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世界樹の力

読者の皆様、メリークリスマス!

皆さまいかがお過ごしでしょうか?

なかなか筆が進まず投稿が遅くなってしまい申し訳ありません……


話は変わりますが、早いもので錬金術師も1周年を迎えました!

1周年の割には話数少なくない?と思ったそこのあなた!ごもっともです!

2周年を迎える前までには100話を超えたいなぁ……とは思っていますが、時間が……

全力で頑張っていくつもりではありますが、正直どこまでいけるかは私にもわかりません。

皆様の応援で私を力づけていただきたいです……お願いします……

「……へっ?」


あまりに衝撃的な発言に、私の思考は停止する。


「ちょ、ちょっと待って?……メルちゃんが……なんだって?」


ラナさんが信じられないといった様子でシーちゃんに尋ねる。


『ですから、メルにはお母さまの力が流れていると言っているのです』

「いやいや……メルちゃんは私たちと同じ人間だよ?世界樹の力が流れてるって言われても……」

『私にも詳しい理由はわかりません。でも、メルにお母さまの力のすべてとまでは言いませんが、お母さまの力が流れていることは事実なのです』

「……冗談……じゃなさそうだね」


私の頭は一瞬パニックを起こす。

何を言い出すかと思えば、私に世界樹の力が流れている?

突然そんなことを言われてはいそうですかと言えるはずはない。


……けど、シーちゃんが嘘をついているようには見えない。

第一、ここで嘘をついたところで大してメリットはないはず。


信じたくはないけど……どうやらまぎれもない事実らしい。


「えっと……ちょっといいかな?」


ジャスミンさんもシーちゃんに質問する。


『はい、どうぞ』

「えーっと……シーちゃんがメルちゃんに世界樹の力が流れてるって思った根拠とか、いつ頃気が付いたのかとか……よければ教えてほしいな」

『簡単なことです』


そう言うとシーちゃんは続ける。


『最初にこの可能性を考えたのはメルの中に入った時です。メルの中に入った瞬間、お母さまに包まれているような感覚を憶えました。……まぁ人の中に入ること自体初めてだったのであまり深くは考えなかったんですけど。ですが、メルの中に入ってどんどんと回復していく中で再び考えるようになったのです。常人に私を回復できるだけの力があるのか、そもそも私を宿した状態で普通に生活できるものなのか……本当に様々なことを考えました。……少し経って、可能性は確信に変わりました。メルには、私と同じようにお母さまの力が流れている、と』


少し感慨に浸るように話すシーちゃん。

そこまで話されたところで、私の頭の中に一つの疑問が浮かぶ。


「……つまり、私とシーちゃんは姉妹ってこと……?」


シーちゃんは少し考えると、


『そうかもしれませんね』


と、私の問いに答えた。

まだ私の頭の中は混乱しているけど、少しずつ冷静になってきた。

情報を整理すると、私の中には世界樹の力が流れていて、シーちゃんと私は姉妹かもしれない……


……冷静に考えてみても、訳が分からない。

シーちゃんと私が姉妹だとすると、私はシーちゃんと同じように樹木だった可能性があるってことになる。

……でもそう考えると、私が親を知らないのも、森の中で1人で暮らしていたのも、説明がついてしまう。


……もしかして私……人間じゃない?


いやいや……そんなまさか……



『少し話が逸れましたが、続きをお話ししてもいいですか?……まぁ続きと言っても、私と要石の関係について説明するだけですが』


私が考え事にふけっていると、シーちゃんが話し出す。


……今考えたってしょうがないよね。

今はシーちゃんの話の方が重要だし。

私の素性なんて後からでも考えられるしね。


「……うん、お願い」

『はい、私たちがこれから向かう要石ですが、簡単に役割を説明すると、私から周囲に漏れ出す力を抑える、いわば栓みたいなものです。これがないと、私は力のコントロールができず辺り一面瘴気に覆われ……』

「……ちょっと待った」


ラナさんがシーちゃんの話に待ったをかける。


『何でしょうか?』

「……もしかしてもしかしなくても、今この森に瘴気が溢れてるのって……」

『はい、私のせいですね』


何をいまさらといったような感じでそう答えるシーちゃん。


『厳密には、私のせいというより、要石が何者かによって占拠されているからですね。私だって好きで森を荒らしているわけではないのです』

「なるほどねぇ……ごめんね話遮っちゃって」

『いえいえ、私は皆さんが疑問に思うところをできるだけなくしたいので、気になる点があれば質問していただけると』


なるほど、この森に突然瘴気が現れたのはシーちゃんの要石が占拠されて、力をコントロールできなくなったからだったのか。

だから対処法も知ってたんだね。


「……あ、そういえば」


ふと、少し気になったことをシーちゃんに尋ねてみる。


『どうされました?』

「シーちゃんさ、さっき『ここから先、物語の続きを話す上で、あなたに関わることがいくつかあります。それを踏まえて、私の話の続きを聞きたいですか?』って言ってたよね?私に世界樹の力が流れてるってことと、その要石ってどういう関係があるの?」

『そうですね……簡単に言えば、要石はお母さまの力で生まれたものなので、制御を取り戻すためにはあなたの力が必要不可欠なんです』

「……というと?」

『要するにどうにかして要石を正常な状態に戻してほしいってことです』

「……それって責任重大?」

『もちろんです』

「……もし失敗したらどうなる?」

『この辺り一帯が瘴気に包まれて森や近くの町は滅ぶでしょうね』


私が引き起こす可能性のある事の重大さを強調するようにそう言うシーちゃん。


『さて、時間も惜しいですしそろそろ行きましょうか。すべてはメルにかかってますからね!』

「……あんまりプレッシャーかけないでほしいんだけど……」

「まぁまぁ、メルちゃんならどうにかできるって!」


私がどんよりと立ち上がるとラナさんがそう慰めてくれたけど、私には慰めに聞こえない。


「どうにかってどういうことですか!!私がミスしただけでこの辺り一帯は……はぁ……」

「落ち着きなって……何もメルちゃん1人に全部任せるわけじゃないんだからさ」

「代わってくれるんですか?!」

「それは無理」


わずかな希望は打ち砕かれた。


「代わってあげることはできないけど、私はメルちゃんならできるって信じてる。ね?ジャスミン」

「うん、私もメルちゃんなら絶対できると思う。メルちゃんなら大丈夫だよ!」

「うぅ……わかりましたよぉ……」


2人に励まされながら、私たちは要石の元へ再び歩き出した。

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