俺達は気がつくと森の中にいた。
高校生の書く拙い文書ですので、誤字脱字が多々あると思いますが、その時は教えていただけるとありがたいです!
感想、評価、ブクマよろしくお願いしますm(__)m
教室を眩いばかりの光が包む。
あちこちからクラスメイトの叫び声が聞こえ、視界が一気に真っ白に染まる。
そしてようやくその光が消え元の視界に戻った時
俺達は何故か森の中にいた。
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いつも通りの朝、いつも通りの風景の中、俺、芝崎優斗はいつも通り学校に向かっていた。
「…はぁ」
憂鬱すぎる。
今は高校2年の秋、夏休みという天国から一気に地獄へ突き落とされて2週間がたったが、未だに夏休み気分が抜けていない。
夏休み明け初日は、このまま高校中退しようかなとかリアルに考えたものだ。
まぁ、それは今も隣で一緒に登校している親友に阻止された訳だが。
「どうした?優斗。ため息なんかついて」
「いや、今日もいつも通りの日常だなと」
「ははは、いいじゃないかいつも通りで!普通が一番だぜ?」
そう言ってハハハと笑っているのが俺の親友であり幼馴染みの三山一樹だ。
常に非日常的な出来事が起こるのを待ち望んでいる俺とは違い、一樹は今の当たり前の生活というものを楽しんでいるみたいだ。
性格も、内気でオタクでクラス内の空気と化している俺に対し、一樹は積極的な上に正義感に溢れているためクラスの人気者。
容姿も言わずもがなな訳で…。
このように、完全に正反対な性格なのだが、昔から不思議と仲がいい。
S極とN極が引き合うみたいな原理だろうか?
それはともかくだ。
「なあ一樹」
「なんだ?」
「今日もいつも通りギリギリに出たよな?」
「ああ、そうだな」
「さっき思い出したんだけどさ。今日集会だから早く来いって言われてなかったっけ?」
「……あ」
一樹が顔をしかめる。
「優斗!今何時だ!?」
「んっと、8時20分だな」
「集会は!?」
「8時25分だったと思うぞ?」
「よし、今ならまだ間に合う!走るぞ!」
「あっ、ちょっ、まっ」
そう言って、一樹はそのまま走り去ってしまった。
「…インドア派にその仕打ちはキツイぞ」
運動をほとんどしていない俺は当然一樹に付いていくことも出来ず、結局集会には遅刻してしまうのだった。
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集会が終わり教室へと戻る。
「…最悪な朝だった」
「はは、教室に戻って開口一番にそれかよ。日頃運動してないからだろ?」
「まあ、確かにそうだけどよ」
自業自得と分かっていても、愚痴を吐いてしまうのは仕方が無いことだ。
「だからって放っていくことないだろ」
「うっ、それはすまなかった」
一樹が謝った瞬間、俺は突然背筋が凍りつくのを感じた。
周りを見わたすと、女子達が凄い冷たい目で俺を睨みつけていることに気づいた。
人気者が空気に謝ったらこうなるという良い(?)実例である。
「そうか。あっそうだ!じゃあ次はおんぶして運んでやるよ!」
女子からの視線が一層厳しくなったんだが。
もう視線だけで死ねるレベル。
まあ一部女子はキャーッとか言ってはしゃいでるけど。
「それはマジでやめろ恥ずい」
「そっか、いい案だと思ったんだけどな」
そんなの誰得なんだよ……。腐った女の子しか喜ばないぞ。
一樹のタチが悪い所はこういう発言を天然でしてしまうとこなんだよな。
「ちょっと一樹、芝崎が困ってるでしょ?」
「ちょ、ちょっと華凛ちゃん!」
と、そこで話しかけてきたのはクラスの西本華凛と川口舞だ。
西本は肩までかかるかという髪に165cm程のある身長、川口はショートで160cm程の身長だ。
2人とも美少女ということにはちがいないのだが、どちらかというと西本は美しいという感じで、川口は可愛いという感じだろうか。
ま、そんなことは空気な俺には関係ないことだけど。
とにかく重要なことは、西本と川口の仲がよく、西本と一樹も習い事が同じだとかで仲がいいということだ。
つまり、必然的に一樹と仲がいい俺もその集団に交じることになる。
クラスで1.2を争う美少女2人にクラスの人気者に空気。さて場違いなのはだーれだ?
まあ、答えは言わなくてもわかると思うが、当然俺だ。
最近では直接「お前邪魔なんだよ」だとか、「場違いなの分かれよ」とか「私の一樹様に近寄らないで!」とか言われてる始末だ。
というか最後のヤツ大丈夫か?
まあとにかく、この2人もどうせ一樹狙いなんだろうから、俺に文句言っても何も変わらないのを分かって欲しい。
実際、西本は普通に一樹に好意を持ってるっぽいし、川口も俺と一樹が話しているのをチラチラ見て顔を赤めていたからな。
てか今もほんのり頬を赤く染めているし。
「だから、優斗は別に嫌だなんて一言も言ってないだろ?」
「表情で察しなさい表情で!」
お、どうやら知らぬ間に何か揉めているみたいだな。
「なあ、優斗!別に俺と一緒にいて嫌じゃないよな!?」
「芝崎、正直一樹にまとわりつかれて迷惑よね?」
一体どういう話になったんだ……。
こういうときなんて言うべきなんだろうな。
『私の為に争わないで!』とか言えばいいのか?
