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「それで、私はとうとう本当に堕天使になっちゃったのかぁ」

 ミカエラは他人事かのように軽く嘆いた。彼女は魔王の魔力を受け取ることで実体を持って、見た目も変化している。シャルロッテと戦っている時のような力はもう残っていない。魔王も今は力が溢れかえっているわけではないのだ。

「じゃあ、女神様のもとへ帰還するという目的は潰えたのか。これからは何のために生きるのか」

 彼女の運命が不憫で何も言えない。親元とのリンクも途絶えて、かろうじて生きていた僧侶の命も消えかかっている。それを回避するには、本来敵である魔王に力を貸してもらうしかない。不確かで弱い存在だから現実の荒波によりもまれる。

「とりあえず、今はあなた達の人類侵攻の協力でもしようかな。あと、私はまだ背後霊のようにあなたを危険から守ることもできるからよろしくね、スぺクル」

 屈託のない笑顔を見て、俺の心は少しだけ救われた。生前の僧侶ではなくこの俺を認めようとしているのかもしれない。

 ミカエラはいつもの大きさに戻って、俺の肩の辺りを浮遊している。今回の戦闘でほとんどの吸血コウモリが焼き払われた。いくら繫殖力があると言っても、一ヵ月くらいは息を潜めておかないいけないだろう。そして、何よりも正体を魔法使いにばれたのが大問題だ。いつ大捜索が始められるのか分からない。


 またこの展開か、私は唇を嚙み締めた。魔王との戦いと同じミスを私は犯そうとしている。自分の正義感とか感情に振り回されて、結局無意味なことをしちゃう。頭の中がそのことでいっぱいになっちゃって正常な判断を下せなくなくなる。

 なんでまた私は大切な人を失わなくちゃならないの、ひたすらに悔しい。私は、女神の宿敵魔王に助けてもらおうとしている。これが愚かな判断かは分からない。

「おお、よく連絡できたな。それで要件は何だ、生憎今からそこへ俺が向かうことはできないが」

 スぺクルが魔王に反旗を翻したときにスぺクルの身体は爆発する。それなら何かしら監視手段を仕込んであるはずだ。だから、私はその回路を逆用して通話をする。闇魔法という小賢しい属性に助けられることになるとは……。

「今、私に可能な限りの魔力を注ぎ込んで下さい。そうしないと負けちゃうから」

 私は事情を説明しようと喋ったが、支離滅裂で逆に混乱させてしまった。そもそも魔王はスぺクルのことを監視しているから状況説明は不要なのに、そこまで気が回らなかった。

「良いのか」

 ただ一言確認してきた。切迫した状況を考えてのことだろう。私は頭を大きく振り、はい、と力を込めて言った。

 幸い魔王と私の属性は共に闇だった(私は魔王の魔力を浴び過ぎて変異しただけだが)ので身体の拒絶反応は起こらなかったが、莫大な魔力に悲鳴は上げていた。

 そして、私はスぺクルのことを庇った。


 


 

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