幕間 【精霊讃歌:セリーモアの紡ぎ歌】
【精霊讃歌:セリーモアの紡ぎ歌】
エリドリアに古くから伝わる伝統的な精霊讃歌の一つ。
このような精霊讃歌はエリドリア各地に存在したが、失われたものも多くある。
ヴェルナ村では大人は皆がこの歌を歌える。
リーリーが刺繍をするときに歌う歌でもある。
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遥かなる精霊の森、セリーモアの枝、
天と地を結ぶ根は、星の光を宿す。
その尊き使者は、人の器に魂 宿し、
大いなる使命を胸に、人の世へ降り立つ。
されど人の世は、疑念の霧に覆われ、
その聖なる心に、迷いの影を落とさん。
選ばれし清き魂、誓いを立てし人の子は、
使徒の旅路を、確かに照らす。
おお、セリーモア、命の息吹よ、
星々を渡るは悠久の調べ。
使徒の歩みを導くは、星枝の導き、
後ろで付き従うは魂を繋ぐ従者。
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秘められし宝具、奇蹟の力宿し、
小さき精霊たち、波花の花弁と舞い踊る。
人々の瞳には、希望の灯をともし、
平穏の種を、大地に芽吹かす。
されど光を妬む闇、欲望の刃を携え、
愚かなる者たち、芽吹いた幸を奪わん。
覚悟を示した者、選ばれし人の子は、
その闇に抗い、強く立ち向かう。
おお、セリーモア、勇気の紡ぎ手よ、
世界を繋ぐは永遠の歌。
使徒の背中を支えるは、揺るがぬ絆、
盾となりて立つは魂を繋ぐ従者。
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静寂満ちる夜、使徒の魂は疲れ、
試練の痛みに震え、深き闇に沈む。
悲しみの涙は、絶望の川となり、
孤独の風が、胸に寂しく吹きすさむ。
されど使徒を想う乙女、離れず寄り添い、
癒しの歌を捧げ、愛を囁き心を癒す。
魂振りの夜伽、すべてを捧げし人の子は、
再び歩む力を、彼に与えんとす。
おお、セリーモア、愛の織り手よ、
魂を結ぶは、慈愛の吐息。
使徒に温もりを伝えるは、大いなる愛
心を伝えるは魂を繋ぐ従者。
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全ての使命果たされ、使徒は選択に悩む。
帰るべきは精霊の郷か、留まるは人の世か。
旅の終わりは、訣別の時となり、
愛する者との絆に、心は静かに揺れる。
されど人の子を愛した使徒、愛を選びて留まり、
共に生きる世界を、大勢の者と築きゆく。
セリーモアの木に、永劫の愛を誓う人の子は、
新たな命を、その身に宿し育む。
おお、セリーモア、永劫の繁栄よ、
枝は天へ、根は地に広がる。
使徒が新たに向かうは、空を超えた大地
隣に並ぶは魂を繋ぐ愛する妻。
おお、セリーモア、命の息吹よ、
星々を渡るは悠久の調べ。
使徒の歩みを導くは、星枝の導き、
隣で寄り添うは魂を繋ぐ従者。
永遠に響く、セリーモアの紡ぎ歌……