よし、一度言ってみるか。
「私の為に争わないで!」
「「ふざけず答えろ(なさい)!」」
「はい、ごめんなさい」
よし、真面目に答えよう。
「いやさ、普通に考えて俺が一樹を迷惑だと思うと思うか?唯一の親友だぜ?」
てゆうか、そもそも友達と親友合わせて一人しかいないんだけどな。
………考えたら泣きそうになってきた。
「ゆ、優斗!ありがとな!」
「ゆ、言うじゃない芝崎、少し見直したわ!」
え、なんで感動の雰囲気?いやマジでどんな話だったんだよ。
聞こうと思い、チラッと川口の方に目を向けると川口の顔が少し赤く染まる。
え?何でそこで赤くなるんだ。
もしかして他の人に俺と話すのを見られたくないとかか?
別に他の奴らならいいけど、川口と一樹にだけはそんな風に思われたくはないな。
あ、ついでに西本も。
ここだけの話、俺は高校一年生の時から川口のことが好きなのだ。
といっても、空気の俺が川口のことが好きなんて身の程知らずなのは分かってるけどな。
つまり絶賛片思い中というわけだ。
おっと、話が脱線してしまった。
どうやってあんな話になったかだったな。
俺はこっそり川口に耳打ちする。
(ちょっと考え事してて聞いてなかったんだが、一体どうやってあんな話になったんだ?)
(え、えっと、なんか最初に華凛ちゃんが芝崎君が迷惑がってるからやめろみたいなことを言って、それで三山君がそんなことないって言って、そこから言い合いになっちゃって……)
なるほど、まあ大体想像通りだったな。
てかあいつらしょっちゅう喧嘩しすぎだろ。
(喧嘩するほど仲がいいって感じだな)
なんとは無しに言っただけだが、言ってしまってからはっと気付く。
これ、川口も一樹のこと好きなんだったら落ち込むんじゃ。
(あ、ご、ごめーーーー)
(そうだね。本当に仲いいよね)
あれ?気にしてないのか?
(ん?芝崎君どうかした?)
(い、いや大丈夫!)
(ふふ、そっか)
そう言って川口はまた二人の様子を見てクスクスと笑い出す。
うーん、どういうことだろうか。
まあ今はそれはいい。
それよりさっき川口と話したせいでクラス中の男子から睨まれてるような気がするんだが。
そっちの方がよっぽど気になる。
とりあえず俺は睨まれているのに気が付かないふりをしながら二人のやり取りを見守る。
一樹と西本の安定の夫婦漫才。
本当にいつも通りの風景。
今日も平常運転だな。
そろそろ先生も来る頃だし、1時間目の準備でもしとこーかーーーーー
「「「キーーーーーーーーン」」」
突然、クラスに耳鳴りのような音が響き渡る。
そしてその直後、教室が目を開けられないほどの光で埋め尽くされた。
クラスメイトが叫び声を上げている中、俺は一人、心臓をバクバク言わせながらも冷静に思考していた。
(これはラノベとかでよくある異世界転移ってやつか?それ以外に考えられないな。所謂勇者召喚ってやつだろうか?)
俺には突然光に包まれたことへの恐怖はなく、ただただこの異常事態について妄想を膨らませているだけだった。
そして光が消えて視界を取り戻した時、周り一面を覆い尽くす木々を目にして、俺は絶望した。
今更ながらに、クラス転移の場合に森の中等に飛ばされることもあるということに気がついたのだ。
このままだと、クラスでサバイバルが起こったりしてしまう可能性がある。
どうにかして回避できないものか。
俺が冷静に思考している一方で、クラスメイトは全員困惑の表情を浮かべている。
まあこれが当然の反応だろう。
むしろこんな状況で冷静に思考できる俺が異常なのだ。
「し、芝崎くん!ど、どうなってるの!?」
川口が俺に慌てたように聞いてくる。
いや、俺に聞かれてもって感じなんだけどな。
とりあえず俺の見解だけでも言っておこうか。
「おそらく、別の世界に飛ばされたんだと思う」
「別の世界!?」
「ああ、何が理由かはわからないけど、クラスごと飛ばされた感じだな」
「そ、そんな…」
川口が愕然とした表情を浮かべる。
「そんな顔しなくても大丈夫だ。きっと帰る方法はあるはずだしな」
魔王を倒す、とかな。
川口は何かを考えていたみたいだが、すぐに笑顔に戻る。
「そうだよね!ありがとう、芝崎くん」
「い、いや、それほどでも……」
その時の川口の笑顔がものすごく可愛くて思わずしどろもどろになってしまう。
恥ずかしくて視線を右に逸らすと、そこにはさっきまでの川口と同じように呆然としている一樹と西本の姿があった。
おいおい、クラスの中心である一樹があんな感じじゃクラスがまともに機能しないぞ。
俺が一樹の方へ向かうと、一樹もこちらに気付き急いで走ってくる。
「優斗!どうなってるんだ!?」
いや、だから何故俺に聞く。
「俺だってよくわかってない状態だよ」
「そ、そうか……」
「まあ、大方の予想はついてるけどな」
