プロローグ
そう言えば書いてなかったと思って慌てて書きました。
内容自体は相当前から練っていたので、少しだけ手を加えて投稿します。
短いですが、お付き合いください。
人は誰だって夢を見る。悪夢、予知夢、明晰夢、警告夢······。
しかしながら、そのどれもが現実とは関わりつつも、どうしたって現実での出来事足り得ない。夢で見たものは全て虚構なのだ。
でもそれでいい。虚構でもそれは人の理想、あるいは精神を投影している。
悪夢を見ても現実にはならない。逆に現実には起こり得ない感覚を味わえる。不思議だと思う。
夢は現実に存在する非現実の概念そのものだ。覗こうと思っても目には映らない。だからこそ退屈しない。
そして、それらとは相反するように現実は退屈に満ちている。
テレビや動画を見て、あるいは友達とふざけあって笑った日もあった。
部活で悔しくて泣いた事も、砂を噛む想いをしてでも掴み取って喜んだ事もあった。
けれどそんな瞬間を過ごしたからと言って、瞬き程の時間が過ぎればそれもいつしか忘れる。
思い出してもあの瞬間には戻れない。数年遡ってやり直したいだなんて考えても、次の日には忘れる。
何かを成してもそれらは全て結果として残るだけで、余韻に浸る時間など与える隙もないまま次のその瞬間が来るまで同じ道のりをまた進んで・・・行き着いた未来がいつしか歩んできた道に縛られていたり。
他の道へ歩みを進めても、結局今まで歩んできた道を「ああ、あの時に比べれば」なんて思い出しながら、また同じように縛られる。
疲れてしまった。
いつからか、そんな退屈に疲れて夢を見ることを忘れてしまった。
目が覚めるまで、一切の光を見る事なく次の朝を迎える日々。
一度でいい・・・・・・一瞬でもいい。
これまでの人生なんか忘れてしまえるほどの自由が欲しい。
全てを投げ出してでも、有りもしなかった世界を見たい。
叶うことは無いと分かっている。あり得たとしても、想像通りには行かないと分かっている。
それでも、この望みを実現できるのは現実が介入する余地もない夢の中だけなんだ。だから一度でいい———
———俺は、夢を見たい・・・・・・。
こんにちは、水川です。
このプロローグからご愛読くださった方は初めまして。
以前同じ題材で小説を投稿していたのですが、いかんせん私の稚拙な文章にこの目が耐えきれず、没にしてまた新たにこの作品を投稿することにしました。
前書きにも据えたのですが、実はこのプロローグは第5章まで書いて実に2年もの間、この作品自体を塩漬けにした挙句に「そういやプロローグ書いてないじゃん」と思って執筆に動きました。
活動再開は第二章の添削で致した後に後書きで挨拶を添えております。
なんだかんだ語っていると、本編より長くなりそうなのでこの辺でペンを留めようと思います。今後も気長にお楽しみいただければ幸いです。