41/60
包まれた本音 (300字SS)
「これは何だ?」
居間の机にあったのは、薄ピンク色の布で包まれた小さな箱。それは妹が好んでいた布に似ていた。軽く振ると、カタカタと音が鳴った。……まさか、チョコか⁉
文献で読んだことがある。ある地域では女から男にチョコを贈る風習があると。
最近、冷たくされていたのは、これのせいか⁉
俺は部屋に誰もいないことを確認して、いそいそと布を外して、ふたを開けた。
中は――何も入っていなかった。俺は愕然と立ち尽くす。
「お兄ちゃん、何見ているの⁉」
部屋に入ってきた妹が箱をひったくり、慌てて出て行った。
翌日、妹が気恥ずかしそうに、あの箱を差し出してきた。中には美味しそうなチョコが。
俺はそれを笑顔で受け取った。
2020年2月、第61回Twitter 300ss参加作品。お題『包』。
本編よりも前の、ギルベール視点のお話です。




