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召使いらしい

 

「酷い職もあったもんだ」

「あれ、気に入らなかった? 」

「当たり前だろ。あんな職とか、戦えないだろ」

「料理人は戦う必要無いんだよ」

「レベル上げないとスキル覚えないだろ」

「良いんだよ、レベル1で作れる料理だけで」


 呆れてものも言えない。


 こいつ、やっぱりオレを下僕にするつもりでゲームに誘ったんだ。

 どうしてオレがここまで虐げられないといけないのか、最近少しずつ思うようになっていった。

 見た目さえ悪くならなければ料理のバイトでも何でもして独立も可能なのに、どうしてオレの料理は見た目が悪くなるんだろう。

 負い目さえ消えたらこんな奴、とっとと見捨てて独立してやるのに。


「晩御飯は何」

「焼き飯だ」

「ちゃんと水気は無くしてよね。アンタの焼き飯、水気があったらさすがに食欲が失せるから」

「食えるから良いだろ」

「何言ってんのよ、食べられないから言ってんじゃないの」

「旨いと思うんだがな」

「いくら美味しくても限度があるわ。あんなドロドロな焼き飯とか、冗談じゃないわ」

「そこはほら、もんじゃだと思ってさ」

「どうして焼き飯をもんじゃだと思って食べないといけないのよ」

「文句を言うなら作らないぞ」

「はいはい、でも、努力はしてよね」

「はいはい」


 やっぱり下僕だ。


 焼き飯を作っていると、何故か飯粒が溶けてしまうんだ。

 だからドロドロな焼き飯になってしまうんだけど、味のほうはまともなんだ。

 なのでもんじゃだと思って食べれば問題無いはずなのに、今回は水気を切れと言う。

 前に水気を切ろうとしたら、煎餅みたいになったのをもう忘れたらしい。

 仕方なく、オレのはもんじゃ風であいつのは煎餅風な焼き飯になった。


「はぁぁ、そうだったわ」

「今更だろ、食えよな」

「参ったわ。以前、これで歯が欠けたのよね。もういいわ、それ、寄こしなさいよ」

「これはオレの晩飯だ」

「食べてあげるんだから感謝しなさいよね」


 どうしてそこまで言われないといけないのか、オレはまた考え始める。

 こいつは今でも引き取った事を負い目にさせ、下僕としての扱いじゃないのか。

 こいつの親はオレを安全パイと思っているのか、こうやって2人暮らしにさせている。

 そして料理洗濯掃除は全てオレがやり、こいつは女主人のようなオレに命令するだけだ。


 やっぱり下僕扱いなんだな。


 だからゲームの楽しみとかは置いといて、自分が楽しむ為にオレを簡単に犠牲にする。

 最初は素直な子だと思っていたのに、最近じゃうもうすっかり飼い主気取りだ。

 こんな相手に恋愛感情など生まれるはずがなく、だからこそ安全パイに見えたんだろうな。


 だけど、何時までもこのままと思うなよ。


 オレはそのうち独立するし、そうなったら簡単に捨ててやる。

 オレは自由を手に入れる為に、今はひたすら耐えているんだから。


「お前さ、オレをどう思っている訳? 」

「うん? 召使いよね」


 あっけらかんとのたまったよ、こいつ。


「そんな訳が無いだろ」

「あれ、でもうちの親はそのつもりだけど」

「タダ働きの召使いが何処にいるよ」

「何を言ってんの。ちゃんと生活費と学費を出してあげてるじゃない」


 はぁぁ、これで立ち位置ははっきりしたな。

 

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