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なにかこっかな?  作者: いねっしー
秋葉原という名のダンジョン
7/22

ラノベかライトノベルか、

初回から1週間後くらいです

そこから更に数日が経つ。

モヤモヤは積もる一方で解決にならない。

そんな時、俺の好きな漫画の発売日が来た。

モヤモヤは収まる気がしないが、とりあえず書店へ向かった。

「えーと、ワンポース、ワンポース」

この書店は左側がカードショップ兼ゲーム売り場右側に漫画などが売っている。

いつも通り右側から入ると漫画コーナーへ直行する。

「えーと、あった」

俺は早速レジへ行こうとした時、ふと気になって足を止めた。

この書店は右側に漫画などが売っているのだが、細かく割ると最も右側が参考書や実用書や小説

真ん中が漫画そして漫画の左隣にはもう一つのノベルコーナーがある。

前々から気にはなっていたがこの書店にはノベルコーナーが二つあるのだ。

今までは小説なんて読まなかったら気にしてなかったが今は違う。

ラノベというものを知った。

「入ってみるか」

このノベルコーナーは表紙の柄が漫画に似ている、

『ラノベって言うのは中高生むけの小説ってこと』

夢咲が言っていた事を思い出す。

「小説、ね」


 俺はついでに[ソートアートオンライン]というアニメ化のポップが付いているラノベを一巻買った。


何、これ。

俺は家の近くの街灯で立ち尽くしていた。

この内容、読み始めた時はなんかゲームの世界だなあ、と思ってボーっと読んでたけど、

完全に虜になっちゃったんだけど?!

最強の味方がラスボスってこれだけ聞いたらありきたりだけど、戦いの外にもいろいろあって、何より技名が………。

って! 今はそんな事を言ってる場合じゃねーよ!

はぁ、とりあえず家に帰るか。もう目と鼻の先だしな、家に帰って読めばよかったよ。

続きが読みたい、いま21巻まで出てるんだっけ?

全部買うのは骨が折れるよね。

「ただいまー」

いつもより一時間くらい遅れちゃったよ。

「兄貴ー! 遅かったね、料理冷めてるよ!」

冷めてるよって、お前の対応も冷めてるよ。

「本屋さん行ってたの?」

なぜかまだエプロン姿の妹が居間から顔を出す。

「え? あー、うん」

突然の質問にキョドりかける。

「ふーん、漫画?」

「え! あ、うん、漫画漫画」

反射的に俺は袋を隠す。

別にバレても良いけどなんとなくめんどくさそうなので隠したのだが、

「なんで隠したの?」

裏目に出たようだ。

「いや、隠してないよ」

俺は妹を跳ね除け部屋に戻ろうとする。

「嘘つけっ! 兄貴、エロ本買っただろ!」

舞は得意げに俺を指さす。

「な? 変な言いがかりつけんな!」

「それで帰りに自家発電して、遅くなった」

酷い言いがかりだな!

「おい舞! 兄貴で変なこと考えんな!」

やばい、いくら兄妹とはいえそっちはまずい…。

「じゃあ見せろっ!」

俺は舞に後ろ蹴りをくらう。

「グホッ!」

そこを馬乗りにされる。

「もらった! えーと、[ソートアートオンライン]?」

舞が訝しげにみる。

はあ、バレたものは仕方ない、ここは変に言い訳するよりも。

俺は開き直って言った。

「ああ、そうだよ! 今日買ったんだよ! お前みたいな腐ってる野郎は知らないと思うけどな、これめっちゃ面白かったからな! 例えばな……」

感想を切り出そうとした途端、


「知ってる、てか持ってる」


は?

「お前、マジ?」

「マジ」

見事なオウム返しだな。

「男同士のイチャイチャ以外興味ないんじゃ…」

「ちょ! 変な言いがかりつけんな!」

 俺は妹の拳を為すすべなく顔に食う。

「しかし、顔面偏差値平均以下の兄貴がライトノベルを読むとは、」

俺ってそんなにブサメンなのか? 夢咲にも同じこと言われた気がする、さすがに傷つくぞ、これ。

「というか、ライトノベル? ラノベじゃなくて?」

「は?」

舞がこいつはアホだと言わんばかりの表情になる。

「ラノベってのはライトノベルの略、あんたこんなことも知らないで買ったの?」

「う、うん」

「バカ?」

実の兄貴にバカとは失礼な!

「ちょっと待ってて」

舞が部屋に戻る。

「ってて、あいついつからあんな暴力的になったんだよ」

殴られた傷を触る。

「これ、貸してあげる」

舞が持って来たのは[ソートアートオンライン]二から八巻だった。

「あんたが読みたいけど買うお金ないなって顔してたから貸してあげる」

舞の突然の申し出に驚くが俺に断る理由などない。

「ありがとう! 舞! 今度お礼するよ!」

俺はそれを持ち上げいそいそと部屋へ戻ろうとする、

「別にいらないわよ」

舞ははっきりと言ったがその後小声で、

「兄貴が喜んでくれれば私は嬉しいから」

と続けた、残念ながら俺の耳は遠くないんだな、

まあ、聞こえなかったことにしておくか、触らぬ神に祟りなし、だからな。

そんな俺の作戦は的中したのか、舞は笑顔を零しながら。

「さあ! 兄貴風呂入って、私はご飯温めなおしてあげるから」

と言った。

だからエプロンだったのか、俺は一人で納得しながら部屋へ戻った。



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