服がびくっとする。そして周りを見渡す。そして、あたしを見る。

「おはよう……あぁ…ごめん」

「宇宙?宇宙なんか?」

「うん……厳密にいえばそうかもしれないし違うかもしれない。あの……ほんとにごめん。うちのタビがご迷惑を……。たぶんその血も……え、血⁉だだだ、大丈夫?うわぁ、あああ。どうしようごめん。ほんとごめん。すごい出血量。とにかく止めないと。タビがこんなこと……初めてだ」

「宇宙やな!裏宇宙じゃないんやな!」

 宇宙があわあわしている。ただそんなことよりも宇宙が帰ってきて嬉しかった。

「いや、これは血のりやよ。へーきへーき。怪我してへんから」

「あ、そうか……ポケットに入ってた『血のりの佃煮 死体ですよ』か。でもごめん。服が汚れちゃってる」

「ほんまに何でもポケットにあんな。血のりの佃煮て、なんて物騒な佃煮や。死体じゃなくてごはんにしとけや。まぁ、裏宇宙が全部悪いんやけどな。謝らんといて。宇宙は別に悪くないんやから」

「いや、タビが出てきちゃったのはぼくの精神が弱いからだよ。ごめん」

「謝るのはあたしの方やろ。むしろ。人を見た目で判断して。女子と間違われるの、宇宙、やなはずやのに気づかず何回も言ってしまったあたしが悪いんや。でもその…東京初めての友達やから、ちょっとテンション上がってもうて。ほんまにごめん」

「いいよそんなの。それよりさ、東京初めてだったの⁉やった!観光ガイドやってみたかったんだよね‼」

 暗いヘルメットの奥で目をキラキラさせてこっちを見てくる宇宙。

 切り替え速いなこいつ。

「そういや、さっき言っていたタビ?ってなんなん?」

「あーそれは……ぼくじゃない方の人格のこと。まー…はは気にしないで」

「あーそうなん……」

言うなり、カシャッと宇宙のヘルメットのシールドが開いた。中から綺麗で整った小顔が出てくる。ニマッと悪意のある意地悪な笑顔を向けてきた。

裏宇宙や!

「なんやなんや。お前、宇宙返してくれんとちゃうかったんか」

「ぷはは。邪魔するって言ったろ。俺はいつでも宇宙こいつと入れ替わることができるんだ。あの言葉を言われていない今ならな。それで。お前は宇宙こいつとフライちゃんを捕まえる。俺が一分に一回出てきて邪魔をする。……というよりお前にいたずらをする。轟GO連合会のやつらより先に捕まえられたら俺を宇宙に閉じ込めておく言葉を教えてやるよ」

「ふむ、なんやそんなことか。ルールが定められてんやな。じゃ楽勝よ。ところで裏宇宙、おまえ、タビっていうらしいやんか。お前ってなんなんや一体。さっきも聞いたけど何が目的なんや」

「へー…ぷはは。タビねぇ……。まぁいいや」

「まぁよくない!こっちが聞いてんねんぞ」

 裏宇宙はあたしの話を聞かずに、右足のポケットから何かごそごそと取り出そうとしている。

「まずは、景気づけにケーキをドン!」

「は?」

 裏宇宙が取り出したものはイチゴの乗ってないショートケーキ。それをあたしの顔に投げつけてきた。

「いや……(なんでそんなもんがポケットに入んねん‼)」


べちゃ


ツッコミも間に合わずあたしの顔にケーキのクリームがべったりと着く。


「ぷはははははは‼ぷーーー!景気づけにケーキ!ぷははははは!ケーキまみれだぁ!ぷっはっはっは、景気がいいなぁ。ぷははは」

「こ……こんの、やろ……」

 イチゴのないショートケーキはショートケーキとは言わん!という思想の強いツッコミを飲み込む。

さすがにプッツンや。これは。

「おま……何してくれとんねん‼」

「へ、あ、また?ごめん。わ、ケーキだ……」

「え?」

いつの間にヘルメットのシールドは閉められ、裏宇宙は引っ込んでいた。

「くそぉーーーー‼なんやあいつ‼いいよやったるわ。その勝負うけたる‼」

何が何だか分からないような、そんなことどうでもいいかのような顔をしている宇宙を隣に置いて、あたしは太陽に向かって吠えた。



読んでくれてありがとうございます!!

短編もぜひ!!

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