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冒険者ゴートの一生  作者: ケバブ
一章
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セカの街の新人冒険者2

「気をつけるのよ~」


受付でうとうとしていたおばあさんに見送られながら出発する。

誰かに見送られる朝というのが新鮮で少し恥ずかしかった。


朝飯は昨日食べたバーガーの店。おっちゃんに共同住居の情報への感謝をしつつバーガーをがぶり。

朝一だからかパンが焼き立てで昨日よりも美味しかった。


「ここが冒険者組合かぁ」


俺は三階建ての大きな建物の前、冒険者組合の前に立っていた。一階が凄く広く二階三階は会議室のような部屋なのだろうかあまり広くはない。

 

よしっと気合いをいれ扉開く。


「誰か弓が得意なやつは居ないかっ!森で魔獣を狩りたい!」


「火の魔法が得意なんだが、空きのあるパーティーは無いか!」


入ってすぐ右側のフロアは朝だというのに熱気と喧騒で包まれていた。

これだ、これこそが冒険者なんだと不思議な高揚を感じる。


ふと左側を見るとまた違った雰囲気を醸し出していた。

ピリッとした緊張感の中で受付の担当者と商人のような人がハンドサインを使いつつ交渉をしている。

近くの職員に話を聞くと左側のフロアは依頼の申請や素材のやり取りをしているらしい。道理で雰囲気が違う筈だ。ハンドサインも他の商人にあまり情報を与えないためなのだろう。


話の流れで新規登録の場所を聞くと右手奥のフロアらしく、喧騒をくぐり抜け向かうと筋肉隆々スキンヘッド強面の恐らくベテランであろう職員が座っていた。


「すみません、新規登録をしたいんですが・・・」


恐る恐る話しかけると


「ようこそ冒険者組合へ!登録するのは初めてかい?」


風貌に反して爽やかで丁寧な対応に少し安心する。


「字は書けるか?大丈夫そうだな。この用紙に記入してくれ。わからない所が有れば気兼ねなく質問していいぞ!」


用紙を見ると名前や年齢、性別、得意武器や得意魔法、戦闘経験を書く欄がある。

早速書いていこう。

名前はゴート、年齢は十五歳、男、ここまでは良いとして得意武器は少し悩む。

志願兵の時に軽い訓練はしていたけどあくまでも基礎中の基礎。得意かと言われると自信はない。

わからないことを悩んでても仕方がないので受付の人に相談する。


「なるほどな。戦の経験はあるが武器の扱いも含め基本的には初心者と。この紙はあくまでも判断基準の一つにしか過ぎないし、お前さんのような伸び盛りは得意武器が変わることも良くある話だから取り敢えず使ったことのある短槍にしといたらどうだ?それに階級が上がるにつれて記入項目が増えた用紙で書き直すから下級の頃はあまり気にしなくて良いんだ」


と笑顔で教えてくれた。


ならばと言われた通りに記入していざ提出。


「確かに受け取った。初心者向けの講習を受けることが出来るがどうする?ちなみに戦闘訓練と座学の二種類あるが。」


迷う理由もない。こちとらなにも知らない雛のようなもの。少しでも事前に知識や経験を積めるならそれに越したことはない。


「両方よろしくお願いします。」


二つ返事でお願いする。


「慎重なのは良い冒険者の条件の一つだからな、良いことだ。そういえば名乗るのが遅れたな、冒険者組合職員のガイだよろしくなゴート。このまま俺が講習の担当にもなるからよ」


そう言いながらガイさんは受付を他の職員に引き継ぎ、二階にある研修室に案内してくれた。


「これから冒険者と冒険者組合について簡単な説明をする。そもそも冒険者とは・・・」


ガイさんの説明は面白くわかりやすかった。

忘れないように自分で要点だけは振り返る。


冒険者という表現は昔からの名残のようなもので仕事内容的には何でも屋がしっくりくるということ。ただ一部の上級冒険者は危険な未開の地の開拓などを行っているらしいが。

組合は冒険者の管理は勿論、国や各種組合との調整や細かい所では冒険者の品行調査等の仕事をしているということ。

冒険者は組合を通して商人や住民の依頼を受け狩猟や採取、その他にも警備や家庭教師など様々な仕事をし、報酬を得ること。

依頼には常設と限定があり依頼によって違約金や実績値が異なるということ。

実績値が一定まで溜まると昇級し、最初は十級で一番上は一級、九から七級が下級、六から四級が中級、三から一級が上級と呼ばれていて十級は見習いだということ。

冒険者カードというのが発行され、階級や実績値が記録されるので失くさないこと。

嘘を見破る魔道具が有るから誠実に行動すること。


「日々真面目に依頼をこなして、何か問題があったらすぐ相談することが大切だな」


最後に言われたこの言葉を忘れずに頑張れば問題無さそうだ。


続いて戦闘訓練のため一階に有る訓練所へガイさんに案内されながら移動した。

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