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古代魔法調査に向けて

……え~っと……大変長らくお待たせいたしました。

まさか1ヶ月もかかるとは思っておらなんだ……

「魔法の調査、ですか?」


突然クロウさんから告げられた言葉に、少し疑問を覚える。

気になるなら自分で調べればいいのに、なぜ私に依頼するんだろう?

おそらく私よりもクロウさんの方がこういったことは慣れているはず……


「でも、なぜ私なんです?」


思い切って聞いてみることにした。


「あぁ、私もいろいろと独自で調べてみたんだが、少々行き詰っていてな」

「……と言いますと?」

「まず文献自体が少ない。まぁこれはまだ『古い魔法だから』と納得できる点はある。……が、問題は別にあってな……」

「問題、ですか?」

「うむ……私は1人の騎士に過ぎん。調べられる範囲にも限度がある。しかし、情報を求めるために『上』に報告しても『そんな話聞いたこともない』といった始末でな。取り付く島もない」


話を聞く限り、クロウさんの方でも手は尽くしてるみたい。

かなり無茶をしていそう。あらゆるところから情報をかき集めるのだって簡単なはずがない。


「なるほど……でも、だったら猶更私には荷が重いと思います……まだまだ新米ですし……私だってクロウさんと同じような立場じゃないですか」


でも、私だって一錬金術師に過ぎない。

錬金術は便利だけど、万能じゃない。

いまの私の実力じゃできないことの方が多いはずだし、まず錬金術で情報を集めるのは難しいだろう。

クロウさん以上のことができるとは、到底思えない。


「そうだな、たしかに君『だけ』なら難しいかもしれんな」


『だけ』という部分をやけに強調するように話すクロウさん。


「だが、君には頼もしい先輩がいるだろう?」

「は、はい……確かに助けてもらってます」


私の頭の中に、ジャスミンさんとラナさんの顔が浮かぶ。

思えば、ここに来た時から2人はずっと私に手を貸してくれた。

今度何かプレゼントでも用意しようかな……


「今回の件は君と仲のいい2人(ジャスミンとラナ)にも伝えてある。3人で協力するといいだろう」


クロウさんから告げられたその言葉に、少し驚く。

たしかにずっと一緒にいたけど、そのことをクロウさんに話した覚えもないし、知っていることに対してびっくりしたのかもしれない。


「この件に関しては私の方から『依頼』という形で後日詳細を記した手紙を送る。それまでにしっかりと準備してくれ」


そう言い残すと、クロウさんは扉を開けて外に出て行ってしまった。

そして、クロウさんと入れ替わるように2人の人影がアトリエの中に入ってくる。


「やっほ~、遊びに来たよ~」


もちろん、正体はジャスミンさんとラナさんだ。


「あ、ラナさん!ジャスミンさんも!」

「ちょうど話が終わった頃かな~って来てみたらぴったりだったね~」

「メルちゃん、お腹空いてない?お話ししながらお茶にしよ!」


私はもちろん了承した。




「まぁ、詳しい話はボクから話すよ」


一通りお茶菓子と紅茶を楽しんだ後、ラナさんが口を開く。


「今回の件、厳密に言えば2人を巻き込んだのはボクなんだ」

「……?どういうことです?」

「ボクのアトリエの目の前には”帝都大図書館”っていう世界でも5本の指に入るくらいに大きな図書館があるんだ。近いからよく通ってたんだけど、この前気になる文献を見つけてね……」

「あ、もしかしてクロウさんが持ってたあの本ですか?」

「そうそう。それで、そのことをクロウさんに報告したら、『詳しく調べる必要があるから調査してくれ』って言われてね。ボク一人じゃ荷が重そうだったから、クロウさんから2人に声をかけてもらったってわけ」


どうやら事の発端はラナさんの見つけたあの古めかしい本にあるみたい。

クロウさんから話を持ち掛けられたときは一体何を考えているのかわからなかったし、何を言ってるのかもよくわからなかったけど、そういうことならまぁ分からない話でもない。


「なるほど……でも、調査するって言っても当てはあるんですか?」


でも、何もなしに『調査』と言っても無理がある。

何かしらの手がかりがないと調べようがないはず。


「ないね。文献もほとんど残ってないし、見つかったとしても同じようなものばかりだと思う」

「そうですよね……」


きっぱりと言われると、少し絶望する。

ほぼ0からのスタート、正直かなり厳しいと思う。

まともに調べてたらきっと数年……もしかしたら数十年かかるかもしれない。


「……ねぇ、その『古代魔法』ってさ、どのくらい前からあるのかな?」


ふと、ジャスミンさんがそんなことを言う。


「どのくらいって……まぁ多分1000年くらい前じゃない?」

「そうですね、本の著者の人も壁画から情報を得たみたいですし、そのくらいだと思います。……まぁその壁画がどこにあるかはわかりませんけど……」


私たちの返答を聞くなり、ジャスミンさんが何か思いついたような表情を浮かべる。


「じゃあさ、聞きに行こうよ」

「聞きに行くったって……誰に?」

「ほら、いるでしょ?ず~っと昔から生きてる友達が」


ジャスミンさんの言葉で、私も気が付く。

そうだ、私たちには頼もしいけど、ちょっと抜けてる友達がいるじゃないか。


「「「シーちゃん!」」」

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