寄り添い
「あきらめたいな」
呟いたことばが沈んでいく
暗い暗い海の底
だってもう疲れたんだ
あの人もその人も身体も心も
どこか遠いところで
ずっと悪い夢の中にいるみたい
人に触れるのが少し怖くなったんだ
温もりに交じるとげが胸に刺さる
あなたの気持ちがわからない
したいこともわからない
通じ合うことなんて
夢のまた夢のおはなし
「そんなことないよ」
あなたはそっと空気を揺らした
俯いた僕の目を
無理に見ようとはしない
でも
真っ直ぐに僕を見てくれていた
私のもつ種が
どんな形の花を咲かせて
どんな色を魅せてくれるかなんて
誰にもわからない
でもね
それを楽しみにしながら
水をやって太陽に当てて
話しかけたり強い風から守ったりなんかもして
寄り添って待つんだよ
同じようにさ
あなたも寄り添ってみてごらん
形も色も何もわからなくても
楽しみにしながら待ってごらん
「そうしたら僕もあなたみたいになれるかなあ」
「私になる必要なんかないんだよ」
誰かのまねっこじゃなくてもいい
全部の気持ちがわからなくたっていい
ただただ自分に寄り添って
隣の誰かに寄り添って
笑っていたらいいんだよ
僕は目を閉じて雲を浮かべる
瞼の裏に広がる大地
真っ青な空と海
羽ばたいていく鳥
「もう一度信じてみようかな」
ご覧いただきありがとうございました。
誰かになる必要なんてない
自分らしく誰かに寄り添ってごらん
誰かに届きますように。




