表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくらのはな  作者: 日縒 千夜
春は出会いと花見酒
2/59

2. 家族との再会


 海から陸へと上がる。真琴の生まれ育った町だ。

 意地の悪い霊に道を尋ねてしまったために、随分と遠回りをしてしまった。

 小高い丘の上に建つ実家が視界に入ると、自然と安堵の息を吐いていた。


 ここまで来る間に分かったことは、普通の生きている人間に幽霊は見えないが、幽霊同士は見えるということ。


 生きた人間のようにはっきりとではなく、半透明に見える彼ら。普通は驚くのだろうが、同時に死んだ人間が沢山いたため、真琴が慣れるのは早かった。

 身体の濃さは人それぞれのようで、もしかしたら死んでから経った時間等も関係するのかもしれない。



「ただいまー」


 遠回りしたとは言え、空を飛んで来たから意外と早く帰り着いたななんて考えながら、真琴は玄関の扉を通り抜けた。

 いつも通り出迎えに来た飼い犬のモコに笑顔を向ける。



 よく世間で言われているように、犬には生きていないモノも見えているようだ。

 撫でて撫でてとお腹を見せて喜んでいるけれど、今ばかりは触れられないこの手がもどかしい。



「ごめんね……?」


 様子が変なことに気付いたのか、心配そうな顔を向けてきた愛犬にもう一度口を開こうとするが、リビングの方から聞こえてきた泣き声によって掻き消された。


 何事かと急いでリビングへ向かうと、テレビの前で泣き崩れる母と、呆然と立ち尽くす父の姿が。




「真琴ぉ! なんで……なんでよぉ……!!」

「あいつは……本当に、これに乗るって言っていたのか?」

「そうよ! お昼には着くって……ッ」



 テレビに写し出されていたのは、つい先程まで真琴が見ていた風景。

 画面下には乗客の名前がテロップで流れている。


 そこに“桜庭 真琴(23)”の文字を見つけた二人は、それからは話すこともせずにただ泣き続けた。



「姉ちゃんはっ!?」


 ドタバタと音を立てながら凄い形相で帰ってきた真琴の弟、優希。リビングに入るなり放り投げたショルダーバッグから、大学で使っている教科書やノートが散乱する。


「姉ちゃんが死んだとか、ウソだよな!? なあ!」

「……優希」

「昼までには帰るって言ってただろ!? なんでまだ帰ってきてねぇんだよ!!」


 いや、帰ってきているよ。なんて突っ込む真琴の声が聞こえることはなく、優希は泣きながらずるずるとその場に座り込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