『プレスマンの芯餅』
掲載日:2026/09/25
餅屋の餅兵衛は、大層信心深い男で、商売物の丸餅を、毎日お地蔵様にお供えして、商売繁盛だけでなく、五穀豊穣や国家鎮護などをお祈りするのでした。そのかいあってのことか、餅兵衛の餅屋は大層繁盛し、お供えの餅は、だんだんと大きくなっていったのでした。
餅兵衛は、歳をとると、息子に餅屋を任せ、何年かの後に他界しました。息子の二代目餅兵衛は、それほど信心深くなく、また、大きな餅をお供えしても、野鳥や野生動物を太らせるだけですので、たまに小さい餅を供えるだけになっていきました。
さらにその息子が餅屋を継いだころ、餅屋はほとんど客の寄りつかない、さびれた店になってしまっていました。三代目餅兵衛は、初代の日記を発見して、毎日お地蔵様に餅を供えていたことを知り、何年かぶりに、お地蔵様に大きな餅をお供えしたところ、お地蔵様が夢枕に立ち、お前のつくる餅は、水分が少なくて、のどに詰まる。詰まるといえばプレスマンの芯、プレスマンの芯餅、いや、シン餅という名で売り出して見よ、とおっしゃったので、言われたとおりにしてみますと、若い人にそこそこ売れるようになりました。
教訓:歳をとったら、餅はよく噛んで食べたほうがいい。




