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さくらのはな  作者: 日縒 千夜
夏は花火に海水浴
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47. 空に咲く花


 津辻達が西園寺家を訪れた次の日、真琴とゆり乃は神田山を訪れていた。

 同じ位の年の子と遊んだのが余程楽しかったのだろう。ゆり乃はすっかり通いつめるようになっていた。


 ただ、一人で来るのが恥ずかしいのか、毎日のように真琴の家まで迎えに行くため、ここ最近真琴としても忙しい日々を過ごしていた。


 ただ――


「お姉様、こちらへ来て一緒に遊びましょう!」

「はぁ? 真琴は今俺達と話してんだよ。ガキはガキ同士で遊んでろ」

「梅宮さんには話してませんわっ。ね、お姉様。いいでしょう?」


 この二人、仲がすこぶるよろしくないのだ。

 毎度毎度間に挟まれる真琴としては、悩みの種だった。


「後で私も参加するから、皆と遊んでおいで」

「……はぁい。絶対ですよ!?」


 昨日はゆり乃についたため、今日は洋平側につくことにしたようだ。

 洋平をひと睨みして去って行ったゆり乃に、真琴は溜息を溢す。


 洋平の言った通り、今は西園寺家の状況について話していた。

 昨日ゆり乃達が神田山に来ている間に訪れた不動産会社の社員。

 飛鳥からの報告では上手くいったとのことだったが、本当にそうなのか。

 上手くいったとして、建て壊された後本当にゆり乃は成仏出来るのか。

 出来なかった場合ゆり乃をどこに居させるか……考えることは山程ある。

 本来ならば本人であるゆり乃に決めさせるべき事ではあるが、彼女はまだ幼い。

 変に負荷を掛けて、()()になりでもしたら目も当てられない。

 なので基本的には彼女に内緒に、必要な部分だけ意見を取り入れるという形で話し合われるようになった。


「生意気なガキが」

「まぁまぁ、子供なんてそんなもんだよ。それに洋平くんだって子供のときはそうだったんじゃないの?」

「うっ……周、お前どっちの味方だよ」

「さぁ?」


 周の言葉で、洋平の眉間に寄っていた皺が解れる。

 穏やかな空気が流れるが、話し合う内容が内容なため、また次第に寄ってくる。

 一通りを話し終え、ゆり乃が業を煮やして真琴を再び迎えに来たとき、紺青色に染まる空に花が咲いた。


「――あ、」


 遅れてやってくる重低音。

 それを皮切りに、次から次へと打ち上がるそれに、呼びに来たはずのゆり乃も動きを止めて見入っている。


「あー……もうそんな季節か」

「すごい……!」

「でしょ? ここ、穴場中の穴場だから」

「わ、私皆を呼んで来ます!!」

「いいよ、俺が呼んで来る。ゆり乃ちゃんはここで見てなよ」

「あ、ありがとうございます。周兄様」


 さり気なく真琴の隣に座らせる周に、ゆり乃の頬が赤く染まる。

 風に乗ってやってきた火薬の匂いに目を細める。

 夏が、やって来た――


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