表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/39

シーちゃんの苦悩

錬金術師をお読みの読者の皆様、お久しぶりです。

投稿が遅くなってしまい申し訳ないです。

ゲームクリエイターの前書きにも書いた通り、試験勉強等で執筆時間が取れず、読者の皆様にはご心配をおかけしたことをお詫びいたします。

これからも投稿が遅れたりすることが多々あるかと思いますが、全力で執筆させていただきますので、錬金術師、並びにゲームクリエイターを宜しくお願い致します。

「た、助かったぁ……」

「メルちゃぁぁぁあん!!」


狼の襲撃を退けると、ジャスミンさんが全速力で駆け寄ってきた。

そして勢いそのまま私に向かって飛び込んできた。


「きゃっ!」

「メルちゃん大丈夫?!怪我してない?!」

「な、何とか……それより苦しいです……」


急に抱きつかれて私がそう言うとハッとしたように抱きしめる力を弱めるジャスミンさん。

そこに、辺りを索敵していたラナさんが戻ってきた。


「周囲にさっきの狼の気配はないからしばらく大丈夫そう……って、ジャスミンまーたメルちゃんのこと困らせて……」

「うぅ……だって心配したから……」

「心配になるのはわかるけどさ~……全く……」


いつもの調子で会話する2人。

ジャスミンさんもラナさんも、ぱっと見怪我らしきものは見当たらない。

一時はどうなるかと思ったけど、みんな無事でよかった。


……そういえば、この森に入ってからシーちゃんの声を聞いていない。

寝てるのかな?いや私の中で寝られても困るんだけども。


「シーちゃん、目的地まで後どれくらいかわかる?」

『……』

「……おーい、シーちゃん?」

『……あっ、はい、どうされました?』


あ、起きたのかな?


「どうされました?じゃないよもう……ずっと呼んでたのに」

『すみません……少し考え事をしていて』


シーちゃんが考え事?珍しいな。


「考え事、ねぇ……まぁそれは一回置いておいて、もうすぐ目的地だと思うんだけど、あとどれくらいで着きそう?」

『そうですね……大体10分程度といったところでしょうか』

「あと10分くらい歩けば着きそうなの?」


ここで、いままでジャスミンさんと話していたラナさんが会話に加わる。


『はい。なのでこの辺りで一度休憩をはさんだ方がいいかと』

「そうだね。何が起こってもいいように、ここで軽く休憩しておこうか。さすがにちょっと消耗しちゃったからね」


そういって腕をぶらぶらさせるラナさん。

あれだけの攻撃をいなし続けたんだから、消耗しているのも無理はないだろう。


「時間も時間だし、ご飯にしよ!私みんなの分のお弁当持ってきたんだよ!」


そういってどこからかお弁当を3つ取り出すジャスミンさん。

そういう細かいところまで気が配れるのは本当にすごいと思う。




ジャスミンさんのお弁当はとても美味しく、食べ終わるころには私たちは出発前のように活気に満ち溢れていた。

私たちがご飯を食べている間シーちゃんはずっと黙りこくっていたけど、さっきから何を考えているんだろ?

……思い切って聞いてみようかな。


「シーちゃん、ちょっといい?」

『……』

「ねぇ!シーちゃんってば!」

『……あ、はい、どうされました?』


凄いデジャヴな反応をスルーしつつ、シーちゃんに質問してみる。


「さっきからずーっとぼーっとしてるけど、何考えてるの?そんなに心配なこととか問題があるの?」

『……いえ、そういうわけでは……』


話し始めるまでの少しの沈黙から、私はシーちゃんが何か隠していると直感的に感じた。


「……シーちゃん、何か隠してるでしょ」

『そんなことありませんよ』


やや食い気味にそう答えるシーちゃん。

その行動から私はだんだんとシーちゃんに疑念を抱き始めた。


「まぁまぁ、その辺にしておきなって」


私とシーちゃんの争いを見かねたラナさんが仲裁に入る。


「誰しも隠し事の1つや2つあるでしょ?そんなにグイグイ聞いたらシーちゃんが可愛そうじゃん」

「それもそうですけど……」

「……まぁ、それを踏まえたとしても、シーちゃんの動きは明らかにおかしいけどね」

『…………』


黙りこくるシーちゃん。

その様子を見て、少しため息をつきながら立ち上がるラナさん。

そして、そのまま空を見上げながら、誰に話すでもなくぽつりと呟く。


「言いたいことがあるならはっきり言いなよ。私みたいに後悔する前に」


後悔という言葉が、なぜか心に刺さった。


「ラナ……」

「ま、どうしてもって言うなら無理強いはしないけどね~」


ジャスミンさんはラナさんを心配そうに見つめるけど、ラナさんは心配しないでとでも言いたげにいつもの調子で喋る。


『……後悔、ですか……』


シーちゃんもぽつりと呟く。


『そうですね、後悔してからでは遅いですよね』


淡々と話すシーちゃん。

その様子に何か鬼気迫るものを感じた私は、息をするのも忘れてシーちゃんの話に耳を傾ける。


『……全てを、お話しします。私の……いえ、私たちの物語を』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