第八話 街の散策と不穏な空気
宿を出ると、朝とはいえ、人はそれなりにいた。
食料品店、武器屋、防具屋、道具屋、服装屋など、日常品から装備品まであり、朝は食料品より装備品の方が売れる。
それは朝、街の外へ出て、魔物を狩るのに準備というか前日の準備でできなかった事や忘れた事があった場合に装備品の店に向かうのだ。
ジールは特に装備品は買うことがない。
なので、食料品を見ていく。
「野菜、肉、穀物などそれなりあるようだが、魚類はないか」
昨日、鳥亭の料理で魚料理がなかった(ジールはおすすめと言っていたので、出てこないのは当たり前だが)。
ハアルの町は海とは離れており、魚介類や貝類などの海の生物は届かない。
そのため、肉料理、野菜料理が多い。
「とりあえず、これとこれを買おう」
パンと自分が作るように小麦粉、そしてサンドイッチに挟む食材をいくつか買った。
昼食は街の料理屋。
今回もサンドイッチを頼み、その店を評価する。
「シンプルに味付けされた肉を焼き、その肉と野菜をパンで挟んだあると」
カツサンドとかではなく、ステーキを野菜と一緒にパンで挟んでいる。
「この肉汁が野菜とパンに染みって良い味が出てるよ」
昨日の鳥亭のサンドイッチに負けず劣らず、とても美味しいかった。
ジールの評価も悪くない。
その後、街をぶらぶらして夕方になると、鳥亭で夕食を食べて、ザギ二から貰った桶とタオルで体を拭き、ベッドで寝た。
その夜、ジールの泊まっている鳥亭の周りに数人の黒い人影があった。