3 始まり
遅くなりました。すいません!
――ここは‥‥どこだろう?
目が覚めると広いベットの上にいた。見た事もない場所。
「‥‥!!志乃?!‥‥そっか、あたし学校で‥」
1人で整理する為に思いだしながら話しているとドアをあける音がした
「まぁー!!お目覚めになったのですね!ウフフ!チキュウから来たお姫様」
異様にテンションの高い化け物が目の前にいた。
水色の透明なスライムが人間の形を真似たような生き物。
目もなければ口もないが動きだけを見れば女っぽい。
今は「ワクワクッ♪」って今にも言いだしそうに顔の前で手を握り左右に揺れている。
けっして可愛くない、むしろなんなんだコレは。と言ってしまいそうにーー
「うげぇーなにこれ?!気持ち悪っっっ!どうなってんのよ一体~!いきなり落ちるし変なのいるし」
「ーー‥‥今何か聞こえたような?ウフフ!さ、お召し物を変えてくださいまし!さぁさぁ!」
そう言って茜の背中をグイグイ押す。
茜以上のポジティブなスライムは華麗にスルーした。
(なかなかやるわねぇコイツ)
「ちょっと!青いの!何がどうなってんの!?聞かせなさいよ!」
「んま!青いのだなんて!私、姫様のお世話係りを承りました、マリーと申しますの。姫様とは姉妹の様になる予定ですわ!ですから私の事は気軽にマリーとお呼びになってくださいませ。‥‥‥ウフフ」
くねくねと動くその姿を見て茜は
「いや、姉妹とかマジで無理だから、あんた化け物じゃん」
と素でかえした。
「‥‥でしたら親友でよろしいですね♪でわ何がどうなってるのかを伺う為にも早くお召し物を着替えて一緒に魔王様の所に行きましょう!」
つっこむべきか悩んだが茜は親友のくだりを無視して答えた。
「‥‥魔王様?」
「えぇ、姫様をご召喚なさった魔王様ですわ」
「‥‥なんの為に?」
「ウフフ、なんのって‥‥ご結婚の為ですわ!!お羨ましい限りですわ、魔王様とご結婚なさるなんて」
「結婚?なんで私がーー」
「さぁさぁ!魔王様がお待ちなんですから!」
そういってマリーは大きなクローゼットを開いた。
中には色とりどりのドレスがかけられている。
「こちらは魔王様が姫様の為に揃えてくださったものですわ。装飾品も沢山ございますのでお好きな物を選ばれて結構ですわ!それにあわせて私が装飾品をお持ちいたします。これを揃える時も城中大騒ぎでしたのよ!姫様は人間ということで人間の商人に人間界の流行りのドレスを持ってこいとお触れを出してこのお城が商人で溢れかえりましたわ!そして魔王様が『わたしの姫が袖を通すものだ、金に糸目はつけぬ。上質なものを置いていけ。』と商人に言いましてね、キャー♪素敵!」
1人盛り上がるマリーをほっといて茜はクローゼットを漁り蝶のキルティングがあしらわれた紺のドレスを取って言った。
「早く着せてよ。そいつ、とっちめてやるんだから!」
マリーは魔王に早く会いたがる茜に喜びさらにテンションがアップして茜を困らせた。
マリーは服を着てない上にかつらをもはずされたマネキンをイメージしてください。