いかにして、今に至るか
この春から私は大学生になった。
故郷を離れ上京する。
親は……特に父は心配した。心配に心配した父は胃潰瘍になった。
やっぱり大学行くなぁ! と、泣く父の脳天に、母のエルボーが突き刺さったのは今でもよく覚えている。母は昔格闘女子だったらしく、その鋭さたるや雷のようで……。話がそれた。
泣く父さんに業を煮やしたのか、母さんは叫んだ。
「そんな心配なら、お隣の辰君とルームシェアでもさせればいいでしょう! ボディーガードとして」
「その手があったかぁ!」
いや、なんでだ。
という私の主張を無視して、父さんは「これで綾に変な虫がつかないぞぉ!」何て大喜び。
母さんはやれやれ。といった顔で肩を竦めていた。
そんな訳で、私は大学生になり、同じく大学生になる幼馴染みの男とルームシェアする羽目になった。
羽目はおかしい。だってこれは、私にとってはいい方向に話が転がっているのだから。
父さんや母さんは知らない。
悪い虫がつくとか以前に、私にはもう彼氏がいて。
ついでに言えば、それが今まさにボディーガードとして選ばれた幼馴染みだということを。
ルームシェアは名目で、これでは同棲だ。……恥ずかしいから口には出さないが。
これは、どこにでもいる男と女の話。
ヤマもオチもない。日常の一ページを切り取った――。そんな物語の詰め合わせ。