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冒険者ゴートの一生  作者: ケバブ
四章
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旅立ちの下級冒険者6

セカの街を出発して一時間程、既に街は見えなくなっている。


周りを見渡せと草原が広がっている。夏だからだろうか、草が膝の高さ位ある。野犬位なら隠れながら近付いてきそうだ。



周りを警戒しながら歩いていると、ネルさんが隣にやって来て話しを始める。


「そういえばゴート君、護衛依頼は初めてだったよね?」


「はい、今回が初めてなんで至らない所があったらどんどん言って下さい!」


「任せとけって言いたい所なんだけどね、護衛依頼って極端な話、依頼者からすれば守って貰えさえすれば良い訳で、これといった正解が無いんだ。例えば、今は一応俺の指示で動いて貰ってるけど、引き受けてくれる冒険者が経験豊富なら逆に指示を全部任せることも有るし」


「言われてみれば確かに依頼者によって違いますもんね。護衛依頼、奥深い」


「個人的に大事だと思うことは臨機応変に動く事と決断力かな。普通の依頼よりも様々な状況に対応する必要が有るし、その分だけ決断しなきゃいけないし」


「対応力か…。難しいですが頑張ります」


「まあ、今回の依頼の行程でゴート君が活躍するとしたら、野犬が出たときかな。一匹二匹ならともかく群れだと馬を守るのが大変だから」


「ただの野犬なら任せてください!魔獣も鹿位までなら何とか…」


「いやいや、本来ここら辺に魔獣なんて滅多に出ないから。三年前の魔狼が異常すぎただけさ。というかゴート君、魔鹿倒せるの?」


「ですよね。戦ったことが無いんで確実ではないですけど、悪くても撃退位は出来ると思いますよ。魔狼よりも強いってことは無いでしょうし」


三年前、俺は無傷の魔狼相手に激闘を繰り広げた。最終的にアークさんに助けられたがそこまでの力の差は無かった筈だ。それにこの三年間俺もただ漠然と過ごしていた訳じゃない。先輩冒険者に依頼して実践形式で稽古をつけて貰ったり、体術や身体能力の向上に努めてきたのだ。


魔鹿が魔狼より弱いなら負けるとは思えないし、勝たなければならない。


道端に落ちている小石を拾い上げる。


「なにか落ちてた?」


不思議そうにこちらを見るネルさん。いきなり何かを拾ったのだ当然の疑問だ。


「いやいや、これはただの石ですよ」


不思議がるネルさんをよそに、一団の右斜め後方に拾った小石を鋭く投擲。


「わっ!びっくりした…。ゴート君何か居たのかい?」


「あ、ネルさん、驚かせてすみません。野犬か狐か…。狼ではないと思いますが一応威嚇のために投げました」


「成る程。出来れば次からは一声かけてくれると助かるかな。急だと色々驚くし」


「あっ…。すみません。次からは気を付けます」


ネルさんに言われて気がついたが、俺は今まで人に指示を出したことがない。基本的に一人で依頼をこなしていたし、数少ない合同依頼でも指示を受ける側だったからだ。


これから護衛依頼や合同依頼を受ける際は情報の共有というのは頭に頭に置いておかなければ。




気が付けば夕暮れ。


村のようなものも見えないし今日は野宿かなと思っていた所でネルさんの声。


「ゴート君、もう少し進んだ所に共用の野営所が有るんだけど、今日はそこで泊まるから」


「共用の野営所ですか…。了解です」


「野営所っていっても小さな東屋と石組の釜戸が有るだけなんだけどね。まあそれでも大分助かるものさ」


確かに今は晴れているから良いとしても悪天候であれば屋根があるだけでかなり楽だろうし、雨のなかでも魔道具なしで火が使えるのは非常に助かる。


「夜番については野営所に着いてから説明するから、引き続き警戒よろしく」


「はい、任せてください」


野営所がゴールという訳じゃないが、もう少し頑張れば一息つけそうだ。


初めての護衛依頼、特段なにか問題が起きた訳でもないが想像以上に気疲れした。

自分だけならともかく、人を守らなければいけないという責任感は思ったよりも重かったようだ。


今後のことを考えると程よい緊張感というのを掴んでいかないといけないな。


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