ユウトの思い。
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「う……何があったんだ?」
「お、カール、目が覚めたのか」
「ああ……ってどうなってるんだ!?」
起き上がり戦場を見渡したカールが叫び声を上げる。
それも仕方がない。
現在進行形で魔物がどんどん殺されていってるからな。
「俺の眷属が魔物を殲滅中だ☆」
「いや『殲滅中だ☆』じゃねえよ!何が起こってんだよ!?てかユウトの眷属って何だよ!?」
カールは盛大にパニック中の様子である。
「まあまあ落ち着け。
てか、俺の眷属はカールも見ただろ?」
「ユウトの眷属を……?って!あいつか!?あの黒竜!!」
カールはあの威圧を思い出したようで、体をカタカタと震わせている。
てか、多分、調子に乗ったんだろうが、なんであいつは本気の威圧をこいつらにぶつけてんだよ………。
俺らの時でさえ、こんなに強くは無かっただろ。
もし、あの時アマルーナが俺らにこんな威圧をぶつけられてたら、今のイノマ達と同じ状態になってただろうな。
そう考えたら、あいつも最初は手加減でもしてくれたのかもしれないな。
「ああ、そうだ。アマルーナって言うんだ。よろしく頼む」
「いや、よろしく頼むって、お前!え!?何だ!?てことは、あの竜を倒したのか!?いや、そんな訳ないか……てことは罠にでも嵌めたのか!?いや、でもあの黒竜がそんな罠に嵌るわけが…………」
なんかカールがめっちゃ自問自答してるんだが。
てか、なんかカールキャラ崩壊してない?
あの冷静なカールはどこに行った。
「まあ、そのまさかなんだけどな」
「は!?じゃあ、竜を倒したってのか!?し、しかも、竜を仲間にするって………お前、本当に人間か!?」
なんか人類かどうか疑われました。
いや、違うか。
人間の限界ランクがB-ランクだから、普通に考えたらSランク級の黒竜を連れてるってことは、まあ人間じゃないって考えるのが普通だよな。
でも、俺は人間だし否定はしておこう。
「ああ、俺はれっきとした日本生まれ日本育ちの人間だぞ」
「いや、そのニホンっていうのがどこなのかは知らねーけどよ。じゃあ、竜が眷属ってのはどういうことなんだ?」
少しずつ冷静さを取り戻している感じのカールが俺に問う。
俺は特に隠す必要もないと思ったので、普通に本当のことを言うことにした。
「俺はな、人間って言っても普通の人間じゃないんだよ」
「普通の人間じゃない?いや、でも、獣人とかには見えないし」
「いや、そういう意味じゃない。
カールはこの国で勇者が召喚されたことは知っているか?」
突然話が変わったことに驚いたのか、カールが戸惑いながらも頷く。
「その勇者と一緒にいた内の一人が俺なんだよ。だから、俺は特別なんだ」
その言葉にカールが「はっ?」という顔を浮かべる。
まあ、この反応が普通だよな。
ハルノの時があっさりしすぎてたくらいだし。
「本当だぞ?
俺と舞は、魔物使いっていう理由だけで城から出されたんだ。まあ、舞は本当は精霊使いだったんだけどな」
『魔物使いだから追い出された』という言葉に納得したのか、カールが頷きながら同情の視線を向けてくる。
「いや、そんな目で見るな。なんか可哀想な子みたいになるじゃねーか」
「だって実際に可哀想な子じゃないか」
「そんなことねーよ。元々、こっちから言い出そうと思ってた事だしな」
「ん?そうなのか?何で?」
「俺には目的があるからだよ」
それ以上は言うつもりは無い。
どうせ、『神様の条件を達成させたい』とか言っても誰も信じないだろうし。
「まあ、その前にこんな戦争に巻き込まれちまったけどな」
「そうだったのか…。それはタイミングが悪かったな」
「いや、そんなことも無いぞ。これも俺の目的の一つかもしれないし」
オミスの条件がもしかしたら『魔物使いの地位向上』の可能性もあるしな。
有り得そうな可能性は潰しておくに限る。
「だからとりあえずは、この戦争を早く終わらせたい」
「…そうか、まあ確かに、あんな黒竜がいるんじゃ一瞬で終わるだろうな」
「ん?何言ってんだ?カール達にも戦ってもらうぞ?」
「え?」
おそらく全て俺がやるとでも思っていたのだろう、カールがポカーンとした表情を浮かべる。
でも、そんな顔をしても戦ってもらうことに変わりはない。
「じゃないと意味が無いからな」
「意味って……何のだ?」
「この国での……魔物使いの地位向上だ」
俺はこの国での目的をカールに告げる。
「これでもし、この戦争で命を懸けて戦ったのが魔物使いだとわかったら、国民はどう思うと思う?魔物使いが最弱っていうイメージが塗り替えられると思わないか?」
「それは……確かにそうかもしれないが」
「法律が許さないってか?そんなの、これからの動き次第ではどうとでもなる。その為に、魔物使いトーナメントで優勝したみたいなもんだしな」
「そうだったのか……」
カールが納得といった表情を浮かべるが、一つ腑に落ちないところがあったのか、また疑問の表情を浮かべる。
「でも、どうしてそこまでしようと思うんだ?
