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職業リア充の異世界無双。  作者: すみを。
第二章 アマルーナ編
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最上位と最強種。

今回は舞視点から始まっています。

舞が話す時は基本丁寧語です。

戸惑う事のないようお願いいたします。

---舞---


私は今、涙を堪えて必死に森を走っています。

私が走ってきた向こうには、私の彼氏である優斗君が私を守るために竜と戦ってくれています。


それも全て、アルナという男の人のせいなのです。


でも、私はそのアルナという人に対してよりも、自分自身に対して怒りを感じています。


なぜなら、私が弱いから。


本当なら私も優斗君と一緒に戦って、一緒にいたかったけど、私の弱さがそれを許しませんでした。


強くなりたい。

優斗君を、好きな人を守れるくらい強く。


私は優斗君を助ける方法を探して、無我夢中で、ボロボロになりながら森の中を走り回りました。

幸いなことに、まだ爆発音が響いていることから、優斗君は負けていないのだと分かります。


そんな中、私はある不思議な場所へと辿り着きました。

そこには何かがあるわけでもなく、普通の人からしたら森の一部にしか見えないでしょう。

でも、私は無意識の内に叫んでいました。


「精霊さん、助けてください!」と。


その直後、私の目の前に白色の光が浮かび、中から女の子が飛び出して来ました。


私はそれが精霊であると直感で理解し、その女の子に必死ですがりつきました。


「私に力を貸してください」と、何度も、何度も。


その時、私は思い出しました。

『精霊使い』が精霊と契約を結べるかどうかは、本人の器の大きさによるということを。


私の器が大きいかなんて、私にはわかりません。

それでも、私は精霊さんに力を貸してもらえるように、自分の想いを全て吐き出すことにしました。


「今、私の大切な人が竜と戦っていて、でも、私は何もすることができませんでした」


話しながら、我慢出来ず涙が出てきてしまいました。

私はそれを拭って続けます。


「私は、あの人を守りたい!でも、私にはその力がありません。

だから、お願いします。精霊さん、私と契約を結んで、力を貸してくれませんか!?」


『……………』


精霊さんは何も言いません。

私の気持ちが伝わらなかったのでしょうか?


『……い』


精霊さんが話し始めます。


『…嫌よ!』


私はその言葉にショックを覚えました。

自分の気持ちを伝えきれなかったのだから当然です。


「そう、ですよね……。ごめんなさい、無理を言ってしまって」


私は別の方法を探すために引き返そうとしました。


『ちょ、ちょっと待ちなさい!』


しかし、精霊さんによって引き止められてしまいました。


『で、でも、別に、どうしてもって言うんなら、契約を結んであげてもいいけど!?』


どうやらこの精霊さんはツンデレだったようです。


「本当ですか!?精霊さん、ありがとうございます!」


私は嬉しさのあまり思わず精霊さんに抱きついてしまいました。


『ちょ、ちょっと、離れなさいよ!

それに、折角契約を結んであげるんだから、精霊さんじゃなくて、ちゃんとした名前をつけなさいよね!』


名前、ですか。

精霊と契約する時には、『魔物使い』と同じで名前をつける必要があるんですね。

この精霊さんは女の子みたいだし……


「じゃあ、精霊さんの名前は今日からリースです!

よろしくお願いしますね」


『ふ、ふんっ、分かったわ!

それと、敬語もやめなさい!あなたと私はこれで対等な存在なんだから!』


リースがそういうのなら、私も普段の口調で話すことにしましょう。


「分かった。その代わり、リースも私のこと舞って呼んでね」


『わ、分かったわ、よろしくね、舞』

「うん!」


っと、こんなに呑気に話している暇はありません。

今すぐ優斗君の元に戻らないと。


「それじゃ、行こ!リース」

『ええ………じゃないわ!先に契約を結ばないと!』


どうやら契約というのは口約束だけではダメみたいです。


「ええっと、私はどうすればいいのかな?」

『特に何もしなくて結構よ。

できれば静かにしていてちょうだい』

「わかった」


私はリースの言う事を聞いて、口を閉じることにしました。

リースはとても集中した様子です。


『我、四大精霊の一角リース、この者の器を図りて、我に相応しいと認めたり。よって、今この時より、我はこの者と契約を結ぶ』


そう言って、リースは私の右手の甲に魔法陣の様なものを書きました。


それより、今四大精霊って言ったよね?


『これで契約完了よ!早く、その大切な人の元へ向かいましょう!』

「待って!リース。四大精霊ってどういうこと?」

『急いでるんでしょ?それは移動中に説明するわ』


私は優斗君の元へ向かう途中に、リースのことについて教えてもらいました。


『精霊の中にも優劣があってね、私はその中でも最上位に位置する四大精霊って呼ばれる者なのよね!だからもちろん魔法も使えるし、竜も私一人で倒したことがあるわ!』


という、とても心強い言葉を言ってくれました。


そして、私達はようやく優斗君の元へと辿りついたのです。



---優斗---


俺は舞に「すぐに逃げろ」と伝えようとする。


竜に敵と見なされたら殺されてしまうからだ。


だが、体中を走る痛みで言葉を発することが出来ない。


「大丈夫だよ、優斗君。すぐに回復させるから待っててね」


回復?

