成長した姿
私、気がついてしまいました。
いちいち調合パネル使うの大変だし分かりづらい!
ということで、よっぽどのことがない限り調合パネルを描写するのは封印させていただきます。
おそらく使わない!(多分)
「メルちゃ〜ん、ちょっといいかな?」
山の麓の街に住んでいる顔なじみのお兄さんの声で、私は意識を過去から今に切り替える。
「はい、どうされました?」
我ながら、かなり人に慣れたと思う。
私には親も友達もおらず、人とどのように付き合ったら良いかわからなかった。
でも、ここで師匠と人助けを始めて早2年。だいぶ人との付き合い方がわかってきたような気がする。
師匠は「メルは心を開いたのよ」とか言っていたけど。多分違う。
「いや、この前作ってもらった”栄養剤”、まだ残ってるかなぁ……って思ってさ。あれ効き目すごかったよ!町長も喜んでたしね!」
「作物用の栄養剤ですね?まだ残ってますので、今持ってきますね」
「ほんと?!助かるよ〜!」
私は自分の部屋に栄養剤を取りに向かう。
どこにしまったかは覚えてないけど、探せば見つかるはず。
……そう思っていた時期が私にもあった。
私の部屋は錬金術関連のものが溢れかえっていて、今すぐに欲しいものが出てくるといった奇跡が起こりえないことは、直感でわかった。
私はお兄さんに栄養剤がなかったことを話し、調合し直すからまた明日来て欲しいと伝えた。
お兄さんは快く了承してくれた。
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栄養剤 レシピ
・薬草
・液体
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幸いなことに、素材は以前採集したものが残っていたので、それをそのまま使うことにした。
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魔力草 品質B:良品
カテゴリー:薬草 雑貨
特性
・品質上昇++
・高濃度の魔力
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雪解け水 品質B:軟水
カテゴリー:液体 中和剤
特性
・品質上昇+
・中和
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今回作る栄養剤は、土に混ぜて使う固形タイプのもの。
このタイプのものを作る上で気をつけなければならないのは、”土との相性”と”特性:高濃度の魔力をどう打ち消すか”の2つ。
土との相性は言うまでもないけど、問題は”高濃度の魔力をどうするか”にある。
特性:高純度の魔力は、装備品につけると持ち主の魔力、つまりは魔法の威力をより強くしてくれる。
しかし土に混ぜると、土の中の魔力量が飛躍的に増加してしまい、作物がうまく育たなくなる。
かといってまったく魔力を与えないと、その土は農業に適さなくなる。
そこで使うのが、特性:中和。
この特性はその名の通り”中和”する特性。
簡単に言えば、高濃度の魔力をある程度打ち消してちょうどよくするってこと。
この特性があることで、土に微量の魔力を浸透させる程度に留めることができる。
私は錬金釜の前に立ち、錬金の準備をする。
この2年間で私の錬金術は2つの点で大きく進歩した。
一つは、錬金パネルが目に見える形で表示されなくなり、”頭の中に直接投影されるようになった”こと。
そしてもう一つは……
私はいつものように錬金釜で錬金ピースを生成する。
そして、錬金ピースに両手をかざし魔力を手のひらに集中させる。
すると、錬金ピースは錬金釜の内側をくるくると回り始めた。
私は頭の中に投影されているパネルに、ピースを一つ一つはめていく。
それと同時に、手のひらから少しずつ魔力を錬金釜に注ぎ込む。
すると錬金ピースはひとりでに繋がりだし、だんだん一つにまとまり始めた。
私はピースをつなげるたび、錬金釜に加える魔力を多くしていく。
そして、すべてのピースをつなげると同時に魔力の供給量を爆発的に増やす。
といっても、私の魔力の総量からしたら微々たるものだ。
注ぎ込んだ魔力に反応して、錬金ピースは一つの物体として生まれ変わる。
私は錬金物のある程度の形が出来ていることを確認して、両手を握り仕上げにはいる。
ここからは集中力の勝負だ。
魔力を注ぎ込んだり供給を切ったりして、より良いものができるように調整していく。
そして数分後。
「ポンッ」というワインのコルクを抜いたような音が部屋に響き渡り、目の前に光の集合体が出現する。
それと同時に、頭の中に特性を選択するパネルが浮かび上がる。
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特性 所持ポイント 13
・会心の出来 5
・程よい魔力 7
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特性を2つとも選択し、光の集合体を両手で優しく掴み取る。
すると光は急速に収縮し、一粒の手のひらサイズの物体になる。
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栄養剤 品質A:高級品
カテゴリー:肥料 雑貨
特性
・会心の出来
・程よい魔力
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どうやら、今回も無事に完成したようだ。
外を見ると、少し薄暗くなってきていた。
リビングの方からいい匂いがしてくる。そろそろ夕食だろう。
私は栄養剤をショルダーバッグにしまって、師匠の待つリビングへと向かった。
活動報告にも書かせていただきましたが、念のため。
今年も受験のシーズンがやってきました。
私も受験生という立場ですので、2月いっぱい程まで投稿が不安定になります。
失踪はしないのでご安心ください。
受験が終わり次第今まで通り頑張ってまいりますので、今後ともゲームクリエイター、錬金術ともに応援よろしくお願いいたします!