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職業リア充の異世界無双。  作者: すみを。
第一章 導入
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初めての魔物と謎の集団との遭遇。

その後、全員にステータスとジョブの確認の仕方を教え、俺達は森の出口を探して歩き始めた。


まあ、支給品に『コンパス』をもらったやつがいたおかげで既におおよその場所は分かっているんだけどね。


ちなみに『コンパス』の詳細はこんな感じである。


『コンパス』・・・行きたい場所を念じるだけでその方角を教えてくれる。


これはかなり使える支給品じゃないだろうか?

『コンパス』があれば迷うことはないということだ。


5分ほど『コンパス』が指し示す方向へ歩いていくと、俺達はようやく整備された道に出ることが出来た。


しかしその瞬間、俺は背後から強い衝撃を受け、地面に叩きつけられた。


……痛たたた…あれ?あんまり痛くないな。


あ、そうか防御値がEランクに上がってるからか。


ランクが1上がるだけでここまで変わるもんなんだな。


そんなことを考える余裕を持ちつつ後ろを振り返ると、そこにはスライムっぽいモンスターが……、うん、スライムだなこれは。


でも結構でかい。

1mはあるんじゃないかというでかさだ。


こんなやつに背中を強打されたのか…。


この本の効果が無かったら骨の1本は折れてたかもしれないな。


周りのクラスメイトは突然の魔物に怯えているようだ。

さて、どうしようか。


はっきり言って、いくらステータスが1つ高いと言ってもたかがEランクだ。武器もない状況で勝てる気がしない。


逃げるしかないのか……スライム如きから…。


しかし、その心配は杞憂だった。


「お前、よくも優斗を……」


どうやら一樹はスライムを悪とみなしたようである。

その証拠に、剣が白く光り輝いている。


一樹はその剣をスライムに振り落とし、スライムを一撃の下に葬り去った。


つえー。勇者の剣パネェ。


あの剣が光っている間は一樹の攻撃値はCランクまで上がっていることになる。


ランク1上がるだけでも格段に強くなるらしいのに、3も上がるとかもはやチートの域を超えているな。


「大丈夫か優-------」

「大丈夫!?芝崎君!!」


声を掛けようとした一樹を遮るように川口がこっちに走ってくる。


「ああ、大丈夫だ。ありがとう2人とも」


そう言って立ち上がる。


心配してくれることは純粋に嬉しいんだけど、周りの目が…ね。


これ、いつ後ろから刺されてもおかしくないな。


そんなことを考えながら歩くのを再開しようとすると、突然「「「パチパチ」」」という拍手の音が聞こえてきた。


そして、俺達の目の前に鎧を着た集団が現れる。


「今の攻撃……まさか、あなた様は勇者様でございますか!?」


どうやら一樹に用があるようだ。


「いえ、俺は別に勇者というわけでは…」

「そんなはずはありません!!その剣を持っているのは勇者様だけと伝えられています!」


どうやら過去にも勇者という存在はいたらしいな。


というか、『特殊ジョブ』の『勇者』が『???』になってない時点で気づくべきだったか。


そんなことより、今は目の前の状況をどうにかしないとな。


「一樹、『ジョブ』で確認してみたらどうだ?

もしお前が勇者なら『特殊ジョブ』のところに『勇者』ってついているはずだ」


「ん?あっ、そっか!

『ジョブ』!」


別に声に出す必要は無いんだけどな。


しばらく一樹は何も無い(ように見える)空間を見つめていたが、確認は終わったようで、その鎧の男性に向き直った。


「…どうやら、俺が勇者みたいです」


「やはりそうですか!そうであれば、早速我が国の陛下とお会いしていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」


「ちょっと待ってくれませんか」


俺は慌てて口を挟む。

これは間違いなく『魔王討伐して( ´﹀` )』とか言われるパターンだろ。


魔王の討伐がオミスの言う条件かわからない状態で、そんな時間ロスはしたくない。


「何ですか?スライム(笑)に倒されていたお付の方」


一樹と話していた時とはあからさまに態度が違うが、そこは今は我慢する。


「いえ、その、どうして俺達をその国に連れていこうとしているのかと思いまして」


「ふんっ、何を言うかと思えば。私が招待しているのは勇者様のみだ。お付の者共を連れていく理由などない」


流石にこの言葉は看過出来なかったようで、一樹が少し苛立ったように男に言い返す。


「お言葉を返すようですが、俺はみんなと一緒でなければあなた達についていく気はありません。

申し訳ないですが、お引き取り下さい」


「なっ!?

は、ははは、もちろん嘘に決まってるじゃないですか〜!当然、お付の方達にも付いてきて貰って結構ですよ〜」


一樹を、というか『勇者』を怒らせてしまったことがわかったのか、また男は手の平を返したような態度を取ってくる。


「それと、何故俺達をその国に連れていくのかも、教えて貰っていいですか?」


「はいもちろんです〜!

