二人の自分
初めての作品です
誤字脱字、アドバイス、質問などなど、感想の方でお待ちしております
出来るだけ返信していきます
話しの内容が少し重めです(重要)
読書の皆さんが楽しく読める小説を目指して頑張っていきます
緑が広がる草原、一度風が吹けば青臭い匂いが鼻へ抜けてくる
空を見上げれば、血の様に紅い空を烏は自由に飛び交っている、
正紀の心の中で何かが揺らぎ始めていた
鳥と俺たちは違う、鳥は怯えて暮らすことなく、自由に飛ぶことができる
あぁ、何かに怯えながら生きていくことが自由なのだろうか?
上野 正紀は広大な草原に寝転びながら、烏に手を伸し、呟いた
「今日も平和だな」
隣で寝ていた、石田 は呆れた顔でチラッと正紀の方を見て烏を掴もうと手を掲げる
「この空を見てよく言うよ」
「烏は神の使いって云う意味があるらしいぞ」
翔は立ち上がり正紀に向かって手を差し伸べる
「そんな事を覚える時間あったら、次のテストに向けて勉強しろよな」
正紀はしたり顔で翔の手を取った
「俺は学びたいことだけ学ぶんだ」
「自由で良いですこと」
ーーー
この世界には、群集に紛れ、人の肉を喰らい、人の形をしながら、人とは異なる存在、人食い鬼
人と鬼どちらかが消えない限り争いは無くならないだろう
だからこの本を通じて伝えたい事が三つある
一つ、信じるものは自分の目で決めるんだ、決して今までの常識に惑わされるな
二つ、自分の身は自分で守れ、守りたい人がいるなら守れるだけの力をつけろ、
最後は私からの願いだ、
ーーー
「おい、おい!」
「? どうしたんだよ、、、正紀」
翔は周りを見まわした、ここは行き着けのカフェ、チェリーだ、
外装は綺麗な木目柄で、外からは和の景色が一望できる
正紀は可愛い店員目当てで、この店に頻繁に通っている様だ
テーブルには読みかけの本と、コーヒーがある、コーヒーは大分時間が経っていたのか、かなり冷えていた
「おい!聞いてんのか!!?」
正紀は心配そうに、顔を歪ませてこちらを睨んでいる
「あ、あぁ大丈夫だよ」
「話しかけても、返事がないから死んだのかと思ったぞ」
「ごめん、ごめん」
周りがやけに静かだ何かあったんだろうか
翔は辺りを見回した
なんと、全員此方を心配そうに見ていたのだ
急に恥ずかしくなり、頰を真っ赤に染めた
「な、なぁ場所変えない?///」
正紀は呆れたのか、大きな溜息を吐いていた
「それは俺も思っていたところだよ」
ーーー
人通りも無くなり始めた路地でマサキは呑気に後頭部に腕を組みながら歩いていた
「結構奥まで来たな」
「正紀は緊張感が足りないよ、オーガとかに出くわしたらどうすんだよ」
「その時は俺が死ぬ気で守ってやるよ」
正紀は何かを悟った様に優しく笑って自分を慰めていた
「、、、そろそろ帰らない?」
嫌な予感がする、急に身体から汗がダラダラと出てきた
「そうだな、もう暗いしな」
路地から出たいのに足が動かない、体が重い、
目の前にいる親友が消えてしまうのではないかという不安と恐怖が押し寄せてくる
そして不安が的中した
翔が見たものは衝撃的なものだった
ビルから一人の男が落ちて来たのだ
「あっれーー???なんで僕ちんの縄張りに入ってんのかなー???」
それは自分と歳の変わらないくらいの青年だった
だがそれは人ではない、頭に角を一本生やし眼の色が緑に変わっている
人を喰う化け物、人喰い鬼だ
「翔逃げろ早く!!」
「あ、足が」
足が震えて動けない、逃げることも闘う事も出来ない僕はなんて無力なんだ
人食い鬼は四足になり涎を垂らしている
まるで獲物を見つけた獣の様に眼を血走らせている
「先に死にてぇーんだったら殺してやるよぉお!!!」
人と喰い鬼は地面を蹴り、あり得ない速さでマサキの首元を掴んで地面に叩きつける
翔は今、眼の前で起きている光景が理解出来ないでいた
「翔逃げ、、、ろ」
苦しくて、苦しくて息をするのでさえ辛いはずなのになんで僕の心配なんてしてるんだよ
ここで翔の心の中にあった何かが動き出す
俺を必死に逃がそうとしている親友が死んでいいはずがない、
居なくなるなんて嫌だ!
「僕が正紀を助けるんだぁああ!!」
翔は人食い鬼に向かって無造作に突っ込んでいく
「なんだこいつ?舐めすぎなんだよ!」
人には耐えられないであろう強烈な中段蹴りが飛んで来た
一蹴り受けただけで翔は紙の様に吹っ飛でいく
「骨が、、」
何本折れたか分からないが身体が曲がってはいけない方向に曲がっていた
ーーーー《ほら友達が死ぬぞ?》ーーーーー
頭の中から直接話しかけてくる感覚があった
(一体誰なんだ)
《俺はお前、お前は俺、まぁ簡単に言えばもう一人の石田 翔だよ》
中段蹴りを貰って頭が可笑しくなってしまったのだろうか、
(頭の中に直接話しかけてくる変態が僕?そんな訳がない)
《おいおい、心の声がダダ漏れだぞー、一応言っとくが正紀は後10秒もすれば、死ぬぞ?》
あの本に書いていたことをふと思い出した
ーー【自分の身は自分で守れ、守りたい人がいるなら守れるだけの力をつけろ】ーー
守りたい、、僕の隣にはいつも正紀がいた、馬鹿なことばっかしてたけど、それでも一緒にいた時間は僕にとって掛け替えのない時間だ
そんな大切な友達が今ぐったりと倒れている
生きていていれ、僕が絶対助けるから!
翔は人食い鬼に向かって手を伸ばして叫ぶ
「力が、アイツを殺せるだけの力を、僕の大切な人を守るだけの力を!」
《力は天から降って来るもんじゃない》
(今の僕は無力だ正紀を助ける力どころか自分の身も守れない)
(このままじゃ正紀が、、)、
《俺に任せろ今回は助けてやるよ》
(僕はどうしたらいい?)
《黙って寝てりゃあいいんだよ》
自分の意識がどんどんと薄れていく、マサキを助ける為なら悪魔に身体を渡してもいい、、、だから!!
《俺は悪魔なんかじゃねぇよ》
「さて俺の出番だな」
最後まで読んでくれてありがとうございました!
次の投稿は6月2日です