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精霊と助け人、怜華  作者: 水葉
16/30

大雨の原因

 授業が終わり、結を下駄箱の前で待った。

「ごめん。待たせた」

結が走ってきた。

「大丈夫だよ」

2人で靴を履き替え、外にでる。校門にむかう道中、私は口を開いた。

「結にあってもらいたい精霊(ひと)がいて。校門の前にいるんだけど、紹介していい?」

「なに、彼氏でもできたの?」

と悪そうな顔をした。私は結の肩に手を置き。

「結。違うよ。私がそんな余裕あると思う?」

と微笑んだ。

「だよね」

結も微笑む。

「居候がきたの。楓さんの侍女になる人らしくて、空界を勉強するために来たらしい。ついでに雑用とか頼んでいいらしいから、手伝ってもらってる」

ということにした。

「そうなんだ。よかったね」

校門につくと、イリスさんがいた。紫色の髪が風でなびいている。

「お待たせ」

私が言うと、イリスさんがこちらを向いた。

「翡夜さん。お待ちしておりました」

「待っててくれてありがとう。こちらが紀夜だよ」

紹介した。初めましてと結はお辞儀する。

「こちらこそ初めまして。私はイリスといいます。よろしくお願いしますね」

にこっと微笑み、手をだした。結はその手を握った。

 途中まで3人で帰った。イリスさんが気を遣って、先に帰ろうとしてたが、どうせならとみんなで帰った。結とイリスさんが話しているのを見て、安心した。

 家に帰って洋服に着替える。リビングにいくと、イリスさんが洗濯物をたたんでた。お母さんはバイトに行ってるためいない。イリスさんにお礼をいいながら私はソファーに座り、テレビをつけた。ニュース番組にすると、生中継と表示され隣町が映っていた。なんだろう。見ると、空は暗く、大雨が降っている。窓を見るがここは晴れている。隣町なのにえらく違う。アナウンサーの声が聞こえてきた。

「今日、1日雨が降っています。時々、弱まることもありますが、このように大雨が降り続け、止む兆しが見えません。洪水や土砂崩れに注意してください」

大変だな。そう思っていると、両面の端で飛んでいるものが見えた。私は近くに寄ってみる。龍のようにも見えるが精霊だ。2匹の精霊が争っているのが見えた。どうしたんだろう。そう思っていると、スマホから着信が鳴った。結からだ。

『ねぇ、今隣町が大変なことになってるんだけど知ってる?』

『知ってる。今、テレビで見てる。結、これって』

私が言い終わらないうちに結が言う。

『精霊だよ。そのことで召集がかかった。怜華もくる?』

『うん。行きたい』

『だと思った。じゃあちょっと待ってて、そっち行くから』

嬉しそうに言って、電話をきった。

 少し待つと、チャイムの音が聞こえた。返事をして、ドアを開けるとユニコーンに似たような精霊が目の前に立っていた。頭部が涙滴状の形をしていて、なにかの花の形なのだろうと推測できた。ピンク色の大きな羽をバサバサと動かす。足は緑色で体はピンク色。グラデーションのように色が違う毛並みをしている。驚いて、一歩下がった。精霊の首の後ろから笑いながら結が顔をだした。

 「怜華。驚いたようでなにより。この子はコマクサっていう高い山なんかに生えてる花の精霊。ラリアっていうの」

結がそう言うと、ラリアさんは頭を下げた。私も慌てて下げる。私たちが挨拶したのを確認すると

「怜華乗って。この子に乗って隣町まで行く」

と手をさしだした。私は結の手をかりて、ラリアさんに乗った。結が合図をすると、羽を羽ばたかせ空中に浮いた。

「これ私たちのことまわりからみえない?」

不安になって聞いた。

「大丈夫だよ。精霊に乗ると同時に見えなくなる」

「ならよかった」

ほっとした。隣町に向かう間、結がこの出来事の経緯を少し説明してくれた。どうやら、雲由来の精霊と雨由来の精霊が喧嘩をしているという。気候に関する精霊が争いごとを起こすと天気にあらわれる。喧嘩してる下の町では大雨になっているらしい。助け人は自分の住んでる町を担当する。そのため本当は関わらないのだが、この町の助け人がねを上げたため、結が呼ばれたという。

 町に近づくと、黒い雲が鮮明に見えてきて、町に入ると周りの視界が見えなくなるほど大雨が降っていた。濡れる。そう身構えていたが、ラリアさんが私たちの頭上にバリアを形成してくれたため濡れずにすんだ。

 進んでいくと、争っている精霊が見えた。2匹は体をぶつけあっている。

「なんとか止めないと」

結がつぶやく。空中でギリギリまで近づいてもらい結が話しかけた。

「喧嘩をやめてください」

もちろん。やめるはずがなかった。

「なぜ喧嘩になったのですか」

そう聞くと、雲の精霊が答えた。 

「こいつが私の言うことを聞かないからだ」

その精霊曰く、雨の精霊が仕事の邪魔をしたという。天気に関する精霊たちは天気を操れるため、県全体の天気を操っている。雨の精霊は地界の天気予報を参考にしたり、雲の多さを見ながら雨を降らせていたという。雨予報のときに雨を降らせようとしても、雲の精霊は雲を減らしてしまい雨が降らなくなったり、晴れていたのに雲が空を覆ってしまったりしていたらしい。初めのうちはほっといていたが、何回か続いたため、キレたという。

 一方、雲のあやかしの言い分はこうだった。最近、雨の日が多かったので、雲を少なくして太陽をださせてあげたり、雨が何日も降らないときが続いたときは雲の量を増やしたりしたという。全県の天気を決めるため、大変そうに感じた。規則にきっちりな雨の精霊と人のことを考える雲の精霊。どちらも正しくてなにも言えなかった。よく見ると、2匹とも体はぼろぼろで怪我もしていそうだった。

「もう、やめてください」

このままでは2匹もこの町も大変なことになってしまう。結も私もただ見てるだけになっていた。

「警察が来るまでにはなんとか止めないと」

「来るとどうなるの?」

結の言葉に私は驚いて聞いた。

「このまま喧嘩が続くと警察が動いて、捕まってしまうの。地界で普通の人に迷惑をかけるのは重罪だから。助け人が止めれれば厳重注意ですむんだけどね」

捕まってしまうと、半年は雨と雲がでないという。次の代に移行するためにはそれくらいかかるらしい。それこそ住むのが大変になってしまう。それは避けたい。2匹の精霊を見ながら

もうやめて

と強く願った。すると、胸のあたりが光った。これはコロロじいさんのときにでた光と同じだった。私からでてたんだ。結も驚いて私を見ている。私ははっとして精霊たちを見た。2匹はピタッと止まり、すっと力が抜けるように落ちていった。私が慌てていると、どこから現れたのか精霊警察がたくさんでてきて受けとめた。それと同時に、雨が止み、光が差し込んだ。私たちはほっとする。

「すごい。あの光のおかげだね」

結が興奮気味に言った。

「そうだね。なんででたのかわからないや」

と言いながら思いかえす。確かあの時...。

「まあ、なんとかなってよかったよ」

考えてると結が言った。私は頷く。

 地上に降りると、精霊警察から聴取をうけた。光のことは2人とも話さず、喧嘩中に話しを聞いてたら、2匹とも限界がきて倒れたということにした。あの精霊たちがどうなったのか聞くと、手当てされているという。注意を受け、完治すれば復帰できるらしい。大事にならなくてほっとした。

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