修行。
今回も読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
特訓のシーンとか初めて書いたので、上手く書けているか不安ですが、お楽しみいただけたら光栄です。
先手を切ったのはカリンだ。
開始直後に、出せる全力の速度で俺に突進してきた。
確かにかなりの速度だが………俺からしたら遅い。
「直線的過ぎるぞ」
速度に身を任せた攻撃では、俺に攻撃を当てることは出来ない。
俺はそれを最低限の動きで回避した。
その瞬間、俺の目の前にライムの突進してくる姿が映る。
「っ!流石だな」
どうやらカリンの後ろに隠れて同様に突進してきていたらしい。
恐らくはカリンの案だろう。
俺のさっきの賞賛は、自分達で作戦を考えていたカリン達に対するものだ。
「でも、まだ甘いな」
最低限の動きで回避した俺に死角はない。
俺は軽くステップを踏んで、ライムの動きも回避する。
「ロプスとゴルドラも協力しないと、俺に攻撃は当てれないぞ」
俺の言葉に、ロプスとゴルドラもようやく動き出す。
でも、どちらも単体での攻撃なので、当然俺に避けられてしまう。
それをスタートにして、カリン達の修行は始まった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~〜
四日後、俺は最早恒例となった、眷属達の疲れ伏す姿を眺めていた。
対する俺はさほど疲れておらず、俺も眷属達も勿論無傷である。
「どうする?今日はこれで終わるか?」
毎日修行を行い、カリンの案のおかげか、眷属達のコンビネーションも上手くなってきた。
もう少しで俺に攻撃を当てることができるようになるだろう。
「優斗君、もう終わったの?」
そこで、リースと魔法の訓練をしていた舞が俺に話しかけてきた。
最近、俺は日中に修行ばかりしているせいで、舞に構ってやれていない。
勿論、夜の運動ではいつも仲を深めているが、ちゃんと埋め合わせをしてやらないといけないと思う。
……そういえば、埋め合わせといえば、修行に参加させていないアマルーナだが、あいつはあいつで空いた時間に特訓をしてやっているので、別に不満はないようだ。
「うーん、そうだな、もうこれ以上は無理そうだし、宿に帰るかな」
俺は改めて疲労困憊しているカリン達を見つめてそう言う。
宿に関しては、相変わらずハルノの宿を使わせてもらっている。
利用客も従業員も共に増え、充実した日々を過ごしているようだ。
何かと俺を優遇してくれるのは、感謝の気持ちの表れだろうか?
それはわからないが、日本の食べ物を食べることができるハルノの宿は気に入っているので、しばらくは住むつもりだ、
「わかった!リース、もう帰るよー」
『わかったわー』
俺の言葉に、舞は返事を返した後、ひらひらと空中を舞っているリースに声をかける。
その瞬間
『まだですよ!ご主人様!』
俺の頭に念が届いたかと思うと、俺の背後から何かが突進してくる気配を感じた。
「っ!」
俺は右に跳んでそれを避けるが、振り返った瞬間に、目の前に腕を振り上げるゴルドラの姿が映った。
「くっ………油断大敵、ってか!?」
俺は舞と話して気が緩んでる所を狙ってきた眷属達に心の中で賛辞を送りながら、そのゴルドラの腕を右に跳んで避ける。
修行中は、いつ狙って来てもいいと言ったのは俺だ。
勿論、いつ狙われても対処出来るという自信から言ったことだったが、一番良いタイミングで狙ってきた眷属達を見て、俺は純粋にその成長を喜んだ。
でも
「まだ甘いぞ!」
最初の突進がカリン、その次がゴルドラであると考えると、後は直線的な突進しかできないライムと、棍棒を使うが、余り素早くないロプスしか残っていない。
恐らくはゴルドラの攻撃で決めたかったんだろうが、少し俺を甘く見たな。
『っ、おで、まだ、諦めない!』
俺がゴルドラの攻撃を避けたのを見て、少し動揺した様子のロプスだったが、ほとんど間をあかず棍棒を持って俺に走りよってくる。
ライムの姿がないということは、ロプスの後ろに隠れて来ているのだろう。
「同じ策が通用すると思うな!」
俺はロプスの棍棒を右にステップして避ける。
これはライムの突進への対策も兼ねていたのだが
(ライムの姿がないっ!?)
棍棒を振り下ろしたロプスの後ろには、ライムの姿が無かった。
俺は慌てて周囲を見渡す。
そして、自分の計算違いに気がついた。
最初のカリンの念で完全に誤解していたが、最初に突進してきたのはライムだったのだ。
つまり、まだ攻撃していないのはカリンということになる。
一体どこに、と俺は周囲全てを視界に入れるようにするが、その答えは上からの衝撃が教えてくれた。
カリンは俺を油断させておいて、バレないようにロプスを踏み台にし、俺の上に跳んでいたのだ。
俺は最初の奇襲から、そこまで考えていた事に感嘆しながら、カリン達の方へ振り向く。
そして、二度目になる、カリンとライムを包む光を見て、そのタイミングの良さに僅かに呆然とするのだった。
次回進化ですね。
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