錬金試験
普段より少し長めです。
私は、クロウさんが差し出すレシピと素材ピースを確認する。
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回復薬 レシピ
・薬草×2
・液体
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ライリー・リーフ 品質C:みずみずしい
カテゴリー:薬草 雑貨
特性
・品質上昇++
・回復量上昇小
・範囲拡大
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ライリー・リーフ 品質C:みずみずしい
カテゴリー:薬草 雑貨
特性
・品質上昇+
・回復量上昇小
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井戸水 品質C:硬水
カテゴリー:液体 雑貨
特性
・品質上昇
・中和
・弾けるトゲ
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ふむ……素材のランクは一律でC。特性はそれぞれ組み合わせを考えろってことかな。
この特性なら……会心の出来と範囲拡大、それと回復量上昇中がつけられるかな。
「では、早速作っていただこうか」
「分かりました、ではこちらに……」
私はクロウさんと錬金釜の置いてある部屋に向かう。
「では……いきます!」
「うむ、見せてもらおうか……君の錬金術を」
私はいつものように素材ピースを錬金ピースに変え、手から魔力を流し込む。
「ほう……」
そこからは特に問題もなく、ピースも順調に結びついていき、ある程度の形が見えてきた。
私は魔力の供給量を増やしたり減らしたりして、仕上げに入る。
そして…
ポンッ
いつものように特性を選択する。
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特性 所持ポイント 14
・会心の出来 5
・弾けるトゲ 5
・回復量上昇中 6
・範囲拡大 3
・中和 3
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もちろん、選択するのは”会心の出来”、”回復量上昇中”、”範囲拡大”の3つ。
ポイントもピッタリだし、なかなかいい効果をつけられたと思う。
私は光の集合体を両手で包み込む。
すると光は霧散し、私の手には中に薄緑色の透き通った液体が入った瓶が握られていた。
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回復薬 品質B:良品
カテゴリー:薬 雑貨
特性
・会心の出来
・回復量上昇中
・範囲拡大
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我ながら、なかなかいいものができたと思う。
「ふむ、30分か……」
いつの間に測っていたのかは知らないけど、クロウさんがかかった時間を本のようなものにメモしている。
結果がどうなるかはわからないけど、私の全力を出せたからいいかな。
あとは、クロウさんの評価次第かな……
と思ったら、クロウさんは無言で何かを考え始めた。
5分、10分……15分が経ったあたりで、私は思い切って結果を聞いてみることにした。
「あ、あの……結果は……」
クロウさんはハッと目を見開き、こちらを向く。
「あぁ、すまん。……審査結果の前に、少し質問をしたいのだが」
「質問……ですか?」
「君にとって、錬金術とはなんだ?」
私にとっての……錬金術……?
……私にとっての……錬金術……
「……わかりません」
「分からない?……どういうことだ?」
「私は……今でこそ錬金術師として活動していますが、最初は錬金術師になるつもりも、錬金術とはなにかもわかりませんでした。私の中で、錬金術とはなにか、と聞いても、なんだか……よくわからなくなるというか……まだ結論が出ていないと思うんです。だから……その質問にはまだ答えられません」
気がつくと、そんなことを話していた。
……でも、これが私の答えだと思う。
〜クロウ視点〜
彼女の錬金を見て、正直、かなり驚いた。
時間こそそれなりにかかっているが、出来上がったものの品質には目を見張るものがある。
特性の選び方も申し分ない。……が、この違和感はなんだ?
先程の錬金、なにか他の者とは違う。
魔力を使っているのだろうが、今まで見てきた者たちも魔力を使って”爆発”や”風”を作り出し、錬金に使っていた。
炎属性の錬金術師なら爆発が、風属性の錬金術師なら風が一番扱いやすいからな。
……待てよ?この子は”何も作らず”、”自らの魔力のみで”回復薬を錬金した。
つまり……この子には”属性がない”のか……?
いや、そんなことがあるはずがない……この世界の人間は皆それぞれ”炎”、”風”、”氷”、”光”のどれかの属性に特化するはず……
属性がない……”無”属性の人間などいるはずが……
「あ、あの……結果は……」
おっと……まだ審査を最後までしていなかったな。
「あぁ、すまん。……審査結果の前に、少し質問をしたいのだが」
「質問……ですか?」
「君にとって、錬金術とはなんだ?」
試験者には、毎年この質問を投げかけることにしている。
理由は特にない。ただ、私が興味があるからだ。
「……わかりません」
「分からない?……どういうことだ?」
「私は……今でこそ錬金術師として活動していますが、最初は錬金術師になるつもりも、錬金術とはなにかもわかりませんでした。私の中で、錬金術とはなにか、と聞いても、なんだか……よくわからなくなるというか……まだ結論が出ていないと思うんです。だから……その質問にはまだ答えられません」
……なるほどな。
まだ結論が出ていない……自分が未熟であることを受け止めたうえで、さらなる高みを目指そうとしている、ということか。
……この子、今後伸びるかもしれない。
「なるほど……ふっ、面白いことを言うな君は。……試験は合格だ。7日後に迎えをよこそう。それまでに必要なものの準備をしておいてくれ。あ、錬金釜はこちらで用意するから、心配しなくても大丈夫だ」