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プロローグ

初投稿です。よろしくお願いします。

 誰かの泣き叫ぶ声、崩れ落ちる建物に、辺り一面の炎。そして空を覆う巨大な黒い影。


(またこの夢か…)


 体は動かない。この夢はただ少年を苦しめるために何度も再生されていた。


 少年の前で少女が泣いていた。少女の横には黒ずんだ人間と思しき人型が横たわっている。恐らく少女の父か母だったのだろう。


 少年はこの少女の結末を知っている。だが見続けることしかできない。


 少女は目の前の黒い塊顔を埋め泣いている。その子のすぐ近くまで黒い影が忍び寄っていた。


(逃げろ。逃げてくれ…)


 必死の力で体を動かそうとするが動かない。これはただの夢に過ぎない。何度も同じ結末を見てきている。変わることのない結末を。


 黒い影は女の子の傍に立つ。

 女の子は泣いてて気づかない。

 影が手を伸ばす。

 泣声は聞こえなくなった。


 次は僕の番だ……。黒い影が僕を見る。目なんてないのに確かに見ている感じる。


 影が迫って来る。

 体が動かない。殺される。

 目の前まで影が来た。影がその手を少年にのばす。瞬間、全てが黒に染まっていった。


(もううんざりだ…)


 ――夢が崩壊し、少年アルト覚醒する(めざめる)


 アルトは汗だくになっている体を起こす。


「……朝の修練始めないと。」


 服を着替え、外へ向う。アルトは先程見た夢を打ち消すように修練に取り組んだ。



 ー1時間後ー


「師匠、朝食の用意ができました。起きてください!」


 アルトは未だ部屋から出てこない師匠に届くよう言った。返事はない。アルトはため息をつきながら師匠を起こしに向かった。


 アルトの朝は早い。1時間以上の朝修練を行い、その後に朝食をつくり、師匠を起こす。これが師匠の弟子になったアルトの朝の日課だった。


「まったく……。いい加減起きてください。いつまで寝てるんですか」


 アルトは師匠の部屋の扉を叩きながら言った。また返事がない。めんどくさそうな顔で、入りますよと言い扉を開けた。


 師匠は朝が弱く、寝起きが最悪だった。寝坊けている師匠はアルトが起こそうとすると馬鹿にならないレベルの魔法を放って、起こそうとする彼を排除しようとする。今日もそうなるんだろうなと思い、アルトは嫌々ながら部屋に入った。


 だが、そうはならなかった。部屋はいつもどおり散らかっていたが、ベッドの上に師匠の姿はなかった。


(あれ?いないのか、どうしたんだろう)


 アルトは師匠のベッドをキレイに直し始めた。師匠が急にいなくなるのは始めてではない。部屋を少し片付け、先に朝食を取とうと思ったその時、


「なんだこれ?」


 アルトはベッドの布団の上に無造作に置かれた紙に気付く。一見するとただの何も書かれてない白い紙だ。だけど、アルトは何か違和感を感じた。


(この紙、かすかに師匠の魔力が残ってる。もしかして)


 アルトは紙に自身の魔力を流した。異変はすぐに起きた。何も書かれていない紙に文字が浮かび上がってくる。どうしてこんな手の込んだことをと思い、アルトは紙に書かれた文章を読んだ。


 〜我が弟子アルトへ〜

 まずはこの手紙に気付いたことを褒めてやろう。魔力感知について私が言うことはもう無い。それだけではない。君も薄々分かっていたかもしれないが、この場所では君がこれ以上強くなるこはない!よって突然だが、次のステージへ上がるために新たな修行内容を言い渡す。


 我が弟子アルトよ、オルシウス魔導学院に入学し、友達をたくさんつくって卒業せよ。――


「は?」


 思わず間抜けな声がでる。混乱する頭の中で考える。


(確かに、力の伸びには悩んでいたけど、急に新しい修行って、しかも次の修行が魔導学院へ入学ってなんだそれ、だいたい何でこんな大事なこと手紙で伝えるんだ!全く何考えてるんだ…。ん?まだ何か書いてある)


 アルトは文章に続きがあることに気付き読み進める


 ――それと、学院の入学試験は明日だから急いでねー

 君の大事な大事な師匠 クロハより


 アルトの手紙を持っている手が震える。


「あの馬鹿師匠ォォー!!」


 アルトの怒りの叫びが部屋に響いた。


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