大学生の同棲は、基本エロスで構成される
余りにも脈絡のない始まり方で、申し訳ない限りなのだが、僕はこう叫びたい。
彼女が可愛すぎて困ってる――! と。
腰ほどまで伸びた、艶やかな黒髪のストレートヘア。切れ長の瞳な美人さん。
これだけでも僕はご飯三杯頂けるわけだが、生憎、それだけでは終わらない。
僕の彼女は、絶対領域を持ち合わせている。
僕の彼女は、絶対領域を持ち合わせている。大事な事だから、二回言う。
ミニスカートか、ホットパンツ。それにニーソという組み合わせを、眼福な事に彼女はよく装備する。
本人いわく楽だから。だそうだが、そんなことはどうでもいい。
脚が綺麗すぎる。それが問題なのである。一緒に歩いていると、道行く男達の視線が決まって彼女の脚に行く。
僕の見立てでは、六割脚。二割が胸で、残りの一割は髪か、お尻だ。
腹立たしいが、これが現実。男なんてそんなもの。しょうがないよ。僕の彼女可愛いから。
因みに、その後にほぼ八割方、彼女の顔を見て、その後再び、思い思いの好みな部位に視線が行く。
たまに隣を歩く僕に視線が来ることがあるのはご愛敬。その後に舌打ちが来るときがあるが、それは知らん。
どう妬もうが、僕が彼女の彼氏であることは揺らがぬのだ。ざまぁみろ。
話がそれた。ともかく、道行く人が見れば振り向く位に僕の彼女は美人さんな訳だが、それはあくまでも外見だ。
中身は違う。
大学で彼女を知る者ならば、真面目でクール。けど、人見知りするわけではなく、社交的な一面もある。何て評価が多いと思う。
だが、僕はここで異議を唱えたい。彼女は違う。確かにクールな雰囲気は持ち合わせている。だが、その仮面の下に、とんでもないものを秘めている事を、僕は知っている。
彼女は……恥ずかしがり屋さんなのだ。
どれくらい恥ずかしがり屋さんかというと、未だに互いに裸になると顔を真っ赤にしたり、ストレートに僕が気持ちをぶつけると、あたふたしてしまう位には恥ずかしがり屋さんだ。
もう可愛すぎてますます弄りたくなるのだが、調子に乗ると手痛い反撃が待っている。
ハイキックを始めとした、各種蹴撃。完成された曲線美から放たれる一撃は、見事の一言。思わず、ありがとうございますっ! と、叫んでしまいそうになる。
てか、この間叫んでしまった。
二撃目が飛んできたのは言うまでもない。
話がまたそれた。と思ったが、考えてみたら最初から話は一点にたち戻る。
彼女が可愛すぎて困っている。
同棲を初めて、はや四ヶ月。僕は日に日に、どんどん変態になっているのが分かる。
あの時もそうだ。入学式。
スーツに着替え真っ最中な彼女に、僕はあっさりと理性を奪われた。
だってしょうがないじゃないか。
彼女はその時、Yシャツ一枚だったのだ!
もう、ペロるしかないと思った。
情け容赦ない、ペロリストになるしかないと。
Yシャツの裾から伸びる生足! 止めかけのボタンのせいで覗く、白い谷間! 僕は某怪盗よろしく、彼女に突撃し――。
気がつけば、僕は金的を蹴りあげられていた。死ぬかと思った。
「入学式なのに、何する気よ!」
何て叫ぶ彼女。まさかナニ何て言える訳もなく。僕は君の姿が綺麗すぎるから……という、原点だけ告げた。
その日の夜。彼女は何故か、寝るときYシャツ一枚で、ベッドに入ってきた。
ペロリストが、ペロリネイターになった瞬間だった。
……もう一つ二つ。エピソードを紹介しよう。
ああ、でもどれにしようか迷ってしまう。
因みに最高記録は一晩に七回……。
※
彼がとんでもないものを書いていたので、取り敢えずカンガルーキックをかましてみた。
無様に壁まで吹き飛ばされた彼を冷たく見やりながら、私はノートを睨む。日記というか、手記というか……。ともかく、口にするには恥ずかしすぎる事が色々と書かれていた。年齢制限バリバリかかりそうなその内容は、もはやいかがわしい小説の類いだ。
ついでに。タイトルまでついている。『彼女が可愛すぎて困ってる』
よし、蹴ろう。
「……救急車。いえ、霊柩車呼んどくわね」
「び、冥土送りは勘弁して下さい……」
「じゃあ、何でこんなの書いたか教えてちょうだい」
私の有無を言わせぬ空気に、彼は一瞬躊躇って……。
「えっと……書き貯めて、こっそり綾の目に入る位置に置いて……恥ずかしがる綾を観察……」
「やっぱ死ねぇえ!!」
やっぱり彼は、今日もよく飛んだとだけ追記しておこう。
因みに。私が後に「彼氏が変態過ぎて困ってる」なんてタイトルの手記を書くのは……また別のお話だ。