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さくらのはな  作者: 日縒 千夜
春は出会いと花見酒
17/59

17. 予想外の事態


 予定より早く終わった真琴達は、眞弓達の様子を見に行く事にした。片桐曰く、残り二人の精鋭については心配いらないらしい。


 弟が虐めていたと聞き、怒りに震えていた眞弓。ストッパーとして藤井を付けたが、心配で堪らない様子の片桐。物凄い速さで移動するものだから、真琴は付いて行くだけで精一杯だ。



 ◇◇◇◇



 大通り沿いの高層マンション。

 思わず見上げた真琴だったが、片桐は慣れた様子で上層へと飛んで行く。一度調査の為に訪れたからだと聞いたが、何度来ても慣れないだろうと、足元を見た真琴は感じた。


 十二階。目的の家へと着いた二人は、ベランダからこっそりと中を窺った。特に問題が無い様なら、そのまま帰ろうと思っての事だったが、その光景に真琴は目を丸くする事となる。


 そこから見えるリビングは、空巣が入ったかの様に荒らされ、足の踏み場が無い程散らかっている。眞弓達(犯人)は見当たらないが、こうしている間も何かが割れる音が聞こえる為、まだ暴れているのだろう。


「やっぱり……」

「片桐さん、やっぱりって…?」


 予想の範囲内だったのか、そう呟いた片桐。真琴が尋ねると、苦虫を潰した様な表情で口を開いた。


「感情が、そのままエネルギーになりやすいみたいなの、幽霊(私達)って。器が無い分、感情がダダ漏れというか……だから、今回みたいに怒っている時なんかは特に注意が必要なのだけど……」

「うん?」

「下手したら、弟さん……死ぬわよ」


 そう告げた片桐の顔には焦りの色があり、もう一度聞くのは気が引けた。

 とにかく、危険だという事を理解した真琴は、何が何やら分からないまま、室内へと足を踏み入れた。


 物音と、眞弓の弟である(しゅん)の泣き叫ぶ声で、居場所はすぐに判明した。


 リビングとは比べ物にならない程散らかった室内。俊の部屋だろうか、床には男物の服が散乱している。その部屋の中央で、俊が泣き崩れていた。

 側に立ち、弟を見る眞弓の顔は何故か涙で濡れていて、そこから怒りは見て取れない。だが、今もそこかしこで部屋中の物が飛び交っており、片桐は首を傾げた。

 真琴は初めて見るポルターガイストに、思わず部屋の前で立ち尽くした。


「片桐さん……」

「藤井さん、説明して頂戴!」


 眞弓を止めきれずにいた藤井が、二人を見付けて駆け寄った。ホッとした表情を浮かべる藤井に、片桐が詰め寄る。


「何で泣いているのよ! 怒ってるんじゃないの!?」

「最初はそうだったのだけど……」


 藤井は言い難そうに言葉を濁すが、片桐のあまりの剣幕にぽつりぽつりと話し始めた。


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