蒼月華
空には蒼く輝く十六夜月。
冷たき水面に揺蕩は蒼月。
水辺には名も無き華が咲く。
名も無き華は、空を見上げ
蒼く欠けた十六夜月に
その想いをよせる。
されど、届かぬその想い。
せめてもと、水面に揺蕩
蒼月と、一つになることを
請い願う。
なれど、自ら動けぬ
その身では、想うことしか
出来ぬ故、ただその時を待つ。
やがて時は過ぎ行きて
冷たき水面に揺蕩蒼月は、
名も無き華と、刹那の逢瀬を交わす。
その後も、十六夜月の浮かぶ日に
名も無き華は逢瀬を重ねる。
やがて、誰が名付けたか、
十六夜月の日に、水辺に咲く華を称し
[蒼月華]と呼ぶと言う。
空には蒼く輝く十六夜月。
冷たき水面に揺蕩は蒼月。
水辺に咲くはただ一輪の
[蒼月華]