実は、この森には昔から勇者と呼ばれる者が時折出現すると言われていまして、私も実際に目にしたのは初めてなのですが、『もし見つけた場合は直ぐに我の元へ来させよ』と王に言われているのです」


…この男の態度は気に入らないが、どうやらこの男に付いて行った方がいいらしいな。


「一樹、ここは連れていって貰った方がいい」


「…うん、わかった。

では、王様の元へ連れていってもらってもいいでしょうか?」


「ええ!もちろん!」


そして、俺達はその鎧の軍団に付いていくことで、森を抜けることに成功した。


「へぇ、これは凄いな…」


森を出てすぐに、俺は思わず感嘆の声を上げてしまった。


森を抜けた先にあったのは、まるで戦国時代の城下町の様に賑わった街並みと、奥に見える巨大なお城だった。


街の様子をよく見てみると、様々な種族が混合しているのが分かった。


どうやら種族差別みたいなのは無さそうだ。


奴隷とかがいたら、日本人としてはやっぱり接しづらいしな。


かなり雰囲気も良いし、またゆっくりと見ていきたいものだ。


そんなことを考えながらその街通りを抜け、俺達は城へと辿りついた。


「勇者様、ここでございます。

どうぞ、お入りくださいませ」


城の門が開き、さっきのムカつく男以外は全員敬礼して俺達を(正式には一樹をだろうが)見送る。


どうやらこの男がこの兵士団の団長みたいだ。


その男に案内され、俺達は王様の元へ辿りつく。


てか城広いわ…。

10分は歩かされたぞ…。

俺がインドア派なのを忘れないで欲しい。


俺が心の中で愚痴っている間に、男は王様に事情を説明している。


最初はこっちを見るからに不機嫌そうに見ていたのに、『勇者』と聞こえた辺りから突然こちらを見る態度が変わった。


あ、この王様もあの男タイプか……。

この国は好きになれそうに無いな。


しかも一樹以外を見る目は明らかに刺々しいときた。

王様がそんなでいいのかよ…。


「よく来てくれた、勇者殿とそのお付の者共よ。

私の名前はオウマという。どうか、少し話を聞いて欲しい。実は少し前、この世界に魔王が現れたのだ」


はあ、やっぱりこれか…。


「その魔王の力は強力で、今もどこかで猛威を奮っているはずだ。そこでお願いだ。勇者殿のお力で魔王を討伐してはくれないだろうか?もちろん、その為なら我が国はいくらでも協力しよう」


まあ、こうなるよね。


てか、「協力してはくれないだろうか?」とか言ってるけど、協力するって言うまでは帰らせてくれないんだろ?どうせ。


まあ、今聞かれてるのは一樹だ。

この場は一樹に任せよう。


「その場合、俺達にメリットはあるのでしょうか?」


一樹が聞く。


確かに、さっきの話を聞いた限りじゃこちら側にメリットはない。


魔王と戦うなんてリスキーなことをするには、それ相応の報酬とやらが必要だろう。


「もし魔王を倒してくれたのなら、もちろん好きなだけ報酬を与えようと思う。それでは駄目か?」


「いえ………その、俺達を元の世界に返すというのは可能でしょうか?」


ちょっと待て一樹、この王様が俺達が異世界から来たってことを知っているかわからないぞ。


「元の世界…?勇者殿はこの世界の者では無いのか?」


ほら、やっぱり不審がられている。

今のは軽はずみ過ぎたな。


「いえ、なんでもありません。やっぱり、その報酬だけで充分です」


「ほう、では、引き受けてくれるのか!?」


「はい、俺で良ければですが…」


俺達の意見は完全に無視か。


いや、この場合一樹にしか聞いてないから俺達は関係ないのか?


そうなら個人的には都合がいいが。


「そうかそうか!

皆の者!宴の準備だ!勇者殿をもてなせい!」


「あ、ちょっと待ってください!」


ん?


「なんだ?勇者殿」


「その、みんなも一緒でも構わないでしょうか?

全員、特別な力も持っていますし、俺自身も、みんながいてくれると心強いので…」


おい待て一樹。


「うーむ、しかしそのお付の者共は戦うことが出来るのか?足でまといになられても困るのだが…」


「はい、多分ですが、みんな活躍してくれると思います。なあ?みんな!」


「おう!もちろんだぜ」

「魔王討伐とか怖いけど、楽しそう!」

「一樹君に頼りにされてる♡」

「一緒にいてくれると心強いだって!キャッ♡」


待て待て待て待て。

このままだと完全に魔王討伐コースじゃないか。

俺にはしたい事が山ほどあるというのに……。


「なるほど、分かった。しかし、条件がある。」


「なんでしょうか?」


「ジョブが『魔物使い』の者を連れていくことは出来ん。『魔物使い』は最弱のジョブと言われていて、本当に足でまといになってしまうからな」


ん?何か知らないが超都合のいい展開が来たぞ。


「それは、仕方がありませんね。

でも、確か俺の知っている限りではこのクラスに『魔物使い』はいなかったはずです。」


まあ、俺一樹に言ってないしな。


「だが、一応聞いておこう。勇者殿が把握していない者もいるかもしれないからな。この中で、ジョブが『魔物使い』である者は手を挙げてくれ」


誰も手を挙げない。


………俺以外は。


「え!?優斗!?」


「ああ、悪い、まだ言ってなかったな。俺のジョブは『魔物使い』なんだ。だから魔王討伐にはいけない」


「そんな………」


一樹もこれは予想外だったらしい。

まあ、俺が『魔物使い』だと知ってたらあんな条件飲まなかっただろうしな。


「そうか。では、そなたには悪いが、別室に待機してもらおう。他にはいないか?」


王様が他のクラスメイトに聞く。


まあ、全員のジョブを確認した感じじゃあ『魔物使い』は俺しかいなかったしな。


10人に1人にしては少なかったな。


おそらく、このまま誰の手も挙がらないだろう。


しかし、そんな俺の予想とは裏腹に、俺の視界の右側で手が挙がった。


「そうか、そなたもか。では、そなたにも別室で待機してもらうということでいいだろうか?」


「は、はい!大丈夫です!」


その声を聞いたとき、俺はついに耳がおかしくなったと思った。

何故なら、それがさっきまですぐ傍で一緒に話をしていた、俺の愛しの相手の声だったからだ。


だが、俺の耳は別におかしくなってはいなかった。


そう、手を挙げたのは、『精霊使い』である川口だったのだ。


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