外伝、主様の秘密
30年前....王城にて
「主様、おめでとうございます。姫様が生まれました」
精霊の国の主、オルガの子どもが生まれたのだった。息子、ヒジャンも重臣の声を聞き安堵した様子だった。
「そうか姫か。民に生まれたと伝えよ。名前はヨンファだ」
オルガの側近、カシヤは書類に名前を書き、重臣に渡した。重臣はそれを持ち、国民がいる広場に向かっていった。
ヨンファが生まれてから10年が過ぎた。ヨンファは清らかで、元気な女の子になった。10歳になると精霊の国ではもう成人である。
この頃から、重臣たちの対立が酷くなった。原因は次期主様を兄と妹、どちらにするかである。普通は兄がなるものだが、兄は気が強く、思い込むと突っ走る性格だ。そのため、反対するものがでてきてしまった。
オルガは兄に継がそうと決めている。しかし、ヨンファが危ない。1度、政治の争いの中で名前が出てしまうと、兄側の重臣に狙われてしまうのは目に見えていた。ヨンファを助けなければ。そう思ったオルガはかつて自分の元で助け人をしていた、カエデに相談することにした。カエデは、今では幽霊である。
「...というわけだがどうしたらいいと思う?」
話を聞いたカエデは少し悩み
「地界に送るのはどうでしょうか。人間の母親のお腹の中に送り、人の子供として育てれば守れるかと。主様の"力"ならできると思います」
「なるほど。でも、そうなるとヨンファと会えなくなるのか」
オルガは悲しそうに言った。
「すみません。こうもしないと精霊達は気配を追ってきてしまうでしょうから」
ヨンファを守るためだと、説得した。オルガは悩んで
「わかった。その策にのろう」
と、了承してくれた。
「育てさせる女性は誰にしたらよいだろう」
「それは妃主様の子孫にしましょう。ちょうど夫婦がいらっしゃるので。私もその方が見守りやすいです」
妃主様というのは、ヨンファの母親である。妃主様は人間であるため、その子孫に預けるのだった。
「わかった。私は力をためるから、カエデは後のことを頼む」
といい、オルガは瞑想に入った。年のせいか若い頃よりも力をだすのに苦労している。昔はすぐに発動できたのだが、今は半時、力をためることによって使える。
カエデは地界に行き、夫婦に説明をしにいった。幽霊は、普通の人間の前で姿を現せることができる。初めは夫婦に門前払いをくらった。急に精霊、姫などという非日常な話をされるのだ。無理もなかった。何回も頼みに行き、妃主様も直接頼みに行ったことで、やっと了承してくれた。夫婦には子供がいなかった。そのため、実の子供のように育てると約束してくれた。
王城に戻ったカエデはヨンファがいなくなる流れを考えた。夜中、ヨンファの部屋で火事がおき、亡くなったという手筈になった。
夜、寝ているヨンファを抱きかかえ、カエデは部屋に火をつけた。パチパチと燃え広がっていく。ヨンファに仕えていたものたちが慌てふためく中、オルガの部屋に向かった。
部屋につくと、オルガにヨンファを渡した。ヨンファは気持ちよさそうにぐっすり眠っている。オルガマルは優しく頭を撫でた。
「ごめん。ヨンファ。こんなことしかできない父を許してくれ」
オルガが願うと、ヨンファは魂となり消えていった。
女性のお腹に入っていったのを確認したカエデは、オルガを見てうなずいた。
王城の中でこの真実を知ってるものは、主様、妃主様、カエデの3人だけだった。
これがすべての始まりである。