俺は舞が何を言っているのかがわからなかったが、すぐに知ることになった。


「来て、リース!優斗君を回復できる?」

『へー、この子があなたの好きな人なのねぇ。

まあ、このくらいなら余裕よ』


俺は、突然知らない女の子が舞の後ろから出てきて驚いた。

微かに光っているように見えるが…これは?


「この子は私がさっき契約した精霊なの。

リースって呼んであげてね」

『よろしくね、優斗。回復させてあげるから大人しくしてなさい』


さっきから驚きの連続だ。

こんな短時間でまさか精霊と契約するとは。

でも


「舞、逃げ、ろ」


俺は力を振り絞って声を出す。

竜にこの精霊、リースが勝てるとは思わなかったからだ。


『あんまり私を舐めないでよね!こう見えて最上位精霊なんだから!

ほら、回復させてあげたわよ』


リースが俺に触れ、少し経っただけで俺は体を動かせるようになった。


というか、最上位精霊?


「リースはね、四大精霊って呼ばれる精霊の一体らしくて、竜も一人で倒したことがあるんだって!」


舞が追加で俺に説明してくれる。

そんな凄い精霊だとは…。

何事も見た目で判断してはいけないな。


『それで、妾を倒す作戦とやらはどうなったのだ?』


竜の声が聞こえ、俺は緊張感を取り戻す。


舞が戻ってきて気持ちが緩んでしまっていた。


だが、さっきよりは気持ちが楽だ。

リースがそんなに強い精霊ならば、もしかしたら勝てるかもしれないからだ。


「じゃあ頼むぞ、リース!」


『ええ、任せなさい!

それで竜は……………っ!

もしかして………あいつ、なの!?』


さっきまでの強気がどこへ行ったのか、リースは竜を指さして怯えた表情を浮かべる。


「そ、そうだが、どうした?」

『あ、あなた、よく生きてたわね。

私が倒したって言ってた竜は、強くてA-ランクってところ。それでも十分上位に値するんだけど……』


嫌な予感がしてきた。


『あの竜は、鱗が黒いから、おそらく全竜の中でも最上位に君臨している竜よ。黒竜は最強種と呼ばれているの。私でも、倒せるかわからないわ』


『ふむ、そう言えば名乗っていなかったな。

妾の名前は黒竜アマルーナじゃ。覚えても意味が無いと思うがの』


その名前を聞いた瞬間、リースがさっきよりも凄い勢いで震えだした。


「お、おい!どうした!?」


『黒竜、アマルーナ。どうしてこんなところに…?』


『ふむ?おお、お主は四大精霊の一体ではないかの?

妾はただ、することが無くなって旅に出ていた時に、森を荒らす者がいたので罰を与えようとしているだけじゃよ』


アマルーナが答えるが、リースは震えたままである。


「そんなに震えて、どうしたんだ?リース」


俺が聞くと、リースが衝撃の言葉を返した。


『黒竜アマルーナは、竜種のトップよ』


俺も舞も、その言葉を聞いてしばらく反応することが出来なかった。


「マジかよ…」


最悪の展開である。

最初にエンカウントした竜が激強で、更に敵だと?


本格的に無理ゲーである。


『こうなったら仕方ないわ!

私が何とか時間を』


『させると思うのか?』


竜が先程とは比べ物にならない威力のブレスを吐いてくる。


やはり、さっきまでは遊んでいたのか。


『……っ!精霊の守り(スピリット・ガード)


リースが咄嗟に俺達を囲むように障壁を作る。


轟音。


リースの障壁はなんとかブレスを防いだようだ。


もしもこれが無かったら俺達は今ので消し飛んでいただろうな。


『…人間の限界がB-ランク、精霊でもA+ランクって言われてるの。それに対してアマルーナは間違いなくSランク、最悪ね』


その言葉で更に俺達は絶望に包まれる。


つまり、どう頑張ってもアマルーナには勝てないということだ。


『ごめんね、舞。あなた達を助けること、出来そうに無いわ』


「そ、そんな!リース!」


『私に出来ることと言えば、5分くらい、本気で精霊の守り(スピリット・ガード)をして時間を作ることくらいね』


おそらく、リースだけだったらこのまま逃げることが出来るのだろう。


それでも、リースは俺達のために5分間時間を作ってくれると言っている。


ならば、それをありがたく受け取ろうじゃないか。


「わかった、ありがとうリース」

「優斗君まで!」

「ごめんな、舞を巻き込んでしまって」


そして俺達はリースの作ってくれた時間を使って話し始めた。





優斗達絶対絶命のピンチって感じですね。


そろそろ主人公チート化するかな|ω・)

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