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42.大公家3

 国王の魔力低下、というよりも枯渇している状況らしい。その理由は全く分からない。ある日を境に急に枯渇した状況に陥ったそうだ。そのため、現状を維持する事と原因を調べるべく奔走しているらしい。



「魔力の枯渇か……そんなことあるんだねぇ。病気か何かじゃないの?」


「魔力が枯渇して寝たきり状態になっているそうだけど、病気ではないわ。宮廷魔術師達が()()の類じゃないかと躍起になって調べているみたいだけど結果は芳しくないわね」


 宮廷魔術師といえばエリート集団だ。その彼らが分からないとなると余程のことだろう。それにしても何が原因なんだろう?


「今は未だ内輪のみで秘密にしているけれど、直に感付かれるでしょうね」


「情報が漏れるのも時間の問題ってこと?」


「ええ。大公、もしくは宰相であるお父様の側から漏れる事になりそうだわ」


「えっ!?」


 何でそこに義父がでてくるの?


「そんなに驚く事じゃないわ。多分だけど、お父様は大公に味方してるはずよ」


「え……」


「そうでなければ幾ら大公家の令嬢とはいえ第一王子の婚約に反対していたでしょうから。陛下の魔力枯渇がなければ私を第一王子と婚約させて彼を王太子位に就かせたでしょうね」


 うわぁ……流石は義姉上。それは前回やった事だよ。


「大公家の令嬢は市井の出身。大公が認知したとはいっても王子妃になる素質は未知数でしょう。にも拘らず婚約したとなると勘ぐってしまうわ。宰相が国王派から大公派に寝返ったと。そうなると王位がどうなるのか益々分からなくなるわね。第一王子を国王に据えて大公家が陰で操るのか、それとも大公家から新たな王を即位させるのか。どちらにせよ王家は厳しい選択を迫られる事になるわ」



 歴代最高峰とまで謳われた国王の魔力。

 それ故に若気の至りと言うには些かやりすぎた感が否めないながらも即位できたとまで囁かれていた。

 やはりと言うべきか、国王の即位当時は反感を買っていたのだ。無理もない。領地持ちの貴族なら自領に引き籠ればいいが、宮廷貴族はそうはいかない。ぶっちゃけ、王宮に出仕して稼いでいる面子だ。国王が嫌いだから出仕しない(仕事しない)となると生活できない。かなり熾烈な権力闘争が繰り広げられたらしい。そして当時の『敗者達』は一掃されたと聞くが全く居なくなった訳ではない。反対派の息のかかった者が残っている。まあそんな感じなので国王に反発する貴族達は意外に多い。勿論、国王を支持する者も多いが、それは『力』に傾倒する者が多かったようだ。確かに凄まじい魔力の持ち主であった国王はそれだけでカリスマ的存在だった。それが今になって突然、魔力がなくなったのだ。反対派からすれば政権獲得の絶好の機会だろう。

 その反対派の筆頭が大公家だと言うのだから頭が痛い。というより面倒くさい。

 しかし、そうなると今回の婚約話にも納得できる点が多い気がしてきた。つまり大公家は王家を乗っ取る算段として第一王子との婚姻を画策したと言う訳だ。前のように義姉が婚約者にならなくてホッとする反面、あの義父が大公家に組したとなっては何か起こった時、僕達まで巻き添えを食う可能性は大いにあった。



 




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