精霊の頼み
ほのかな花の香りがして、目を開けた。そこは、草原で足元には小さなお花がたくさん咲いていた。遠くに建物が見える。
ここは、どこだろ。私は確か、寝てたはず。そうか、これは夢なんだ。そう思いながら、建物の見える方へ歩いて行った。
建物と思っていたものが高い壁だと気づいたとき、強風が吹いて、1人のおじいさんが現れた。
「ほじめまして。ここは空界というところです。主様に呼ばれた者ですね。ついてきなさい」
と、高い壁のほうへ歩いて行った。頭の中に?が浮かんだ。呼ばれた覚えがない。人違いをしているのでは?それに空界って。とまどいながらも、先にいくおじいさんについて行った。
「あの、なにがなんだか。ここは一体」
歩きながら尋ねた。夢にしては花の香りや風が頬にあたる感覚は繊細でリアルだ。まるで自分が本当にここにいるような。おじいさんは少し笑い
「夢。と言う方もいらっしゃいますが、そうではありません。眠ったときに意識がこちらの世界に飛んだんです。実体はあるので感覚をかんじることができます」
近くに咲いてた花をとり私に渡した。私は受け取る。甘い花の匂いがより強く感じられた。
「数日前、声が聞こえたでしょ。それが呼ばれた合図ですよ」
とにこっと笑った。橋を渡り、大きな門の前についた。鎧を着た兵士が立っている。おじいさんの合図で門が開いた。
中に入ると、そこは街だった。建物が一本の大きい道をはさんで立っている。建物の前には用水路があり、水が流れていた。目にはいった生き物をみて、はっとした。病院で見たのと同じような生き物がそこにいた。そうか、ここはあの生き物の街なのか。そう納得していると
「ここは、自然由来の精霊が住んでる国です。私のような人型やあなたの住む世界には存在していない生き物の形をして生きています」
と説明してくれた。たしかに地球にはいない生き物がたくさんいる。しかし、自然ということなのかタンポポに似たものが四足歩行で歩いていたり、トマトとペンギンをたして2で割ったような生き物がいたりと、見慣れたもの?がいて、親近感はわいていた。
「申し遅れました。私はこの国の役人、モンブです。モブじぃと他の方から呼ばれております。気軽にそうお呼びください」
とお辞儀した。
モブじぃさんについていきながら、街を眺めていた。木造やレンガの家が並んでいる。和洋中が混ざり、1軒1軒が個性をだし主張しているのにうるさくない。不思議な町並みだ。
私たちは道の途中にある長椅子に座った。
「さて、あなたがこの世界に呼ばれたのは理由があるのです。まあ、頼みというほうが近いと思いますが。海界には助け人という制度があります」
私たちが住んでる地球は地界というらしい。地界で生活している妖精もたくさんいるという。生活するうえで困っている妖精の依頼を聞き解決するのが、助け人の役目だと教えてくれた。妖精は人間以上に長生きするため、時代に遅れるものもでてきしまうという。
「勝手だと思うのでしょうね。しかし、私たちも生きているのです。生物は助けがあるからこそ、快適に生きていける。もちろんすぐに答えをだすのは難しいでしょう。3日の猶予を与えます。その間で考えてはいただけませんか」
と頭を下げた。とても必死そうだった。
「わかりました。考えてみます」
私は頷き言った。モブじいさんはありがとうと微笑んだ。