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冒険者ゴートの一生  作者: ケバブ
四章
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ポートの街と駆け出し冒険者9

「ここがテッドさんの店か」


商業組合でテッドさんの店の場所を教えて貰った俺達はカンナに土地勘が有ったこともあり迷わずに到着することが出来た。


「なんだ、少し小さいけど立派な店じゃんか」


カンナの言う通り、売場こそこじんまりとしているもののしっかりとした建物で、話では行商が主だと聞いていたが、倉庫兼店舗で店頭販売も一応しているようだ。


「いらっしゃいやせぇ!」


大きな声に驚き目をやると筋肉隆々で上半身裸の上にエプロンを装備しながら、店の前を箒で掃除するという異質な男がいた。


「何かご用でしょうかぁ!」


この巨漢はこの声量が基本のようだ。


「あの…テッドさんは…」


驚きからかカンナが要件を伝えようとするが中々言葉が出てこない。


「テッドのアニキなら今奥で書き物をしてますんで少しお待ち下せえ!」


ところが男はアニキー、お客様ですぜーと叫びながら、奥へと走って行ってしまった。


呆然として立ち尽くすカンナ。一方俺はあまりの異質さに、警戒体勢で背中に隠してある鉈を掴みかけて我に帰った所だった。



「お待たせしまし…って、ゴート君じゃないですか!」


良かった。

しっかりテッドさんが出てきてくれた。

あまりにエプロン男のインパクトに謎の不安感があったため助かった。


「急に押し掛けてしまってすみません。実はご相談がありまして…」


「そうでしたか。まあ、とりあえず立ち話もなんなんで中へどうぞ」


テッドさんに促され、商談をするスペースだろうか小さな部屋へ入る俺達だったが、途中さっきの衝撃が忘れられずいったいどんな人なのか聞いてしまった。


「あぁ、彼はナムルといって私の後見人みたいなものでね。不器用だし、色々変わっているけど優しい男だよ」


そう話すテッドさんの表情は優しげで、二人の間に確かな信頼関係が見て取れる。あの風貌に初めは面食らったものの、いい人なんだろう。


一人納得し、改めてカンナと共に用意された椅子に座った後、ざっくりと事情を説明する。


「成る程…。それこそナムルで良ければ紹介しますか?今は僕が帰ってきたばかりで動くこともないですし、彼も時間があるみたいなので。報酬も組合への手数料分は抜きの相場相当で良ければですが」


「勿論です!是非お願いします!」


「それでは呼んできますね」


こちらとしては時間が無いところお願いしてるのだ。信頼できる人を紹介して貰えるだけで助かるというもの。


「なんかごめんな…ゴート…」


突然話し出したと思い隣を見ると、ものすごく落ち込んだカンナがいた。


「どうした急に」


「ウチが提案したのに全然知らないことばかりで色々迷惑かけてごめん。本当はお願いする前に調べておくべきだったのに…」


なるほど、言われて気が付いたが確かにその通りかもしれない。

だが充分反省もしているようだし、ここでカンナを責めても何も生まれないだろう。


「確かにそうかもな。でも今悔やんでも仕方ないし、その分明日頑張って働いてくれよ」


無言で頷くカンナ。

まだ明るい表情とは言えないが先程よりは幾分かマシになったか。


その後無事ナムルさんに運搬役をお願いすることが出来たので、明日の連携を確認するため街の外へ向かう俺とカンナであった。

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