ティフィアの過去2。
今回も前回に引き続きティフィアの過去編です。
キリのいいところで止めたかったので少し短めになっていますm(__)m
感想お待ちしています|ω-`)
ティフィアは、イノマと戦った魔物しか持っていなかった。
故に、今のティフィアはFランクで、魔物も一体も持っていないという状況だった。
森の中は危険だ。
噂程度だが、黒竜が住むとも言われていて、兵士ですら一人で入るのは自殺行為と言われている。
だが、ティフィアはそこに一人で入った。
心細かったし、怖くなかったといえば嘘になる。
だが、その時のティフィアは、ペリトを救うということしか頭になかったのだ。
最初は自分を鍛えるのから始めた。
強い魔物を使役するには、魔物使い自身が強くならないといけないことは一般常識なので、ティフィアでも知っていたからだ。
毎日山を走り、Fランクの魔物を見つけては素手で戦い、着々と強さを身につけていった。
一年後、ティフィアは13歳になり、スライムを眷属にすることに成功していた。
スライムを眷属にしてからは、スライム相手に戦術を学び、野生の魔物で実践していった。
もちろん、日々のトレーニングも欠かさず行った。
この頃から、ティフィアは森の中で自給自足の生活を送るようになった。
更に一年が経ち、ティフィアは14歳となった。
Dランクの白兎の魔物を眷属にし、ティフィア自身もDランク程度の相手になら後れを取らないようになっていた。
この時のティフィアの心を占めていたのは、イノマに対する怒りのみ。
ただペリトを助け出すという気持ちだけで、毎日特訓を積み重ねた。
そして約束の三年後、ティフィアはC-ランクの猪の魔物を眷属にすることに成功した。
そして、魔物使いトーナメントがある一週間前に、森から街に戻ったのだ。
街に戻ったティフィアが最初に思ったことは、久しぶりの街に対する懐かしさではない。
ついにこの日が来たのだと、その気持ちだけだった。
そして登録を終えていよいよトーナメントの日、ティフィアが自分の出番を待っていると、控え室がざわめき立つのを感じた。
注意深く聞いてみると、ユウトという少年がイノマに喧嘩を売ったというではないか。
ティフィアはその少年がどんな少年なのか気になって、話しかけてみることにした。
第一印象は、ぱっとしない、これといって特徴もない平凡な少年、という感じだった。
それは実際に話してみても変わらなかった。
イノマの強さを直接体験している身としては、この少年の言うことはただの理想論でしかなかった。
だから、ティフィアは口では本戦で戦いたいなどと言いながら、ユウトという少年が勝つとは思っていなかった。
その後、ティフィアは無事に予選を終え、イノマの番になった。
ティフィアがその映像を見て思ったことは、「イノマが三年前に比べて丸くなっている」ということである。
でも、そんなことはティフィアには関係ない。
ティフィアはそっと復讐心を心に宿していた。
そしてDブロック、いよいよユウトの出番である。
ティフィアは、もしかしたらユウトもそこそこ強い魔物使いなのかもしれないと、少し期待しながら見ることにした。
だが、その期待はすぐに裏切られた。
ユウトが出した魔物は一体、しかもスライムだったのである。
はじめにスライムを眷属にしたティフィアにはわかった、この戦いにユウトは勝つことが出来ない、と。
それがわかった瞬間、ティフィアは確かにユウトに失望した。
結局、ユウトの言っていたことは理想論だとわかったからだ。
だが、その期待も今度はいい意味で裏切られることになった。
ユウトはそのスライムのみで圧倒的な強さを見せつけ、本戦に出場したのだ。
ティフィアは実際見ていながら、その光景を信じられないでいた。
だが、ティフィアの心は、弱い魔物が強い魔物を倒したということで、確かに色づいたのだ。
その後、ユウトに自分の悩みを尋ねられた時、確かに一瞬、ティフィアは迷った。
もしかしたらユウトならこの悩みをどうにかすることができるのかもしれないと、不思議とそういう考えが浮かんできたのだ。
だが、ティフィアは結局拒絶してしまった。
この戦いは自分とイノマの戦いだと、そう思い直したからだ。
そして、その後は予想通り、ティフィアとイノマとユウトが準決勝に残った。
ティフィアは遂に約束の戦いだと、心を引き締めた。
だがいざ勝負の直前、ティフィアがイノマに約束の事を聞くと、イノマはこう言ったのだ。
「あん?何のことだ?」と。
ティフィアは当然怒った。
だが、弱者には教えてやれないという意味だと思い直し、イノマに戦いを挑んだ。
だが結局は敗北、ティフィアは悔しさで心がどうにかなってしまいそうだった。
だが見苦しくても弟のためだ。
イノマにもう一度待ってくれるように頼もうとする直前、イノマはティフィアにとって最もショックな事を言った。
「ていうか、俺とお前、会ったことあったっけ?」と。
ティフィアの頭は真っ白になった。
つまり、イノマにとってあんな約束はどうでもよく、ティフィアの存在すら忘れていたということだ。
こうなれば、ペリトがどうなったかすらも目に見えている。
ティフィアは悔しさと、そして悲しさで動かなくなる寸前の足を動かしフィールドを出た。
そしてそこには、自分の事を考えてくれていると一目でわかるような、そんな真剣な表情をしたユウトがいたのだった。
毎日投稿を極力心がけますが、無理な場合は遅れる時もあります。
ご了承くださいm(__)m




