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35.冤罪事件1


 数日後、公爵家が調べ上げた調査報告書が届いた。


 僕は知らなかったけど、ぺーゼロット公爵家には専門の情報機関があるらしい。まったく知らなかった。義姉上がいうには「当主直属の機関」だとか。それって義父は知ってるのかな?いや、きっと知らないんだろう。公爵家の婿でしかない男だからね。一年の殆どを王都で過ごしている婿が知っている訳がない。僕もヤボな事は聞かないよ。



「うわ~~っ……」


 報告書の最初のページで別の意味で感嘆した。

 大公家は近衛騎士団団長の長男を文字通り私兵としている。まあ、護衛だと学園でも報告が上がっている事から嫌な予感はしていたが此処までとは。


「仮にもカストロ侯爵家の嫡男にする態度ではないわね」


 義姉上も呆れ顔で報告書を読んでいる。

 

「そうだね。思いっきり護衛だ。……護衛と言う名の学友とかでもないって凄いよ」


 ジョヴァンニ・カストロ侯爵子息。

 彼は前回も護衛だった。相手は王太子だったけれど、はっきり言って護衛兼学友。周囲や王太子自身も彼を護衛ではなく『側近』と見ていた面が大きい。


「いくら腕が立つからって言ってもね。本家本元の護衛にすることはないだろうに」


 あの王太子でさえそれはしなかったぞ。

 ここまでくると逆に感心する。徹底して護衛として雇っているんだから。


「それだけ実力があるのでしょう。そうでなければ大公女の専属護衛になど選ばれないわ」


「うん。スゴイナーー」


 途中から片言になるのは許して欲しい。まあ、義姉も呆れた表情で深い溜息を吐いている。


「グラバー大公家はこの国でただ一つ残った大公家だからかしら。矜持が高いのでしょうね。王族じゃ無ければ高位貴族も下位貴族も等しく家臣なのよ。ある意味で王族よりも王族をしているわ。現王家でも侯爵子息をここまで顎でこき使おうなんて考えないでしょうに」


 義姉上の言う通りだ。

 下位貴族の爵位を受け継がない次男以下の男児ならともかく。


「まぁ……公平と言えば公平なんでしょう。一応、実力で選んでいるようだし」


 まったくもってフォローになってない。それって、王族以外の人間は貴族も庶民も一緒だと言っているようなものだ。公平と言えば聞こえは良いけど別のベクトルで人間扱いもしてない気がする。まあ、僕が言わなくても義姉は既に理解してるんだろうな。だからこその嫌味とも言える。

 

 でも、彼は前回でも自他共に認める「未来の団長様」だった。その実力は折り紙付き。十二歳から大公女の専属護衛になっている位だからもしかすると実力は前以上なのかもしれない。


 見た目は爽やかな美少年だが、幼少の頃より父親から剣術や体術の指導を直々に受けている。一見そうとは分からなくとも騎士団団長のソレを引き継いでいるのだろう。身体能力の高さに加えて鍛えれば鍛えるほど、モノになる。大公家の見る目は確かなようだ。



 



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