「本当か!?」
といってもあくまで予想だがな。
「普通に考えてみろよ?日本…、いやこの場合は世界か。とにかく、クラスごと森に転移させるなんて技術が地球にあるわけがないだろ?ってことは、俺達が異世界か別の星かに飛ばされたと考えるのが自然じゃないか?」
逆にそれ以外思いつかないし、
「で、でも、それだけでここが異世界とかって決めつけるのは早いんじゃ---」
「「「グアァァァ、グアァァァ」」」
ちょうどその時、一樹の言葉を遮るように上空で黒い鳥が鳴き声を上げる。
それだけなら別になんとも思わないのだが、不思議なことにその鳥は全長で10m以上はあるように見えるのだ。
「……なあ、優斗」
「ん?」
「ここ…、異世界だな」
「…ああ、俺も今確信を持ったとこだ」
全長10m超の鳥なんぞ地球にいてたまるか。
「それはともかくとして、まずは今の状況を整理しないといけない。あいつらにも説明しなくちゃならないんだが、俺の言うことを聞くとは思えないし、一樹が代わりに説明してやってくれないか?」
「ああ、それは構わないんだが、何て言えばいいんだ?」
「とりあえず、『きっと帰れるさ』とか、『みんなで協力しよう』とか、そういう類のことを言ってみんなのパニックを解いてくれればいい。」
「…………了解。やってみるよ」
そう言って一樹はみんなの方へ走っていった。
その間に俺は俺で色々と調べていこう。
まずは一番気になっていたことからだ。
俺は背中から、背負った覚えのないリュックを取り外す。
案の定、それは見たことのないリュックだった。
「芝崎君、そのカバンは?」
突然リュックを取り出した俺に疑問を持ったのか、川口が聞いてくる。
「教室にいたときは持っていなかったのにここにきたらいつの間にか背負ってたんだ。だから、このリュックに何かあるのかなと思って」
実際、何かが入っているような感覚はある。
開けてみると、中には資料集くらいの大きさの本が入っていた。
うーん、これは開いても大丈夫なものなのだろうか。
開いてみるべきか迷っていると、川口から声がかかる。
「芝崎君。今気づいたんだけど、私もいつの間にかこの指輪をつけてたの。これも何か関係あるのかな?」
そう言って、左腕の中指につけてある指輪を見せてくる。
「確かに、よく見たら全員が全員、何かしらの道具を持ってるみたいだな。それぞれに配られた支給品と考えた方がいいかもしれない」
クラス全体を見てみると、ペンダントやイヤリングをつけているやつもいれば、中には服が変わっているやつもいる。
おそらく、これが何かしらの能力を持っているんだろう。
だが、今見たところ、どうやら身につけるもの以外を手に入れたのは俺だけのようだ。
これは、この本を開けてみる必要があるな。
川口にも一緒に見てもらうことにしよう。
見た瞬間に俺に何かが起こるかもしれないし。
いや、別に他意はないよ?本当だよ?
「1回、この本を見てみようと思うんだが、川口も一緒に見てくれないか?俺に何かあったら困るし」
「え、う、うん。でも、そういうのって他の人に見せても大丈夫なのかな?」
ああ、確かに他の人に見せたら何かが起こるって場合もあるな。
「うーん、多分大丈夫だと思うぞ?それならこんな簡単に見れたりしないだろうし」
これでもし見たら死ぬとかだったら、どんな無理ゲーだって話だし。
「そ、そうだよね!分かった!頑張るよ!」
いや、何をだよ。
川口も一樹ほどではないけど、たまに天然が入るところがあるからな。
まあそれはいい。
「よし、開けてみるぞ」
「うん!」
1ページ目を開いてみると、そのページには『目次』と書かれてあった。
良かった、文字は普通に読めるんだな。
1つ懸念事項が取り除かれた。
言葉を話せないのはきついからな。
ひとまず安心していると、川口から声がかかる。
「これ、なんて書いてあるのかな?」
………ん?
「えっと…..、川口は読めないのか?」
「えっ!ってことは芝崎くん読めるの!?」
「まあ、一応」
「凄いね!なんか昔の文字みたいで、私には何が書いてあるかさっぱりわからないよ!」
川口の言葉から考えると、どうやら俺にしか読めないらしい。
「多分俺が所有者だからだろうな。他の人に見せない対策はしてあるってことだ」
てか、こんなところに凝るくらいなら森の中に召喚するなよ。
召喚したの誰かわからないけどさ。
「それで、なんて書いてあるの?」
「あー、そうだったな。ちょっと待ってくれ」
とりあえず俺は目次に目を通し始めた。
現在、数話をまとめて一話に連結中です。
なので、短い話と長い話がありますが、ご了承くださいm(__)m
2/13)新作として、『勇者はここにいる。』を投稿し始めました。
よければそちらもご覧ください!
http://ncode.syosetu.com/n1897dd/