目覚め
『オキロ』
ハッとして目を開けると、白い天井が目にはいった。
ここは...
「ここは病院です。体調大丈夫ですか?」
看護師さんが声をかけてきた。
「はい」
と答える。どうやら、病院に運ばれたらしい。
「あのなにがあったんですか?お父さんとお母さんはどこですか」
体を起こし、看護師さんに尋ねる。
「ご家族もご無事ですよ。トンネルの天井が崩壊したんです。幸いみなさん軽傷でよかったです。では、ご家族に報告してきますね」
と部屋をでていった。大きな事故だったんだ。それにしても、あそこにいた全員軽傷なんて不思議なこともあるんだなと感じた。
お父さんとお母さんが私がいる病室に入ってきた。
「怜華。大丈夫なの?あなた、1日眠ってたのよ」
お母さんは私を優しく抱きしめた。
「大丈夫だよ」
ぬくもりを感じながら、そう言った。
2日ぐらいすると、退院の許可がでた。前後の記憶があいまいなため、検査を受けたり、カウンセリングを受けたりしたのである。過度なストレスによるものだろうとお医者さんは言っていた。
看護師さんにお礼を言い、家族そろって病院をでる。入院は合計4日と短かったのだが、外にでることが久しぶりのように思えた。まばゆい光が入ってきて目をつぶる。
目を開けると、そこには見慣れない光景があった。いや、目に見えるのは普通の光景だ。しかし、何かがおかしい。そこには見慣れない、動物とはいえがたい生き物が漂っていた。その一部には耳や角が生えている人型もいた。手のひらサイズのものから、私たちの大きさのものまでもいる。
え。
立ち止まり、思わず声をだした。驚きと恐怖。そして、どこかでみたような感覚が入り混じって困惑していた。
「どうしたの?」
お母さんがたずねてきた。
「あそこに...」
飛んでる生き物を指さしながら言った。お母さんはまわりを見渡し
「何もいないけど。なにかいたの?」
お父さんも首を傾げてる。2人には見えてない。
「わ、私の見間違いだったみたい」
誤魔化して、家に向かった。
家の中に入ってこれないのか、玄関を開けても入ってくる気配はなかった。なぜ見えるようになったんだろう。疑問が私をとりまいていたが、いくら考えてもわからなかった。
もやもやとしながら1日を終え、眠りについた。