目的の一つである可能性があるからって、命までかけるようなもんじゃないと思うんだが」
確かに、このカールの質問は最もだ。
まあ、この質問の答えは二つある。
一つは、俺や舞はステータスが高いから死なない自信があるということ。
そしてもう一つは……
「そいつらの為だよ」
俺は未だに気絶しているティフィアとハルノに目を向ける。
「一人はその法律のせいで弟を奪われ、もう一人は同じく法律のせいでお客を奪われた。
そんな奴らを実際に目にして、放っておけると思うか?」
そう、俺が実際にこの国を変えようと決意したのはこの二人を見たからだ。
この二人の過去と、生き様を聞いたからだ。
「俺はな、別に俺自身がどんな扱いを受けようと別に構わない。例え俺のプライドが傷つけられようとも、大切な者さえ守れればそれでいいからな」
俺はそうやって昔から生きてきた。
この世界に転移する前も、転移した後も。
「だがな、俺が曲がりなりにも友達、大切な者だと思ってるそいつらが、自分のプライドを捨ててまで守ろうとした者を奪われて、更にそいつら自身にまで危険が及んでると知って、それを放置できるほど俺は腐ってはいない」
弟を奪われたと言った時のティフィアの表情、お客が来なくなった話した時のハルノの表情、それらは俺のよく知っている顔だった。
昔の、絶望していた頃の俺を見ているみたいだった。
「だから、俺はこの国を変えるのさ。
それに、こんな力を手に入れてしまったんだ。何もしないっていうのも、後味が悪いだろ?」
俺は思わず語ってしまった恥ずかしさを隠すために、少し誤魔化すように言う。
すると
「うわぁあぁあぁ」
なんかカールが号泣しだした。
「ちょっ、お、おい、どうした!?」
「うおぉおぉ、俺は感動したぞユウト!分かった!俺で良ければどんどん使ってくれ!」
どうやら何か変なスイッチが入ったみたいだ。
本当にあの冷静なカールはどこにいったんだ。
「お、おう、まあ、使うっていっても程よく戦ってもらうだけだけど」
「おぉ、それでも構わない。俺にこの国を変える手伝いができるってんならな!」
そう言って胸を叩くカール。
俺は素直にそんなカールに好感を覚えた。
「わかった、じゃあ、みんなが起き次第伝えてくれるか?アマルーナが打ち漏らした魔物を倒してくれ、って」
全員倒すとは言っていたが、おそらくこっちの思惑は分かってるだろうから、程よく打ち漏らしてくれるはずだ。
「お、おぉ、分かったぞ。
それで、ユウトはどうするんだ?」
「俺か?俺はちょっとあいつらを狩ってくる」
そう言って目を向けた先にいたのは、今回のリーダー格と思われる金色の虎と一つ目の巨人だ。
あいつらだけほかの魔物とは風格が違う。
「あ、あいつらは……Bランクの金虎と、Aランクのサイクロプスじゃねーか。
ユウト、大丈夫か?」
「ん?何言ってんだ。俺は竜を倒したんだぞ?心配なら自分の分だけしてろ」
「あ、ああ、そうだったな、あまりにも現実離れしすぎてて、忘れてしまってたぜ。
じ、じゃあ、武運を祈るぜ」
「ああ、お互いにな」
そう言って、俺は今まで黙って周りを警戒していた舞に行ってくると告げ、カリンを連れてサイクロプス達の方へと向かった。
本当はもう目覚めていた、こちらを熱っぽい目で見つめる二人の少女には気づかずに。
この章が終わればおそらくしばらくはほんわかパートになるかと思います。




